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世界各国から集められた死刑囚を収容する、ジャリーミスタン終末監獄。親殺しの罪で収監されたアラン青年は、“監獄の牢名主”と呼ばれる老人シュルツと出会う。明晰な頭脳を持つシュルツの助手となって、監獄内の事件の捜査に携わるアラン。
死刑執行前夜、なぜ囚人は密室状態の独房で斬殺されたのか。どうして囚人は闇夜ではなく、人目につく満月の夜に脱獄したのか。そして、アランが罪に問われた殺人事件の真相とは……。
終末監獄を舞台に奇想と逆説が横溢する、著者渾身の本格ミステリ。
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異国の死刑囚のみが収められている監獄を舞台にした、味わい深い連作短編集です。
一つ一つの短編は小粒な印象を受けますが、事件の謎が魅力的で、連作短編としての仕掛けもあったりで、とても満足のできる楽しい読書でした。
映画『グリーンマイル』や『ショーシャンクの空に』の世界観が好きな人には堪らない1冊でしょう。
「魔王シャボォ・ドルマヤンの密室」
法月綸太郎の傑作短編「死刑囚パズル」を彷彿とさせますが、流石にあそこまでのロジカルさや意外性はありません。しかし、凶器のトリックやなぜ執行前夜に、という動機が強烈です。
「英雄チェン・ウェイツの失踪」
脱獄に至るまでの囚人の行動が印象的。忍耐強く、思い切りがいい。獄中で生まれた1つの英雄譚。
「監察官ジェマイヤ・カーレッドの韜晦」
真相自体に意外性はありませんが、その動機は哀しく作品の印象を深めています。
「墓守ラクパ・ギャルポの誉れ」
作品の舞台を存分に活かした真相は、異形の理論と言ってもいいかもしれません。細やか伏線も素晴らしい。
「女囚マリア・スコフィールドの懐胎」
一見不可能に見える事件を、逆説的なトリックで可能にする手際がお見事。
「確定囚アラン・イシダの真実」
主人公の過去が明かされ、齎される真相は1冊を締めくくるに相応しく、全編を通じた仕掛けにもニヤリ。
エピローグの予定調和から逸脱する感じも、毒があって僕好みでした。
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世界各国の死刑囚が集められた終末監獄で起こる不可解な事件を、主人公死刑囚と最年長死刑囚が解決していく連作短編集。
それぞれに設定された謎が魅力的ですし、手掛かりや伏線の張り方も丁寧です。ホワイダニットものとしてはなかなか良作だと思います。
ただ、最終話とエピローグが違うテイストなので、連作短編集としては纏まりに欠ける印象です。
ベストは【墓守ラクパ・ギャルポの誉れ】。特異な動機が際立っています。
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癖の強い話が多い鳥飼作品だが、この作品は比較的読みやすかった。
舞台設定が興味を惹かれるし、1つ1つの話もあまり長くなくて分かりやすかったので良かった。最後のアラン・イシダの話がもう少し短くまとまっていたら最高の出来だったと思う。
1番好きな話は『墓守ラクパ・ギャルポの誉れ』
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【収録作品】魔王シャヴォ・ドルマヤンの密室/英雄チェン・ウェイツの失踪/監察官ジェマイヤ・カーレッドの韜晦/墓守ラクバ・ギャルボの誉れ/女囚マリア・スコフィールドの懐胎/確定囚アラン・イシダの真実
老シュルツの狂気に戦慄する。
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世界中から死刑囚が集められたジャリーミスタン終末監獄。そこで起こるさまざまな事件を描く連作ミステリ。
どれもこれもトリッキーで魅力的です。そして人間心理のトリックも見事。特に「英雄チェン・ウェイツの失踪」の動機にはぞくりとさせられました。
そして「確定囚アラン・イシダの真実」からエピローグにかけてが実に素敵。いろいろ伏線を回収したうえでのあの真相と、怒涛の展開。最後の最後で感動させてくれるのかと思いきや……えええっ! そりゃないよぉ……いやでもそういう邪悪さは大好きなんですが。やられたなあ。
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結構好き。舞台設定が凝っててそこでしか作れない物語なので読んでいて楽しかった。連作短編というか長編のなかで事件がいくつも起きている感じ?
・魔王シャヴォ・ドルマヤンの密室
最初なので戸惑ったが謎解きパートで一気に引き込まれた。いちばん伏線がしっかりしている?
・英雄チェン・ウェイツの失踪
めっちゃ好き。好きな部分を書くとネタバレになるが面白い。
・監察官ジェマイヤ・カーレッドの韜晦
爽快、にやりとできる終わり方の作品のなかでこれだけ少し切ない。
・墓守ラクバ・ギャルボの誉れ
グロきた!異常犯罪!と思っていたら綺麗に終わって悲しいようなうれしいような。面白い。
・女囚マリア・スコフィールドの懐胎
完全に予想通りの展開だった。ここまで序盤で全ての展開がわかったのなんて初めてのような気がする。
・確定囚アラン・イシダの真実
終わり方、よかった。アランについてはちょっと物足りない。引っ張りすぎたか?
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世界中から死刑囚を引き取って収容しているジャリーミスタンの終末監獄。いつ死刑が執行されるかはこの国の独裁者しだい…という設定が面白い。親殺しの罪で収監されたアランは、囚人や獄卒たちに一目置かれている頭脳明晰な老人シュルツの助手となって、監獄内で起こったいくつかの奇妙な事件を捜査することになるが…
翌日死刑になる男がなぜ殺されたのか、なぜ闇夜でなく満月の夜に脱獄を決行したのか…などチェスタトンの香りがする話が多い。
そして最終話でアランに死刑執行確定の知らせが届き、彼が収監された原因となった事件の詳細が語られる。これがなかなかに怒濤の展開で、エピローグではうわっと叫んでしまった。なんという素晴らしいオチ。
この著者は作風がバラエティに富んでいるが、今まで読んだ中ではこれが一番インパクトあったかも。
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ジャリーミスタン終末監獄、そこには各国から死刑囚が集められ死刑が執行されていた。そこで死刑を控えた死刑囚が2人殺される。何故待っていれば死ぬ死刑囚をわざわざ殺したのか?
連作集であり探偵役は共通。場所が限定されある意味密室とも言える監獄での事件のため本格ミステリーとして制限が作りやすくロジカルに仕上がっている。
エピソードに一番驚かされたけど。
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どういう話を作ればミステリマニアに受けるかを研究して
明確に狙って作られたものだという印象。
一言で言うと、ミステリマニアにファンが多い
「芦辺拓のSF舞台設定と麻耶雄嵩のブラックな結末で〆る手法」を
足して2で割ったミステリーランキング狙いの本。
穿った見方かもしれないが、そう見えて仕方なかった。
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探偵犯人被害者の全てが監獄の中な終末監獄を舞台にした連作短編集。最終章の落とし穴に完全にハマってしまい悔しくてたまらない。おぞましさがどの短編からも滲むが特に好きなのは二篇目の「英雄チェンウェイツの失踪」。短編ながら各編で構築される物語が濃密なのが良い
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架空国家の死刑囚のみの刑務所が舞台の異常設定ミステリー
書き下ろし2作含めた6つの同世界短編
思ったよりも世界に馴染んで面白い
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ミステリ/近未来/連作短編集
個人的に、鳥飼否宇さんのベスト作品だと思う。
独特の舞台を設定することで、異様な事件が起き、異常な動機が解明される。
雰囲気としては、梓崎優『叫びと祈り』に似た印象を受けた。
短編集として、各話とも読み応えがあるが、作品全体で一つの物語となっているのも良い。
特に、最終話「確定囚アラン・イシダの真実」での展開は胸を打つ。そして、エピローグで愕然とした。
アラン・イシダの数奇な人生は、続くのか…?
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舞台設定は魅力的。各章のミステリとしての面白さは、それほど意外性は大きくないが極限状況をうまく利用している。ラストは想像できるが最後の最後の一ひねりはやられた感。7.25
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死刑。推理。各国の死刑囚が集められた終末監獄。そこで起こる事件を解決する死刑囚のシュルツ老。その片腕となる若きアラン。いろいろ難しいけど、最終的には都合よくすーっと流れていっちゃう。