紙の本
成功の理由はよくわかる
2016/06/27 16:06
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投稿者:ぎぐさー - この投稿者のレビュー一覧を見る
アトレティコのファンでも、シメオネのファンでもないがあの戦力であれだけの結果を出せている背景はなんなのか?それが知りたくて読んでみる事に。
指導者の考え方としては決して特別ではないのだろうけど、控え選手を巡る考え方に成功の一端をみた。
「選手も馬鹿ではない、控え選手の事ばかり目をかけていると信用されなくなる」という一言と、「試合に出られず怒っている選手がいた。彼は自分が出るべきだという。ある試合に彼を呼び出場させる事を伝える時に一言注意した「今日、試合に出るからといって君が私にとって重要になっという訳ではない。今までもずっと重要だった」と。」という一言を繋ぎ合わせると中々興味深い。
大きなクラブで同じように上手くいくかは断言できないが、彼が成功した理由は良く分かった。
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リーガを席巻したチョリスモ、シメオネの言葉と思想とがその生声で書かれた書である。
二強の牙城を打ち砕いた彼の功績は言うまでもないところであるが、その彼のメソッドに関心を持つ人は、スペインサッカーのファンには少なくないはずだ。
そうした(私のような)人の期待に応えてくれる、非常に素晴らしい、マニアックな一冊だった。売れるのかな、これ。
内容的にも彼らしい、力強い言葉が綴られていて、読み応えのある一冊だった。直訳と思しき、読みづらい文も少なくなかったが、そこは(訳者が)本職でないということで目をつむるべきか。
素晴らしい本であることは言うまでもないが、あとがきを見たなら星五つを付ける以外の選択肢がなかった。
原書は2013年のものだそうだが、日本版のために加筆された13-14シーズンについての第六章が収録されているのだ。
この労にはただただ感服した。強くお勧めしたい一冊である。
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p.29
「人生というのは立ち向かってなんぼだ。隠れていては何にもならない。決断をしなくてはいけないし、それによって周りからあなたがどう見られるかを考えるべきではない。人がある状況に追い込まれた時、解決する唯一の方法は立ち向かうことであり、逃げ隠れすることではない。」
p.88
子供の時に教えられた価値観というのは、サッカー選手になるかどうかとは関係なく、その後の人生の指針になる。成長した後で変えたり、正しい方向へ向かわせようとするのは難しい。だからこそ、小さい時から道徳を教えなくてはいけない。
p.118
監督が選手たちを研究するように、彼らは我々をけんきゅうしている。もしあなたが言ってきたこととやっていることが違うと彼らが気づけば、決して許してもらえないだろう。彼らに対して誠実でいなければいけない。もし誠実でなければ、どんなにいい関係を築いてきたとしても、あなたのことを信じるのを止めるだろう。
p.183
確信を持って取り組むのが目標への近道であることをまたもや証明できた。もちろん、他の要素が影響することもあるが、それらによって確信が薄れてはいけない。重要なのは前を向いて行くこと、後ろではない。これがある種の人と他の人とを分ける。
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13-14 リーガでのアトレチコの躍進
泥臭く勝利をする試合を観たなら読まずにはいられない
現役時代から強面だった彼が監督なりその佇まいはもはやマフィア
お気に入りの一文
ロコ《クレイジー》と呼ばれても私は心の底から生きていたい
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シメオネのスタイルには哲学があり、それ以外の方法では到底成し得ないモノを積み上げてきてる自信と信念が溢れてる。最終章で時系列的な視点と筆致が変わったと思ったら13−14シーズンを終えた後の日本向けに加筆された部分らしい…この章がある事がこれまでの章への裏付けになるというドキュメント感。
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読んで、この人のリーダーシップは基本真似できないと思った。自身の判断に根本的に自信があるところは、オコナー判事に似ている。もともと自分の信念を疑うことなどないのだろう。
すごいなと思いつつ自分も真似できそうと思ったところは審判の誤審のところ。審判も人だからミスをするけど、自分に有利な誤審をするかは運ではない。相手陣営でずっとプレーしていれば誤審は自分に有利にしか働かない。つまり、相手陣営でプレーし続けるという戦略によって誤審のリスクをコントロールすることができてしまうのだ。これがリスクマネジメントというものだ。この考え方はサッカーだけでなく他の分野のリスクマネジメントにも活かすことができそう。
それにしても、やっぱりチャンピオンズリーグ、始めのカードを一枚怪我で失うのがなければ。。。90分で勝ち切れなかったのが辛い。アンチェロッティは確実に延長まで想定内で来てたし。怪我の状態は意外と本番走ってみないとわからなかったりするものなので、そこのリスクコントロールを誤ったかなという気はする。
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あなたは信念を作り上げねばならないが、もしそれを伝える能力がないのなら、信念なんて無意味だ。
今季のアトレティコで試合に出られない、と怒っている選手がいた。彼の考えだと、出るべきだという。ある試合の前に彼を呼び、出場させると伝えた。彼が怒っていたことは知っていた。一言だけ注意した。
「今日試合に出るからといって君が私にとって重要になったというわけではない。今までも重要だった」
彼はプレーする選手がより重要だと感じていたようだが、私にとって価値は変わっていないと伝えたかった。唯一の違いは、今回はプレーさせると決めただけだ。
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「シメオネ超効果 リーダーの言葉で今あるチームは強くなる」
ロコの凄さ。
2014年5月18日。アトレティコ18年ぶりのリーガ制覇をファン、チームと祝っている写真に写るチョロは、陽気な男に見える。本書はチョロが如何にしてアトレティコを復活させたかに焦点を当てている。
まずアトレティコは、世界で比べるとめちゃくちゃ金持ちなクラブという訳ではない。会計事務所のデロイトは毎年フットボール・マネーリーグと言うレポートを発表している。これは世界各国のサッカークラブを対象に、
①入場料収入(チケット収入、法人年間契約席を含む)
②放映権収入(国内リーグ、各種カップ戦、欧州選手権等からの分配金を含む)
③スポンサー収入(マーチャンダイジング収入、スタジアムツアー、その他のスポンサー業務から生み出される収入を含む)
の要素を基に各クラブをランキング化したもので、どのクラブがどんだけ儲けているかが分かる一つの指標。この結果からすると、2016-17年版のアトレティコは2億7,250万ユーロ(約369億円)で13位。位はマンチェスター・ユナイテッドで6億7600万ユーロ(約917億円)の収益を記録した。この指標の場合、放映権の影響により、プレミアクラブがかなり儲けている為、エバートンやサウサンプトン、ウエストハム辺りもベスト20にランクインしており、レスターは2億7,110万ユーロ(約368億円)で14位の大貢献。クラブの歴史や純粋な格で言えば格上のアトレティコと約1億の差しかない。プレミア、放映権、恐るべしである。
つまりはアトレティコはチーム力やブランド力、近年の活躍ぶりの割りにはあまり金は無い。とすると現存戦力を上手く活用していく必要があり、そこで指揮官の腕の見せどころとなる。そして、チョロは腕を見せ、見事に古豪アトレティコを強豪に引き戻した。
そんなシメオネ。監督業を始めると聞いた時、きっと熱く時には癇癪を起こすタイプになるだろうと勝手に想像していた。というのも、現役時代のプレースタイルは、華麗よりは泥臭くボールを蹴る、個の活躍よりもチームが勝つことが全てという思いが随所に出るもので、特にアルゼンチン代表として国を背負った時は、南米らしいマリーシアがぷんぷんしていたし、何より必ず勝つ!という熱が凄かったからだ。
そんな想像をしていたが、それはちょっと違った。シメオネは確かに熱かったものの、癇癪は抑え目で冷静沈着の面もちらほら。現存戦力に見合った勝つ戦略を緻密に作り上げる。その結果、規律を重視した全員が諦めず、走りまくるインテンシティの高いサッカーでマドリーとバルセロナの2強を崩し、CL(チャンピオンズリーグ)やEL(ヨーロッパリーグ)で勝ちまくるのだ。
マドリーやバルセロナとアトレティコとの戦力差は1シーズンで見れば巨大かも知れないが、1試合で見ればどうだろう?前半45分だけで見たら?局面ごとに捉える場合でもやはり巨大な差があるだろうか?一瞬の攻防ではどれほど差があるだろうか?その一瞬の攻防であれば、メンタル、フィジカル、戦略的準備で戦力差は補えるのではないか?
というのがシメオネの理屈らしい。“単純なタレントの差で見てしまうと、勝てる気がしないと思い込んでしまう。しかし、そのタレント力を、1シーズンから1試合、前半45分とどんどん扱う単位を小さくしていけば、自分達が勝てる要素が見えてくる。努力はその勝てる要素につぎ込むべきだ”ということだと解釈した。なるほど、すると、努力はただ積み上げるのではなく、どこに向けて積み上げるかが大切だということが分かった。
現在、リーガ3位。CLもグループリーグを突破した。どちらも取りたいタイトルだろうが、より欲しいのはやはりCLだろう。新戦力が久々に早い段階でフィットしているだけに、期待値が上がっていく。
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ディエゴ・シメオネ自身が、「チーム」「リーダーシップ」「結果を掴む為に必要な事は何であるか」等を自身のフットボールにおける輝かしい実績をもとに赤裸々に綴ってくれている。
(ご存じの通りシメオネが選手・監督として積み上げた成功はフットボールの歴史を振り返ってもトップクラスである。)
私は生きてからずっと趣味や価値観が「インディペンデント」であって、部活動も帰宅部だったし、仕事で大きなプロジェクトのリーダーを務めたことも(悲しいが)無く、暇があれば一人でアウトドア等をもっぱら楽しみまくっている身である。
そんな自分が突然人間をまとめるチームリーダーとなり、何らかの成功を達成せねばならなくなったときは、ただ我武者羅に活動するのではなく、ここで記述されているシメオネのリーダ論を改めて思い返したいと思った。
印象的だったのはチームで一体となるべく、食事は必ず”全員”で摂り、ミーティングや練習も”全員”で同じように行っていること。家族のように、誰もが自然と平等に全員とコミュニケーションできる環境と雰囲気、すごく大事だなあと思った!逆にチームで話し合える時間が「ある曜日の1時間限定」とかだと価値観や考え方が全然共有できず、メンバーの悩みや相談、対話の機会も失われ、チームは少しづつ壊れていくのだろうと思った。
なお本の面白さとしては、シメオネの堅い性格からか、やや説教じみており、あまり楽しくはないかもです。
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情熱的な監督のイメージがあったが、意外と器用で冷静な部分もあり、哲学を大事にする印象も受けた。
アトレティコの組織マネジメントを期待していたが、ややフィロソフィー要素が多いのがちょっと残念。ぜひ深掘ってみたいところ。
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リーダーシップの勉強本。いつものシメオネだねって内容。誤審にとやかく言わずに相手陣内でポゼッションしておけ論は好き。