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このタイトルから内容を想像できる人がいたら天才だ。
鳩を撃退する方法って、なんだ、保健所か?なんてな。
風俗店の送迎運転をしている直木賞作家が三千万円分(?)の偽札に振り回される。
いくつかの事件が重なり、重なる中から別の「真実」が見え隠れしあれあれまぁまぁとあの日の物語が見えて来る。
鳩ってなに?なぜ大量の偽札が?倉田って誰?最後の最後までひっぱるひっぱる。
ちらばったたくさんのハテナの行きつく先を見届けるまで読むのを止められない。
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久しぶりの長編。大変面白かった。日常的な生活の中での単純な事件をこんなに面白く読ませるのに感動した。
最後、あ~そうやったんや。
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一見無関係と思われていたいくつもの事実が、お話が進むにしたがって一つに収斂してゆくその過程はお見事の一言です。ただ、小説の中の出来事と、小説の中の小説とが入り交じって少し頭を悩ませました。
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作家、津田伸一は今は風俗店の送迎ドライバーをしている。
ドーナツショップで会った男が妻と幼い娘と共に行方不明となる。
津田は、行方不明事件を題材に書き始める。
後に古書店主から津田に届けられたキャリーバッグには大量の一万円札が入っていた。
津田伸一、どうなる?
上巻で「いまあなたが読んでいるこれは、基本、深刻な物語である。」と書かれている。
しかし、津田伸一が書く小説は、笑えるのである。
小さなことにこだわり続ける津田。
下巻では「僕のことばは、あなたに届いているか?」と書いている。
そう!!彼は読み手に問いかけるのだ。
はい!津田伸一からのことば、受け取りました。
面白くてニヤニヤが止まらなかった。
佐藤正午さんが楽しんでいる様子が伝わってきた。
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鳩=偽札。読み通り。しかし話を面白くしているのは、その偽札の内訳。ここまでは読み切れなかった。時系列を転々とさせているところも著者の作戦か。軽妙でありながら謎をなかなか明かさない。だから最後まで飽きさせない。
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小説の中の話なのに、実際の話なのか創作なのかいろいろと考えてしまうところがおもしろい。
自分が作家の津田でもお金は手放したな。
元々自分のものでもなかったんやもん、見なかったことにできる。面倒事に巻き込まれるのだけは勘弁や〜。
そうは言っても、お金となると目がくらむものよね。
あれがあったら……と。
しかし、いろんなことが関わり合ってたんだ。
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上巻の帯に「この作者の新作を、ずっとじっと、ひたすら待っていました」と角田光代のコメントが書かれている。
まさにその通り。私もずっと待っていた。
佐藤正午は大好きな作家のなかでも、私にとっては村上春樹以上の待ち人。
この本も5年ぶりの長編である。(しかも上下巻!)
今回もずいぶん待たされました。
念願の図書館予約一番を勝ち取り、年末年始に読める―!
あー、でもきっと面白くて一気に読んじゃうんだろうな、ムフフ。
なんて思いつつ読み始めたのは良いが、予想に反して手強い相手だった。
津田伸一は直木賞を二度も受賞した(?)経歴を持ついわば過去の人。
この津田が冬の日にドーナツショップである男と知り合った。
まさにその日の夜に男は家族と共に忽然と姿を消した。
現実に起こった失踪事件を元に小説をしたためる津田。
その小説の中の世界と現実の津田の生活を錯綜しながら物語は進んでいく。
どこまでがフィクションでどこまでがリアルなのか段々分からなくなってくる。
伏線をいくつも張り巡らせた巧みな展開は一筋縄ではいかない。
タイトルの「鳩の撃退法」にある鳩とは一体何を意味しているのか。
つがいの鳩はどこへ行ってしまったのか。
後半になるまで明かされない鳩の真実。
最後は全ての謎が解き明かされ・・・。
読むのに苦労させられましたが、最高に面白かったです!
ここまで複雑な構成はなかったんじゃないかな。
無冠の帝王、佐藤正午。やはり只者じゃない。
彼の作品には良く使われる過去に遡及する展開がミステリー要素と相まってぐぐっと惹きつけられちゃうんですよね。
忘れてはならないのが会話の妙。
佐藤正午の台詞回しの巧さはいつ読んでも痺れる。
必ずと言っていいほどのだめんずっぷりが良いのよね~。
これは好き嫌いが分かれるところだと思うけれど私はたまらなく好き。
憎めないのよね、なぜか。
もう、本当にありがとうと言いたい。
こんなにボリュームのある小説を堪能させてくれて。
佐藤正午氏、この小説を「墓碑銘にしたい」なんて言ってますが、そんなことおっしゃらずにもっともっと新作を書いていただきたい。
切に願います。
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津田伸一なる直木賞作家が
なんとも女にだらしない、というか
人生に対して何もかもだけど
極めてどうしようもないやつなんだが
大金抱えて右往左往しながらの
思考回路やその後の動向を読んでいて
めちゃ楽しい。
終盤、鳩たちの飛んだ経路が
分かってくるあたりの畳みかけが
素晴らしかった、
思わずほえ~っと声に出すほど(笑)
面白かったなぁ。
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上巻で既に心が折れそうだったが、下巻は上巻以上にグルグル・ダラダラ。読み続けるのが辛かった。
レビューは高いが、万人に受けるというよりは、好みが大きく分かれる作品だと思う。私には厳しかったけど…。
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そうなのか…長崎県在住独身,書いたり書かなかったりをするアラ還男性~社長から,偽札の件で倉田健次郎から追求されそうになったと10万円の退職金を渡され,床屋のまえだに確認すると,確かに倉田が乗り出したらしい。中野のバーの加奈子先輩を紹介されるが,この地を離れるに当たって岩永に確かめたいことがあって,SPINで呑み,さらにチキチキのママにも確認しておきたかったが会えず,まりこさんと出掛けたドンマスではシャンパンをどんどん開ける騒ぎを演じ,6万円を立て替え,旦那が留守らしいマンションで深い仲になってしまった。朝,こっそり帰ろうとすると,小川デンジャラス真由美と雪の晩に殴りかかってきたチンピラがいる。まりこは,もう一人の山下という顔役の女だったのだ。倉田に繋がると考え,偽札を入れたずた袋を預けたロッカーのキーを倉田に届けさせ,飛行機に乗って中野のバー・オリビアにやってきた。おたふく顔の女は津田が直木賞作家であることを知る編集者で,現金が必要な津田は鉛筆手書き原稿を5万円で見せようとするが,マックを預けて,これで執筆しろと云われる。ドーナツ屋の2階で書いていると,NLHという団体の使いが現れ,33,010,000円の寄付金受領証明書とバッジを渡される。倉田が回収した偽札は101枚だったのかと思うと,居候先の網谷千沙からの手紙で,バッグから抜き取った1,000,000は,津田の口座に振り込んだと知らされ,偽札が1枚だったことを知る。中野ふれあいロードに左手に革手袋をはめた男が来て先輩と仲良く話し込んでいるが,津田には顔見知りのように思われる。客は帰り間際に先輩にピーターパンの本を預けていき,幸地秀吉だと気が付いた津田は,ふれあいロードを南へ北へ走り,遂に早稲田通りでデリヘルの送迎軽自動車に撥ねられる。そのせいで,先輩には無断で引っ越したことが知られてしまい,1年2ヶ月の奉公を強いられる。ピーターパンをなくした2月29日の未明,倉田が封筒を幸地に預けようとしたタイミングとSPINの従業員が3万円の前借りをしたタイミング,幸地の妻の不倫が判明したタイミング,津田が女優から貸した金を返して貰うタイミングが重なり,偽札2枚がぐるぐる回って,房州老人の3千万円と一緒になったのだ~虚?実?,否虚虚だらけだろうけど,油断ならない読み物だ
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癖のある文書が疲弊した今の精神に辛かったのも上編まで。我慢して読みすすめて良かった。後半はあっという間に話が進んで、現在と過去に行ったり来たりにクラクラしながら、いつの間にか読みきってた。
今日は風の強い寒い冬の日、本の世界にぴったりでした。
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主人公の下衆っぷりに腹が立ち、くどい文章表現にちょっと辟易しつつもやはり、鳩がどこから来てどこにいるのか気になって最後まで読んだ。
ピーターパンをからめながらの構成がとても面白かったし、各登場人物のキャラも立っていてよかったと思う。
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話は今のことだったり、過去に遡ったり、これは現実のことなのか、それとも小説家津田の小説の中の出来事なのか・・・
大変凝った作りの小説になっております。
寝ぼけ眼でぼーと読んでいたんじゃついていけません。
何回前のページを繰り直して確認したことか。
最後の最後に謎が解けて、ひととき放心、お見事でした。
いろんな出来事が、それこそこれでもかって言うくらいの出来事が起きて、いろんな人がそれに関わっていて、全然関係の無いように見えることも、すべて見事につなっがっているんですね~
佐藤正午、こんな小説が書けるんだ、見直しましたぞ。
寡作なのも許す。(偉そうに、すみません、うれしいってことです)
それにしても、いつも女性のアパートに居候して携帯代数千円すら滞納していて、直木賞を2回も3回も受賞している作家津田さん、何度振り払っても佐藤正午と重なってしまいます。ごめんなさい、正午さん。
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図書館に予約。6月21日読了。上下2巻、手書き原稿ならありえないPC入力ならではの饒舌なだけの壮大な失敗作。これを出版まで持っていった小学館の編集者の見識を疑うし、きっと作家を止めることもできない残念な人なのだろうと想像してしまう。図書館で借りて読んでよかった、これを本屋で買っていたら激怒したところだった。
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「鳩の撃退法」佐藤正午◆古本屋の爺さんからとんでもない物を遺された作家(だったこともある)津田、のらりくらりと逃亡開始。マジシャンのシルクハットから鳩が何羽飛び出すかみたいなお話なのですが、私にはお洒落過ぎたらしく気取って高めのスツールに座ろうとして足を攣ってしまったような感が。