紙の本
出社者の日和
2015/02/26 15:22
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:fair dinkum - この投稿者のレビュー一覧を見る
栞紐を一本にしてしまった、根性の無さが、残念。
せめて2本を維持する「無意識の心意気」が欲しかった。
投稿元:
レビューを見る
日本社会の“黄昏”を予見した空前のベストセラーから33年。「豊かな時代」を過ごした彼女たちは50代となった今、何を思い、どう生きているのか? 「文藝」連載時から話題騒然の長篇!
投稿元:
レビューを見る
国分寺と立川から一字とって国立
大切なのはただありのままに物事を見つめるのではなく、それがいかにしてそうったかを見抜く力だ エドワード・サイード
子宮頸癌予防ワクチン 販売承認をうけた2つの製薬会社のワクチンが効用をもっとも発揮するのは、最大でもその中の4種類に限定。日本人に多くみられるHPV 52型、58型 2種類への有効性は残念ながら両者の効能書きには記されていない
できる時に出来る事を出来る人ができる限り
2011/3/2 THA 2003 total cystectomy
私権や私益で派閥を組み、その頭領に迎合して出世しようと考える人は、もはや政治家ではない。政治家が高い理想を掲げて国民と進めば、政治の腐敗堕落の根は絶える 石橋湛山
リニア 東京名古屋 40分 ただし、東京品川11分、地下40mのターミナルへ15分、地下30mの名古屋ターミナルから地上へ10分 計76分 のぞみは96分
投稿元:
レビューを見る
日本経済新聞社
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
印刷
33年後のなんとなく、クリスタル 田中康夫著 中年になった彼女たちの「憂国」
2014/12/14付日本経済新聞 朝刊
一九八〇年に新人賞を受賞し単行本がベストセラーとなった『なんとなく、クリスタル』の衝撃を、まだ生々しく記憶している人は少なくあるまい。バブルと称される時期よりずっと早く、ブランドとグルメの情報を網羅した風俗小説であると同時に、豊かさが飽和した日本の空虚感を予言的に湛(たた)えていた。
本書はタイトルの通り、同作の33年後を描いている。ただし本書では、作者にきわめて近い「僕」ヤスオが一人称で語っている。信州で県知事も務め「脱ダム宣言」で県政をひっくり返したことがあるというから、ほぼ私小説的な「僕」である。現在は10歳若い妻と愛犬との、のどかな暮らしをしている彼が、かつて自分が描いた小説の主人公だった由利と再会する。ファッションモデルの華やかな女子大生だった由利も54歳。モデルを辞めてからフランス系の会社勤めをしたあと、ロンドンの大学院で経営学を学んだ彼女は、今はPRオフィスを立ち上げている。
物語的な展開はあまりない。かつて関係を持ったこともある女性たちと再会し、何度か会食しては来し方を聞き出し、「記憶の円盤」が回るのに身を任せたり、国情を憂える声に耳を傾けたりする。彼女らもそれぞれ結婚や離婚や病気を経た中年である。やがて「僕」は由利から悩みを打明けられる。
子宮頸(けい)がんワクチンの啓蒙活動に取り組む由利は、ワクチン接種被害の女性たちの声に衝撃を受けた。一方彼女は、アフリカに眼鏡を届ける社会貢献事業にも意欲を持っている。彼女の立ち向かおうとする壁は、脱ダム宣言が頓挫した壁と、かけ離れているようで実は同じ構造だと、読むうちに気付かされる。
こんなふうに本書は、かつての主人公由利のその後の人生を辿りながら、そこにヤスオの自分史と現在の主張を絡ませていく。女性関係に筆が及ぶと、ついかつてのドン・ファンのヤスオ君が甦りもするのだが、因習的な日本の政治風土の貧困を打破したいという情熱は衰えてはいない。富国強兵ではなく「富国裕民」を目標とし、愛国心ではなく「愛民心」に基づく「公益資本主義」の思想が、熱く語られもするのだ。
デビュー作で付けられた膨大な注も本書で復活しているが、とりわけ出生率の低下と、高齢化率の表に見られる著しい変化は、我が国の将来の危うさを如実に語っている。デビュー作の続編という体裁を取りながら、本書は著者が自らの生き方と信条を惜しみなく吐露した、警世と憂国の書なのである。
(河出書房新社・1600円)
たなか・やすお 56年東京生まれ。作家。長野県知事や参院、衆院議員を歴任。
《評》文芸評論家
清水 良典
投稿元:
レビューを見る
2015.01 01うー、結局クリスタル世代が向かうところってどこなんだろう。何にもできやしない。どうこの小説を読み解けばいいんだろ。
投稿元:
レビューを見る
本文と註を交互に読む小説
それは「33年後のなんとなく、クリスタル」
1980年に文藝賞をとった「なんとなく、クリスタル」の田中康夫が33年後を書いている。前のを「もとクリ」、現在のを「いまクリ」という。両作とも、田中康夫の周辺の私小説で、数十ページに及ぶ註が特徴。
「もとクリ」では、主人公の女子大生兼モデルの由利とその友達たちが身につける・・・・怒濤のようなブランドの解説がお年寄りや、貧しい(私のような)若者を驚かした。
文壇では賛否両論あったそうだ。そりゃそうだろうな。
「いまクリ」では、相変わらず元カノといった女友達との交遊場面が中心だが、主人公ヤスオの33年間にわたる、長野県知事、参議院議員、衆議院議員としての経験から註もミーハーなモノに留まらず、政治、経済に関する鋭いものも多い。
投稿元:
レビューを見る
1980年当時、20代の頃に憧れていた都会的な生活や価値観が33年後にどう変遷したのか。社会の変化とともに、自分自身のブランドに対する価値観も生活における優先事項も大きく変わったが、田中康夫さんの根っこの部分は全然変わっていないねと、少々冷めた目線で読んでいました。
投稿元:
レビューを見る
2015年2月の課題本です。
http://www.nekomachi-club.com/report/18418
投稿元:
レビューを見る
自分の読み方が下手な自覚はあるが、やはり主人公が好きになれないと物語にも嫌気がさしてしまう。内容は時事ネタを盛り込む部分は面白味があると思うが、やっぱり政治家が嫌い。つまり自分が悪い。
投稿元:
レビューを見る
クリスタル族という言葉を生んで、社会現象ともなったあの『なんクリ』の33年後と聞き、どんなものかと興味をもった。
と言っても、前作に関してはほとんど記憶にない。ブランド名やらカタカナやらがチャラチャラと、これでもかというくらい出てきて、反感を持ったことだけは覚えているが…。
というわけで、どうせなら続けて読み比べてみようと、まずはこちらから。
前作はクリスタルな女子大生が主人公だったが、本作は、ヤスオちゃんがその彼女と再会したことが話の中心である。33年前に関係した女性たちも多々登場し、過去を振り返りつつ、政治的な要素を散りばめながら現代の社会を語っていく。
長野県知事のあと、震災のボランティアや国会議員を務めた経歴、再婚した相手との暮らしなどは現実の生活そのままだから、私小説と考えていいのだろう。が、となると過去の女性たちとの関係を、こんなに明け透けに書いてしまって、相手に差し障りはないのかと、気になった。
また、『もとクリ』の主人公は、当然のことながら50代になっていて、自立した魅力的な女性として描かれている。だが、いかんせん、ヤスオちゃんの独特な語り口調が現実のご本人そのままで、彼の顔が浮かび、ねちねちと語りかけられているような生々しさがまとわりつく。なので、客観的に小説として楽しむことが難しかった…。
投稿元:
レビューを見る
鼻持ちならない上流階級小説。庶民はヨダレを垂らして眺めるだけの貴族生活がかいま見える。ただ、小説の世界で新人賞さえ獲得できればその仲間入りできる可能性もあるという意味で、今の若者は期待が持てるかもしれない。
2013年時点で全人口の25%が65歳以上だという事実は勉強にもなり恐ろしくもあった。
投稿元:
レビューを見る
この本に33年前の話の続きを期待したら裏切られます。あくまで主役はヤスオちゃん。当時付き合ってた女の子達と再会して、自分の来し方行く末について語りまくる。キモーい!
投稿元:
レビューを見る
ミーハーな私は33年前の「なんとなくクリスタル」を読んで六本木のチャールストンカフェとかチャールストン&サンに行ったことがあります。あの33年後ということで読んでみましたが、相変わらずのリア充ぶりに圧倒されます。80年代に著者はAORを聴いていたとのこと、やはりプログレなんか聴いていたからもてなかったと今更ながら反省です。女性からペログリに水を向けられている著者がうろたえているのには笑いました。あれから33年は伊達じゃない、しっかり歳を取っているのだ。
どうでも良いことですが、プログレとペログリって似てるw
投稿元:
レビューを見る
クリスタル族の33年後。1980年代に大学生だった彼らは50代になった。バブルの雰囲気を残して『クリスタル』の世界観再びという感じ。全体としてはとても面白く読めるところと、耐え難いところが両方あり、山谷あってトータルすると決して賞賛とまではいかない。
良い点。
筆力はさすが高い。80年代の回想、ノスタルジーという点では特に同世代には楽しく読めると思う。また、註は相変わらずウィットに富んだものも多く、註とは説明を補足するものであるという概念をブチ破り註も含め本編の感はもとクリと変わりなく健在。
悪い点。
バブル世代の話ではあるけれども、もとクリのように世代を体現する登場人物にはなっていない。彼らはどれもDINKSだったり旦那が金持ちの専業主婦だったりで、素晴らしい物質的生活というのがこの世代だからというよりはただ単純に上流階級として恵まれているだけのように思える。大半のバブル世代は普通の生活をしていると思う。
また、自己正当化と実績のひけらかしには辟易。おれこんな難しい社会問題も知ってるよ、知事としてこんなことやったよ頑張ったよすごいでしょ、といいつつカルチャーにも造形深いんだよ感がバリバリで鬱陶しい。政治からAORミュージックまで幅広く触れれば触れるほど、ちょっとね。
あと、主人公がヤスオなので否応なく田中康夫の顔が浮かんでくるが、その顔でこれかというくらいナルシストすぎる。女には事欠きません、お洒落で気の利いたデートしてます、あげくにはキスシーンまで。もーうムリ。
投稿元:
レビューを見る
今になって33年前だという前作から読みだした
日記なのか日記タイプなのかドキュメントタイプなのか?
嘘臭くなくて新鮮で読みやすい
いかにも隠し事のできないというヤスオさんらしいのかも
流行や知識に無関心は人間にとって
読み飛ばす部分も多いけれどもそれなりに
時代を感じ取れる所もワルクナイし
愉しく暮らす生き方や仕事や恋や家族の素敵な関係とか
誰もが落ちこぼれなく暮らせる福祉の問題を
雑談として何気なく語り合う中に読者を惹き込んでくれる
無知故に国民自ら招いている
利己的中央集権における社会問題解決法満載だ
とりあえずの解決から抜本的な提案まで
シナヤカに取り揃えている
有名になったガラス張り知事室に始まり
脱ダム宣言・ふるさと納税・脱記者クラブ宣言・
知事会見の主催と進行を県が毎週自由参加で時間も質問も制限なく実施・
村々での直接対話の車座集会・
乳幼児と高齢者が共に日中を過ごす《宅幼老所》・
ハコモノ行政を卒業して無駄を省いた軽快な行政・
一家の母のような多機能・多能工な職員養成と法的充実・
面白い特徴としては本文275ページに対して
註:として書き連ねている部分が何と
69ページもあってフォントも小さい
更に本文の最後の2ページは小さな字で
人口問題に対する統計のデーターである
主人公の由利がヤスオの《微力がだ無力ではない》との
言葉を頼りに探しだす人生航路
ヒューマンイノベーションマネージメント=
夢物語や損得に溺れるでもなく経済活動と社会貢献の融合
について学び実践していく
例えばマイクロクレジットで
虐げられた女性の自活を可能にするグラミン銀行や
ホームレスの復帰を促すビッグイシュー雑誌立売販売
由利が選んだのはヴィジョン・スプリング
上から目線で恵むだけの依存の関係でなく
物々交換の延長線上で何らかの遣り取りをして
持続性のある暮らしを成り立たせること
メーカーとユーザーの協力を得て
メガネやレンズを現地の人に格安で卸し
度の調整や修理の基礎知識を教えて行商までを可能にする
あるいは薬害問題に悩んでいる人達と薬剤業界の間で
中立な広報としての立場を確保して
出来る限りのお世話をすることを暮しの一部として
自己満足に終わらないように距離をとりながら
《自律を求めて連携を恐れず》
シナヤカに生きていくことを目指す
集うことの大事な点は嘘と秘密を無くすことと
政治や行政が本来やるべき筈の
一人ひとりの自在性を維持し対等で過不足のない再分配を
可能にする関係を取り戻すべく
すべての人に働き掛け合って行く必要があるだろう