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テーマが大変重いのに、思い返すキャラクターたちは笑みが浮かんでしまうエピソードで彩られています。
各所に用意された伏線がひとつに対峙した時は驚きでした。すごい作品です。
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おりしも、送り出した側の現代イギリスでもインフルエンザが爆発的に流行し、重要人物も倒れていく。キヴリンの指導教官と亡くなった女医さんの甥っ子はどうする。
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どんな時代であれ、生があり、死があり、その時代に生きる人々のささやかな喜びや悲しみがある。タイムトラベル先の14世紀のイングランドの片田舎で、ペストの蔓延により、知己が次々と倒れていくなか、キンバリーは身をもってそのことを思い知らされたのでは。歴史とは、後世に名を残すこともなく生き、死んでいったこの人の、あの人の人生の集まりなのだと。
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上巻読んでいたときは「だから担当教授の言うことはちゃんと聞けよ!」とか、教授に対しても「愛弟子が心配なのは分かるけれど、倒れた同僚にももっと優しさを示せよ!」とか思ったけれど、下巻はそんなことを思う間もなく事態が進んでいく、という感じ。読み終わって泣きはしなかったけれど、遣る瀬無さ無念さが胸に沁みる。
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内容(「BOOK」データベースより)
21世紀のオックスフォードから14世紀へと時をさかのぼっていった女子学生キヴリン。だが、彼女が無事に目的地にたどりついたかどうか確認する前に、時間遡行を担当した技術者が正体不明のウイルスに感染し、人事不省の重体に陥ってしまった。彼女の非公式の指導教授ジェイムズ・ダンワージーは、キヴリンのために、新たな技術者を探そうと東奔西走するが!?英語圏SFの三大タイトルを独占したコニー・ウィリスの作。
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2009/07/12読了。
上巻のドタバタ劇、日常からの連続のような笑い混じりの展開から打って変わって、まさかまさかのジェノサイド、というか大量虐殺という日本語の語感こそふさわしいストーリーになり、心底びっくりした。
こんなにあっさり固有名詞のある登場人物が死ぬ小説は、なかなかない。
パンデミック、怖いな。というかペストの威力が凄すぎる。
いったい、この時代のヨーロッパはどうなっていたのか。(中国とかアジアでも半端無い死者をだしたとも言うが)
評価がそんなに高くないのは、タイムスリップものに私が期待する、センチメンタルな余韻がほとんど無かったからである。
タイムスリップのお約束と言えばそれまでなのだが、せめてキブリンにはタイムスリップした先の墓を発掘するくらいのロマンを期待してたのに。(天河ですね)
(もしくは、キブリンがそのまま自分の意思で帰ってこないとか)
おそらく、著者がわざとそうしたのだろうが(それとも訳者のせいなのか)、大量に固有名詞のある登場人物が死ぬにもかかわらず、失った悲しみなどはかなり乾いて、突き放した描写で書かれていたこともその原因だと思う。
14世紀ペストの時代だったら、現代的感覚が通じない「時代的感覚」の表現の一つとして読めるのだが、25世紀?のオクスフォードで暮らす、我々の日常とほぼ変わらない描写で描かれている人々の死に対しては、もう少し何か書いても良いのではないかと思う。
25世紀も、何らかのパンデミック後ということなので、こうした大量死に、彼ら未来人も慣れているのかもしれないが、そうであるなら、そうした「死」に対する我々との感覚のズレを感じたかったと思ったりもした。
14世紀、ペストによる大量死の描写はとにかく圧巻である。
ただ、「すごいもの読んだな〜」という気持ちしか残らない作品であることも確か。
それ以上の、登場人物の成長とか、悲劇とか、人生の意味とか、時間の不可逆性への悲しみとか、後を引く「何か」は無い。
解説によると、主義主張や教訓めいたことを小説の上で表現したくないタイプの作家らしいので、こうした読後感になるのだろう。
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最後までちゃんと読み終えてよかった! 何度涙ぐみそうになったことか…。
昨年の新型インフルエンザ騒ぎの前に読むか、後に読むかで、だいぶ没入感が違うのではなかろうか。
しかし後半の展開はすごい。痛い胸を抱え、呆然として読み終わった。
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SFは全く読みなれていないので評価は避けます。読むのに結構時間がかかりました。はいあのう、力作だと存じます。
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ページを閉じて逃避したくなるほどの死ぬ死ぬラッシュ…
しかし読み終わったときにはやはり読んでよかった、と。
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壮絶で胸を打つ展開。コニー・ウィリスを知らなかったって、なんてもったいないことしてたんだろ。英語で読みたいと思った作品。
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SFでいっぱい賞を取った名作。中世史を研究する女性がタイムマシンで、1320年にいくはずが、手違いでペストの流行する年へ。現代の方も疫病が流行し、助けにいけないという話。
SFというより、文芸作品という感じ。死を前にした時の、神の沈黙と人間の尊厳は、遠藤周作の「沈黙」につながるものを感じた。
また、主人公の女性が思う、「イエスキリストもタイムマシンでやってきたが、送り出した側が座標を特定できなくなり、迎えにいけなくなった。それでキリストが見捨てたのか、と叫んだ」という想像は、なんか真実味がありました。
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それ以前がのほほんと見える程、後半1/2が盛り上がって面白い。が、やはりそれまでが長い。
それでも上巻に比べると現代パートが短めですっきりしていて読みやすい。もっとも、現代パートはキャラでもたせてるとしか思えないが(そして、何者なんだウィリアム)。
固まった吐瀉物とかが平気で出てくるあたり、キレイなだけではない、作者の意思を感じる。
救いはコリンにある。そして、コリンのちょろまかさを表現している大森望がいい仕事をしている。
ダンワージーは確実に自分を責めすぎである。
最後、キヴリンが口数が少なく、ちょっと怖い感じで終わるが、もっとゆったり語って終わって欲しかった。最後だけいきなり早送りで見せられた気分。
キヴリンに関して言えば、世の中の不条理さを知って成長するのではなく、不条理にずっと怒っている。なのでちょっと怖い。
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下巻でようやく話がわかって面白くなってきたが、それにしても、このストーリーにこんなに長い文章が必要?と、疑問。もうちょっとすっきりとさせてあったら、もっと楽しめたかもしれない。この著者の他の本も薦められたが、時間のある時に読んでみたい。
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タイムトラベルが歴史研究目的で行われるようになった21世紀中盤。
オックスフォード大学史学部の学生、キヴリンは14世紀の農村に実習で赴いた。しかし、到着直後、彼女は病に倒れてしまう。一方21世紀でも謎のウイルスが蔓延し始めた。二つの時代を席捲する病。キヴリンもまた、「ドゥームズデイ」(世界の終わり)というべき悲劇に直面する……
「犬は勘定に入れません」のほうを先に知っていて、この本に興味を持ち読みました。すばらしい物語でした。
この物語のタイムトラベルシステム、「ネット」はタイムパラドックスを許容しません。歴史家たちは個々の人間に関わることはできても、歴史の大きな流れを変えることはできません。この物語を読んでいるうちに、自分もまた、14世紀の人々と紙という「ネット」を介しているのだと思いました。懸命に生きた。けれども物語の結末は変えられない。それがこの物語を読んで感じる悲しみなのではないか、と思いました。
"Requiem aeternam dona eis,et lux perpetura luceat eis."
(下巻、483ページより引用)
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ペストの蔓延する中世にタイムスリップ。未来のこちらもパンデミック。パラドックスのややこしい話もない。なのにこの話の厚みはどうだ。かといってひたすら暗いわけでなく、秘書のフィンチやら悪ガキのコリンが素晴らしく、ハリソン・フォードで断固映画化すべきだ。ヒューゴー、ネビュラ、ローカスのトリプルだけれど読みやすい。ハードではない。コリンが出てくる続編を切に希望。コニー・ウィリスは二冊目だがファンになってしまった。