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アラブの春の本質はなんだったのか、フランスのマリへの介入、ウクライナの「革命」といった歴史の変動をマルクス主義の立場から検討しています。確かにマスコミから流れてくる一方的な情報はしばしば矛盾にあふれていますし、特にリビアの現在など、民主革命だったとはとても考えられない状況です。行き着くところまで行った資本主義は物の買い手を求めて世界をさまよいますが、もうあらたな搾取できる場所はなくなりつつあるようです。ただ、オルタナティブな未来があるか、ということになるとこの手の話は常に先細りになることが多く、この本の結論も「小さな社会」を検討すべきだ・・と。確かに衣食住の基本については地域に根ざした「アソシアシオン」を真剣に検討すべきだと思うし、それが地方活性化につながるのかもしれません。ただ、マルクスの考えた共産主義の世界とは多分かなり違った世界になるのではないでしょうか。アナキスト系のジョン・ホロウェイとか、デヴィッド・グレーバーたちの議論に近い結論になってしまうんでしょうかね。
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あらためて、頭をガツンと殴られたような読了感。「最周辺国」、「ばらばらの個人の草刈り場」、「中央と地方」による知的分野での搾取、あたりに納得感が高い。しかも、そういう政策を意図してやっている人は極々一部に過ぎないだろう。それこそ資本主義の仕掛けに絡め取られている。
問題の根源を「中央集権化」に求めるなら、解決策を「小さな社会」に見出すのは自然。だが、資本の論理を脇においておいてそこにたどり着けるかはよく分からない。カネよりも魅力的な何かに人間の欲を向かわせることが必要ではなかろうか?日本人的には、「モッタイナイ」or「おかげさま」に根ざした価値観に解決を求めたい。
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軸がないように思われた(もしくはわかりづらい)。筆者の主張が見えにくい。マルクスについて一定の素養がない人には不向きだと思う。
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北アフリカ・中東問題は、欧米列強の人権・民主化の仮面を被った帝国主義である。これは資本の自然な運動であり、その限界が近づいていることを、アラブの春、リーマン、福島原発事故などの事象から解説。最終章では、マルクスとプルードンの思想を織り交ぜながら、資本主義の終焉とこれからの世界観を展開。マルクスの事を知らなくても、現代社会について十分考えさせられる一冊だ。