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F1の最新技術についてエッセイ風にまとめた解説本。エンジン、空力などのテーマ別に2014年の最新技術について解説する。
1987年の日本GP観戦に行った後から欠かさずF1のテレビ中継を見ていたが、21世紀になるとレギュレーションが毎年のように変更され、何が何だか判らなくなってしまった。そこで現代F1の技術がどうなのか、F1の技術がどのように変わってきたのかを知りたくて読んでみた。
この本は、F1放送を見ているだけという自分のような素人には難しい内容で、特に馴染みの無い技術用語、数値の意味など、説明に使用されているイラスト、図を見ても理解できない部分も多かった。それでも各テーマが「車の速さを引き出すために何をしているのか」というベクトルで解説されており、テレビ観戦の予備知識として活用できると思う。
正直、F1のレギュレーションは、本来レース車の安全性や公平性を期するために作られているようだが、あまりに細かく、且つ禁止項目が多すぎて、参戦するチームのハードルが高くなり、結果的に資金と技術力があるチームが圧倒的に有利になっている。ルールの抜け穴を探して新たなデバイスを開発しても、FIAの審査で禁止されれば意味が無くなる。そういったことの繰り返しで、F1の車体技術は進歩しているのだろうが、結構無駄なことをやっている印象もある。現代F1はドライバーの力よりもマシンの性能が重視され、チームに決められたとおりに動くドライバーは「スポーツというより仕事」という感じになっているかもしれない。マシンの力が勝敗を決める現代F1の人気が低下している理由が何となく判るような気がした。
ここに書かれていることは、2014年シーズンの著者の取材によるものであり、既に1年近くが経過してしている。最先端の技術は、現在開発に携わっている当事者しか知らない。この本も素人には「最先端技術を解説した本」という位置付けだが、当事者が見ると「歴史書」に見えるかも。