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以前から気になっていて、読みたかった本です。
期待通りの面白さで、ずんずんと作品世界に引きこまれて読めました。
異世界ファンタジーといえば、良いのでしょうか?
主人公の斎は自身も術を使う術者であり、ふとしたことから異世界に飛ばされてしまい、異界の王と拘わりを持つことになる。
異世界の王は3年前に突如として行方不明になった妃のゆくえ探しを斎に頼むのだが―。
と、ここまでは本に記されている作品説明とほぼ同じ。
ですが、私が唸ったのは、斎たち人間界の術者たちが〝山怪〟として退治していた妖怪が実は、異世界からこの世に迷い込んできた異世界人であるという設定でした。
更に、人間界に来てしまった異世界人は人の姿を取ることでができず、怪物に変化してしまうという設定もです。
ここまで読んできた時、行方不明になった妃もまた人間界に迷い込んで妖怪となったのだなと悟りました。
しかも、妃を退治つまり殺したのは斎が敬愛する師匠であり、また、その愛する師匠も妃の変化した妖怪に殺され相討ちになったという哀しい経緯がありました。
いつしか異世界の雄々しい王を愛するようになっていた斎でしたが、、
3年経ってもなお妃を恋うる王の姿に切ない想いをいだく斎の心がよく描かれ、更には、よく考えられ計算された緻密な筋立てに引きこまれた作品でした。