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時間と視点が複雑に混ざりながら進む物語は分かりづらくもあるが、失われた死後の世界が再びたち現れる話しとして興味深く読んだ。どう評価して良いかうまく表現できないのだけれども、読後ずっと音が鳴っているような物語世界の存在感がある。
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人工知能が文化をも管理し、発現させる未来(『ニルヤの島』ネタバレ書評)
http://hiah.minibird.jp/?p=2248
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「大環橋」という巨大建造物がすべての景色に共通しており、一つの軸になっていた。また、カニクイザルの描写も共通点にもなっているほか「住んでいる」感をうまく演出していて、「セカイ系」の要素としてよくできていた。
テクノロジーを全面に出したSFというよりは、「死後の世界」「ミーム」「カーゴ・カルト」と言った文化人類学的切り口でから未来を描いていて、SFとしての重厚感を出している。こんなアプローチありなのかと思った。でもその裏付けがしっかりテクノロジーに依っていて、ラストへの収束は素晴らしかった。
世界は複数の登場人物により多視点的に描かれていて、非常にわかりづらい。ただ、そもそも本作にはタイム・スケジュールという、時間軸を繋ぎ変えて叙述(ナラティブ)を作り出すという技術がありなかなかメタ的なのだけど、こうした断片化をテーマにした著者が敢えて物語の進行も断片的にしたのだから、そこには意味があるのだろう。ということでラストにはしっかり断片が一本の線に繋がり、種明しされる。
こんな小説よく書けるな、と悔しく思ったのが正直な感想。柴田勝家にしてやられた。
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[関連リンク]
早川書房さんはTwitterを使っています: "【第2回ハヤカワSFコンテスト受賞作】
『ニルヤの島』柴田勝家
「死後の世界がない」ことが証明された時代。ミクロネシアを訪れた学者ノヴァクは、死出の舟を造り続ける日系の老人と出会う……驚嘆の文化人類学SF。 http://t.co/vcobsAe0m1": https://twitter.com/Hayakawashobo/status/539412310884773888
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〉いずれ全ての私になる彼女と出会う私は、その街でいずれ全ての彼女となる私と出会う彼女に出会った。
みたいな文が頻出する和製SF。第二回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。
普通なら悪文過ぎて手に取れないところだけど、わざと書いてるからまあ…と思ってがんばって読みました。構成も複雑で人称主体もコロコロ変わるので、誰が誰やら、集中力を全部注ぎ込まないといけないハードな作品でした。めちゃくちゃ時間かかった。1ヶ月も使ってしまった。
受賞作って、チャレンジングな作品が選ばれがちな気がする。
ミクロネシアを巨大な橋が結んでミクロネシア経済連合体を作ったり、模倣子(ミーム)コンピュータとか、科学が死後の世界を否定したり、SF的に面白いガジェットいっぱいで良かったけど、読み返す気力は出なかった…。
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主題はとっても興味深かったけど、なかなか難しい本だった…
生体受像の発達により、人生の全てを叙述できるようになった世界。いつでも死者のログにアクセスできる時代において、人生のバッファとしての「死後の世界」は消失した。
しかし、ミクロネシア経済連合体では死後の世界を主張する新興宗教が興る。
ニルヤの島信仰。血縁に頼らない他者とのつながり。他者への共感と文化の共有。
人間は遺伝子を運ぶ機械、ミームを運ぶためだけの容れ物?
文化は、規範は、他者と溶け合うことを通じて継承されてゆく。
どれだけ自己の実在性が確保されたとしても、他者がいる限り、人間は孤独からは逃れられない、ということだろうか。
救いとしての死後の世界。
チェスのパート、重要だったんだけどそもそもチェスのルールも分からないし、目が滑り気味だった。悔しい。
行ったりきたりでなかなか流れが掴みづらいのだけど、最終章「結合」、ゾワッとする。
SFをしっかり読める素地と理解力がほしい。
南の海に浮かぶ島々の情景描写が鮮やかでよい。SF×南国、とってもいいな…
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断片化・時系列バラバラの物語が、少しずつ編み交わり、全体があらわになっていく感がたまらない。
のめりこんだ!多分これからも何度も読むと思う。
自分でも全部を理解してないと思うけど、それこそ死ぬ数秒前くらいまでにわかればいいだろう。
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主観時刻の叙述のごとく入り乱れる時系列と、並列に語られていく複数人の主観が自分には難しく、混乱してしまった。
5章ぐらいかぐらいからやっと飲み込めて、そこからは一気読み。