投稿元:
レビューを見る
シリアで殉職したジャーナリスト、山本美香さんが報じたものをまとめた本。
イラク・アフガン戦争や東日本大震災を取材した際に寄稿した記事など。
余計な編集を排して、当時の文章だけがぽんとおいてある。
新聞に載せる「ニュース」はその時のものだから、少し時間が経った今それだけを新しい本で読むのは変な感じだ。
「古い本で当時を知る」「当時の報道を交えた在視点の解説を読む」というのとも違う。
出来事はどんどん古くなって流れていく。情勢は変化する。
だけど山本さんが知らせようとした問題は、そのまんまここにあるままだ。
報じられなくなった問題はどこへいってしまったのかな。
考えるべきことはいくらでもありすぎて、考えないまま忘れられてしまう。
そういうことを思った。
内容自体は他の本でみたものと重複する部分が多かったけれど、読んで損した気はしない。
原点に立ち返るみたいに、こういう真っ直ぐさを取りいれる機会が必要だ。
かかわった人たちが忘れずに何度も本を出したいような人だったんだと改めて思う。
表紙の写真は最後の日のもの?
ストールのピンクだけを目立たせてある。
『最終講義』か『生き方』でパートナーの佐藤さんがあのストールについて書いていた。
山本さんが亡くなった時の報道に、華やかなストールは良くなかったんじゃないかとうコメントがあった、でも銃撃された時はつけていなかった、危機管理の意識の高い人だからあの地域に入ったときに外していたのに、そう言われたのはいやだった、と。
それを考えてしまって、なんとも言えない気分になった。
投稿元:
レビューを見る
日本はとても良いジャーナリストを喪ってしまったんだなということを、改めて認識した。
2012年8月、取材中シリアで銃撃を受け亡くなったジャーナリスト、山本美香氏の残した報告、写真など、彼女が伝えたかったことの記録。
バクダッド空爆の現場などから、ジャパンプレスの女性がレポートしていたことを覚えている。
彼女は紛争地帯、戦争、そして東日本大震災、その現場にいた。
そして、伝えた。
あとがきで、彼女のパートナーだった佐藤和孝氏は「戦争はジャーナリストによって止めることかできる」という言葉を紹介している。
ジャーナリストは、意見を発する。
マスメディアに露出したり、新聞に記事を書くからといって、それだけでジャーナリストなのでは無い。
投稿元:
レビューを見る
チェック項目3箇所。「兵士になってセルビア人を殺すんだ」――、アルバニア人の少年がつぶやいた、将来の夢は、復讐、避難先のアルバニアで出会った少年ダウド君、わずか13歳だった。東アフリカのウガンダでは、反政府ゲリラに誘拐された子供たちが、最前線に送り込まれていた、子供を狙うのは、大人よりも洗脳しやすく、逃げる可能性も低いからだ。「村に帰ったら、学校に通いたい」、しかしそんな小さな望みすら、なかなか、かなえられない現実がある、『人を殺めた子供は汚れている』と、村が受け入れを拒否することも少なくない、元少年兵たちの行く手には、これからもさまざまな困難が待ち構えている。最初は国民の強い支持を受けたタリバンだが、いつの間にか人々に厳格なイスラム法に基づく政策を押しつけるようになっていた、写真、テレビ、ラジオ、娯楽の禁止、夜には宗教警察が家をチェックして回ることもあった。
投稿元:
レビューを見る
山本美香さんが歩んできた道、これまでにしてきた取材をまとめてある。
2年前、亡くなった後に1冊の本を読み、たくさんの伝えたいことがある人で、本から多くのことを学べたが心の中で「亡くなったら伝えられないんじゃないか」とも思った部分もあった。
本書を読んで、本でももちろん伝えていくことはできるが、この本を出版した人達、また山本美香さんの心を受け継いで次の世代につなげていく人がいるので、伝えたいことは受け継がれていく、繋がっていくんだということを感じることができた。
生きているときに多くのことを発信して伝えていくことの重要さを学んだ。