紙の本
面白いがチョット無理がある
2014/12/23 12:24
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とんとろり - この投稿者のレビュー一覧を見る
本の帯に「読者全員が犯人」と書いてある。それに帯の裏に解説者が「島田荘司」であれば本格推理と誰でもわかる。
本格推理ファンはこの本の「題名」では買わないがこの「帯」で買ってしまう。
どうやってこの本を読む私が犯人になりうるのか論理的に知りたいと思う。
誰が犯人がで有名なもので「本の著者」が犯人というものがあった。一人称で書かれており、つまり語り部がアンフェアかフェアかで世界で問題になった。
小説はある新聞推理小説を書き出した作家の一人称で書かれたものである。
この大まかなストーリーはこうである。(ネタばらしはしない)
この作家のもとに「香坂誠一」という人物から「読者が犯人」トリックのアイデアがあるから、貴殿に買ってもらいたいという手紙が送られてくる。そのトリックを使って小説に書いてほしいというのである。
但し、住所は書かれていない。そこには近いうちに詳細を書いた手紙を送るから考えて欲しいとある。作家は興味があるものの無視をするが酒の場で友人「有馬」にこのことを話す。「有馬」もいたずらだという。
この作家は「超能力」を信じてはいないが、その手の話は嫌いではない。
仕事の参考にするため超心理学の研究をしている古瀬博士のもとを訪ねたりしている。
そんな時に「香坂誠一」から2通目の手紙が来る。何とそこに教えるトリック代は2億円だという。
封筒の中には手紙の他に香坂の「覚書」という私小説が同封されていた。
ある少年の5歳の時の好きな少女「恵利佳」との短編小説である。
ただ「香坂誠一」は自分の文章はこの短編小説のように稚拙だから推理小説は書けない、その為にトリックを売ろうと考えたと書いてある。作家は「覚書」読み「香坂誠一」には才能があると思う。
作家はこの手紙と「覚書」をやはり友人の「有馬」に見せる。
この後、手紙と「覚書」の続きは再三送られてくる。手紙の文面は作家の日常をよく知っているものが書いた感がある。
「覚書」は少年が中学生に至るまでの簡単な「恵利佳」エピソードが続く。
このエピソードの中で宇宙の天体について多く書かれている。
ある時になってこの「香坂誠一」が警察に追われ逃げた先の借家で内側から鍵を閉めた中で心筋梗塞で死ぬのである。
この死を「この本を読んだあなた」が殺したという小説なのである。
小説自体は読みやすく、内容も面白い、超能力についての古瀬博士の実験も面白く読める。
私は「宇宙」の話も好きだから「覚書」に書かれた少年の話も面白かった。
ストーリーも本格推理小説としての楽しさもある。
しかし、種明かしを読んでこの本を読んだ私が犯人だと思えないのである。
何故か論理的に見えるが現実的でないのである。
「読者全員が犯人」と迄は難しいが「この新刊本を買った人は犯人」だったらトリックがある程度現実的に作れるのではないかと思う。
本は売れると「印税」が入る。一冊何円とかである。これをある編集者の男と幾等「印税」が入るか賭けをする。
この場合書いた本人はそこまでは本は売れないといい。男の方はとんでもないもっと売れるよと喧嘩迄になる。
売れなかったらその差額を男は払うといい。売れたらお前の彼女を貰うということにする。
実際は男のいうように本の人気がでて売れてしまう。書いた男は馬鹿な約束をしたことを悔やむ。
彼女は狂って自殺。男もそれを知って自殺。
「この本を貴方が買った為に作家は死んだ」である。面白くない話ではあるがこの最後のトリック より現実的ではないかな。
紙の本
読者が犯人
2015/07/23 21:01
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投稿者:あらら - この投稿者のレビュー一覧を見る
読者が犯人という帯に惹かれて、手に取った。
最後に「こうきたか?!」という展開。
本の所々に伏線がはりめくらせてる。
しかし、ミステリーとしては邪道と思う人も多いかもしれません。面白かったけど…
紙の本
読者が犯人
2015/04/05 17:30
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukiti - この投稿者のレビュー一覧を見る
読者が犯人のミステリとしては鯨統一郎の方が良かったかな。
100万人が本を読んだら100万人が自分が犯人だと思うことが「読者が犯人」を成立させる条件なら、自分は犯人だと思えなかった。
鯨統一郎は自分が殺した実感があった、まああちらはメタミステリだけども。
多分自分が殺したと思えなかったのは、自分が犯人であるには特殊な条件(ネタバレの為割愛)に更に仮定が必要だからだろう。
駱駝の背骨を折った藁はあったかもしれないが、自分は駱駝の墓に藁を添えただけだと思う。
あるいはこうも言えるかもしれない、そんなものは無く単なる自意識過剰と。
紙の本
よく考えられてはいますが…
2016/07/05 00:44
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投稿者:たかやま - この投稿者のレビュー一覧を見る
よく考えつき、うまく構成したなあと感嘆しました。しかし、手放しに褒める気にはなれませんでした。超能力が存在することのほのめかしがあったから一応フェアかな? とは思いましたが、コアとなる事件が終わり間際にしか顕在化しないのはいかがなものかと思います。犯人は読者と言っているわけですから、冒頭にでかい事件が提示されてほしいものです。 「犯人は読者」というワードだけで最後まで読んでしまったのでそこは流石です。人物の描写がもうちょっと欲しかったですね。
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著者のデビュー作。なかなか文庫にならないなぁと思っていたら、講談社ではなく河出書房から文庫化された。
リーダビリティが高く、先が非常に気になるミステリ。盲点を突いたとも言うべきトリックの発想が凄い。但し好き嫌いは別れそう。個人的に大技を使うミステリはぜひ応援したいw どうせ絵空事なら大嘘を強引にでもつき通して欲しいじゃないか。
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うーん??
まぁー落ち的にはそんなもんか!
ありがちっていえばありがちだし
今までなかったって言えばなかった気がする
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本の帯に読者全員が犯人。と書いてあったので興味津々で購入。確かに読者全員が関わる展開になる結末だが、やられた感が無いのは強引すぎる流れのせいか?斬新さも感じず終わった。
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ラストに驚愕!犯人はこの本の≪読者全員≫!アイディア料は2億円。スランプ中の作家に、謎の男が「命と引き換えにしても惜しくない」と切実に訴えた、ミステリー界究極のトリックとは!?
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オビに大書された「読者全員が犯人」というコピー、そして冒頭にて作家・深水黎一郎に送られてきた手紙の中で、差出人の香坂誠一が述べている「読者が犯人」というアイデアから、私たち読者が犯人という結末は推測できました。
ただ、そんな大風呂敷を広げておいて、納得できる形で物語を終えられるのか、そんなことを考えながらページをめくっていきました。
<以下はネタバレと言えなくもない内容を含みますのでご注意を>
先にも述べたように、本作は作家・深水黎一郎に対し、香坂誠一という男から送られてくる複数の手紙を中心に物語は進みます。
「読者が犯人」というアイデアを二億円で買ってほしいと要求する内容と、突然に突拍子もないことをいう自分のことをわかってもらうための自伝的な内容とがしたためられた手紙。
(後者は「覚書」と銘打たれています)
まず、この手紙自体がとても読み応えがあり、その不思議な雰囲気に呑まれるように、物語に引き込まれました。
やがて読み進めるにつれ、その手紙のことも含めてこの小説全体が、深水黎一郎が実際に体験していることをありのままに綴った新聞連載小説であることが判明します。
さらに、端々に挿入される超能力研究の教授とその実験のエピソード。
どこにどう連れて行かれるのか、足元のおぼつかない感じのまま、でも気になってどうしようもない気持ちにぐんぐんと引っ張られながら、一気に終盤まで持っていかれました。
結末にいたって、被害者が誰であるかが明かされ、読者が犯人であることの謎解きがおこなわれます。
個人的には、「なるほど、参りました。」と素直に認めることができる内容でした。
ただ、作者の本意ではないかも知れませんが、この小説の面白さはその力技それ自体よりも、やはり香坂誠一の手紙と覚書が持つ異様な迫力と考えます。
ラストも香坂誠一の手紙で締められるのですが、「ジキル博士とハイド氏」や「そして誰もいなくなった」を思い起こさせられ、余韻もバッチリでした。
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読んだ人すべてがその事件の犯人になるという、ミステリー界最期のトリック。
その成立をいかにさせるかということで、ワクワクしながら読んだ。
本当に可能なのか?
結末はどうなるんだ?
と、言いようのない気持ちで読むことができた。
結論から言うと、そいういう力を使ってしまっては、ダメなんじゃないの?という残念なものだった。
そういったことをトリックとして使えば、すべての完全犯罪が成立してしまうから。
ただ、この本のお陰で、ミステリーの成り立ちや変遷など知ることができたとともに、ミステリーもどん詰まりに来ているのかもと感じることができた。
このような時代に、また度肝を抜くミステリーが登場してこないかなという期待も持ちつつ。
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キャビアがイクラ…じゃなかった、いくら高級で世界の三大珍味のひとつに数えられるといっても、苦手な人は苦手なわけで、小説の好きな私にも、苦手なジャンルがあるとすれば、それは本格推理。
これはもう善し悪しの問題ではなく、苦手という以外ありません。
どうしてここまで物語が入り組んでいなければいけないのだろう、どうしてこんなに不自然でややこしいのだろう―という疑問が読んでいる間中、頭にあって離れないものですから、事件が解決した時にはカタルシスどころか疲労感に満たされるわけです。
耐性がないともいえます。
本書はそんな本格推理に属する小説。
なら、なんで買うねん!
と、大阪弁で突き込みを入れられそうです。
書店で本書のタイトルを見て強く心を惹かれ、8秒後には本書を携えてレジの前に立っていたのです。
「最後のトリック」とは何か?
それは「読者が犯人」という、ミステリー界最後の不可能トリックといわれるものです。
ね? これを聞いただけでワクワクしませんか?
そりゃもう貪るように読みましたよ。
ぎっくり腰なので自宅にいるときは横になっている以外ないのもあって、ほぼ1日で読了しました。
リーダビリティーも高くてすらすら読めるんですね。
で、ラストの大仕掛けが炸裂して大団円。
なるほど、これは「私が犯人」です。
本筋とはあまり関係ないですが、かなりの紙幅を割いているあの話は、この「読者が犯人」というトリックに奉仕しているのですね。
よくまあ、こんな緻密な構成を考えつくものだと脱帽します。
でも、それでも、やっぱりスッキリしないものがあるんです。
うーん、苦手意識は払拭されませんでした。
すみません、私が悪いんです。
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読書全員か犯人という究極のトリックへの挑戦が題材。そもそも難しいテーマだか、まあ、よくできてはいるかな。何か一つジャンプが必要で、そこかぁって感じが今一つと感じました。2014/11読了。
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読者=犯人。ということでこの作品を「読んでる読者」が犯人になるというお話ですが、不可能とも思えるこのトリックの仕組みを知りたくてつい購入。
最終的に「おお!まさに俺が犯人だ!」と思えば作者の勝ちで、そうでなければ読者が勝ちみたいな感じですね。
結末に関しては賛否両論ですが、途中経過が面白いし意欲的な作品は好きなので純粋に楽しめました。
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読者が真犯人?
騙されないようにと慎重に読んだ。ある意味楽しかった。登場人物にはあまり色がなく平坦だが、人数が少ないから楽に読める。
途中で、DATAをデーターと表記しているのを見て、少し嫌になる。データやろ。気にせず読んでいくとラスト近くからオカルトチックに振れてくる。
そして衝撃のエンディング。しょーもな。
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とても読みやすくて、面白かったです。
辛口評価の方が多いですが、個人的には、もうちょっと評価されて良いと思います。
とはいえ、実際、賛否きれいに分かれる作品だとも思います。
文章表現や漢字の使い分けにも、こだわりを持っているようです。主人公に宛てた(最終的には主人公宛ではありませんでしたが)覚書なる手紙は、内容こそ小学生・中学生時代の幼馴染みとの甘酸っぱい思い出・・と書けば青春・恋愛話にとられそうですが、そこは、どっちかというと、文学的表現で哲学的な印象を受けました。
また、「読者が犯人」なるトリックは・・、なるほど、私も、犯人の一人だと思いました。「屁理屈」だとか「ありえない」とか言ってしまうと、大抵の本が当てはまると思うので、個人的には、これについては許容範囲です。
何より、この本を評価したい一番の理由は、「つまり生まれも育ちも、言語も宗教もイデオロギーも全て異なる読者全員が、読み終わった時にみな一様に、-犯人は俺だ-と思うのでなければならないんだ」(以上本文抜粋)、これは、主人公の友人の有馬の言葉ですが、ここまで読んだ時、「深水さん(作者)・・こんなにハードル上げて大丈夫ですか?」と別の意味でハラハラしながら読み進めましたが、ラストは、この問題を全てクリアしてくれるトリックでした。
賛否分かれる内容ですが、個人的には、おススメしたい一冊です。