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「獣耳フェア」という表紙オビを読んだときは一瞬、選択を誤ったかと思いましたが、、、
良い意味で予想を裏切る、とても良い作品でした。
人狼族の要であり守り神的存在である巫女伊古奈は実は、女子ではなく男子である。
何故か双子として生まれた彼の方に、巫女の資格たる赤い瞳と強い妖力が与えられ、片割れの姉にはそれが現れなかった。しかし、本来、巫女たる証の赤い眼と妖力は女児のみに与えられるものだ。
そのため、彼等の母は姉を死んだことにして人間界に託し、弟の方を女児と偽って巫女とした。
伊古奈の苦しみ、悩みはそこから生まれたものだった。彼には生まれたときから決められている銀狼族の剱という頼もしい許婚がいて、伊古奈はひそかに彼に恋している。しかし、本当は男で巫女の資格がない自分が剱の許嫁であり続けて良いか、迷いがあった。
実は剱は巫女が男性であることに気づきながら知らないふりをし、その上で彼を愛しているのですが、それを知らない巫女は悶々と悩み続けます。
伊古奈も剱も互いのことを思いやり、しかも一族の将来のことも大切に思っています。とても好感度の高いキャラで、私は特に伊古奈の控えめさや優しさに打たれました。