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ものすごく難しい問題をはらんだ1冊。
脳死とか、移植とか、もう何十年も前から議論があって、でも、答えがでない問題。
大事な人の死を受け入れたくない気持ちもわかる。
移植を待ち望む人の気持ちも、たぶん、、、
そして、日本人が海外で移植を受けることに対して、批判的な国があることも聞いたことがある。
(そして、それは無理もないことと思うし。。。)
移植で家族の命が助かるのなら、なんとしても大金を工面したいというのは人情だと思うけれど、その大金で、海外で移植を受けると言うのは、その国の人の機会を奪うことでもあるわけで。
それは、本来、自国でできることを最大限にやってからであるべきなのだろうし。
作中、ハリマテクスが開発した技術が、実際に実用可能なものになったら素晴しいだろうな。
とはいえ、薫子には、正直、あまり共感できない部分も多かった。
弟の生人が、かわいそうなほど。
なんだか、あまりにも狂気じみている気がして。
だから、心臓移植の募金ボランティアが、彼女だったと分かって、あんたがそれを言ったのか、というのが正直なところ。それを言うなら、自分が提供を実践しろよ、というか。
むしろ、夫の和昌の方は、星野を引っ張りこんだことはともかく、常識人だと思えた。
そんな風に、いろいろ考えさせられたわけだけど、エピローグは、なんだかいい感じで、ほっとする終わり方だった。
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ゆっくりじっくり読みました。
殺人が起きるわけでもなく
謎があるわけでもないけど
しっかりとしたミステリーに仕上がってるのが凄い!
人の心の機微に寄り添った形で
エンターテイメントしている。
面白かった。
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やはり面白いんだよなーと思わず唸ってしまう東野圭吾作品。今作のテーマは脳死。そして臓器提供についてです。ミステリーではなく医学の話。こんなものも書いてしまうのか、が率直な感想。
娘の小学校受験までと仮面夫婦のもとに不幸が訪れる。その娘が水の事故で意識不明の重体、やがておそらく脳死と判定されてしまう。
臓器提供するか否かのときに娘の体が動き、やがては自宅介護をすることとなる。
脳波のない娘は夫の会社のツテで自発呼吸できるようになり、やがては筋肉まで動かせることになる。
娘は生きているのか死んでいるのか、いつ死んだのか。
すごい重たかった。
医師の進藤さんがいい人。奇跡の子、で涙腺が緩んでしまった。ラストのプロローグとエピローグの結びはやりすぎかなーと思いつつも、めでたしめでたしで満足です。
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子供の脳死と臓器移植がテーマ。
自然の摂理から言えば、死は心臓の停止であり、“脳死”という言葉は臓器移植するために線引きが必要であり、人間が後から定義したものである。
読後は、脳死は生か?死か?などという議論は無意味であり、一番近くにいる家族がどう思うかだという事に気付かされる。
薬丸岳っぽいテーマではあるが、結末の持っていきかたが、東野圭吾である。
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読書記録です。まだの人は読まないでね。
今まで元気に飛び跳ねていた我が子が…なんて考えたくもない。でも、そういう事故は毎日起こっている。
医療が進めば進むほど、恩恵を受けられる側と同時に悲しい決断を迫られる側も存在する。
作中、どちらの側の気持ちも経験した両親の考え方が一番印象に残った。できない、と思う。
「そうならないとわからない」「考えられない」と言いつつ、募金のボランティアをする母親が自分に近いかな。
あと少しで終わるところで「もしかしてファンタジーにしちゃうの?」と読むのをやめようかと思ったけど、それはなかった。最後のファンタジーは許せる範囲…作者にしても非現実的だけど、小説だからこういうラストが私は好きです。
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脳死と小児の臓器移植を取り扱った作品。この夫婦は、自分たちの答えを見つけたけど、正解はない課題だろうと思う。
生命倫理をテーマにした作品は久しぶりで、ここ最近の東野作品にしては、サクサクと読めた。
「祈りの幕〜」と「夢幻花」は途中で放り出し、(「マスカレード・イブ」と「ラプラスの魔女」は開いてもいない)
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重たいテーマで本当に色々と考えさせられました。母親は凄いな。終盤で娘に刃を向けて命懸けの心の叫びに胸打たれました。物語を読みながら何度も、考えたけど何をもって死とみなすのか❓脳死=死と言われても私だったらやっぱりこの物語に出てくる母親のように受け入れることは出来ないかもしれない。身体が、(心臓が)動いている限り死と思うことが出来ないんじゃないかなと、そう今は感じます。
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娘が水難事故にあい、二度と目覚めることはないだろうと医師から宣告。脳死判定を行い、臓器提供に一度は同意した両親だが、判定前にわずかに娘の手が動いたと感じ、撤回。
その後最先端医療により呼吸を続け、更にはトレーニングを積んで機械による手足の動きも可能に。
脳機能が停止しているのになぜ。病院では奇跡の子と呼ばれていたようだが、やがて介護を続けてきた家族・親族間にも違和感が。
娘は患者なのか、死体なのかー。
人の死ってどこで判断すべきなのだろう。とても難しいテーマだ。
私もこの母親の立場になったら同じことをするのだろうか。
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【天空の蜂】や【虚ろな十字架】の所謂、明確な答えが出せない系の問題を取り扱った作品でした。
その問題というのは【脳死】です。
脳死とは何なのかが、この小説を読むと理解できます。
それと子供の臓器提供の実態についても!
私にも今度3歳になる子供がいます。
作品に出てくる瑞穂ちゃんと、重ねると、とても辛いです。
子供がある日、事故にあい脳死【推定】だろうと言われる。
臓器提供すべきか?それとも脳死の判定を受けずに、そのまま生かすべきか?
自分の身体であれば『ハイどうぞ!』でいいのですが、愛おしい我が子であるからこそ【身体の一部でも生きていて欲しい】だったり【奇跡が起きる可能性を考えたり】【動いている心臓を止める事への抵抗】【どんな状態でも一分一秒でも長く生きていてほいし】て考えてしまいます。
作中で誰かが言ってましたが、その時にならないと判断できないだろうなと本当に思います。
明確な答えが出た訳ではないですが一定程度のスッキリとした読了感のある作品です!
因みに、東野圭吾ファンの皆様には第4章の【本を読みにくる人】がオススメです!
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脳死と臓器提供がテーマ。
難しい問題だと思う。
すっきり終わった感じでよかったけど、いろいろ考えさせられた。
娘の小学校受験が終わったら離婚する。そう約束した仮面夫婦の二人。彼等に悲報が届いたのは、面接試験の予行演習の直前だった。娘がプールで溺れた―。病院に駆けつけた二人を待っていたのは残酷な現実。そして医師からは、思いもよらない選択を迫られる。過酷な運命に苦悩する母親。その愛と狂気は成就するのか―。
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「人魚の眠る家」
死とは何か。
夫婦仲は既に冷めきっている中で起きた悲劇。一度壊れた関係を繋ぐきっかけが、子供の悲劇。その悲劇は、更に過酷な運命を突きつける。
本作は、東野圭吾氏の専門領域であるミステリーとは違う、死の定義に向き合った作品になってます。死でも脳死であり、娘の不慮の事故による脳死。その現実に対して、リアリスティックに向き合う意味と母として向き合う意味を考える形になっていてここまで落とし込んだ形での死の扱いは、東野氏の作風では珍しいかと思いました。
脳という謎が多く残るモノに対する脳死判定には、未だに多くの議論の余地があります。倫理面と医学面を混ぜ込んでしまう為に、本来議論すべき点が一向に議論されないことがあるんじゃないか?と感じています。妻である薫子が主張する「法がが果たして正しく機能しているのか。解釈は正しいのか」は、その一つかと思いました。議論の中心にいるべき政治家が、そもそも当てになりませんし。
印象的だったのは、娘の死を受け入れ出す和昌と娘はまだ生きていると考える薫子が、息子生人の誕生日会でぶつかるシーンです。全てをさらけ出したあのシーンは印象深く、最終的な結論に至る上で薫子にとっては必要だったと感じました。また、生人や薫子の妹の娘である若葉という2人の小さい子供が感じる死も訴えるものがありました。
題名の人魚が眠る家というのも、読み終わってこそ何故その題名だったかが分かります。
果たして自分だったら受け入れられるか。薫子までには至らないだろうけど、それを断言することは当然できないですね。
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ミステリーじゃない東野作品を初めて読んだかもしれない。
小児の脳死と臓器移植という、かなり重いテーマの作品だったが
それでも一気に読ませてくれるところは、さすがは東野さんだなぁと唸った。
自分の子供が脳死を宣告されたら。。。その時私はどうするだろう。。。
その時にならなければ分からない、というのが本音だ。
一方で、「子供のために狂えるのは母親だけ」という薫子の言葉、その通りだと思う。それも本音だ。
何が正しくて何が間違っているかなんて、そんな答えは出せるものではない。大事な子供の命と親の愛情に一律の「法律」を当てはめるのも無理な話だと思うが、どこかで割り切らなければならない時も訪れるのかもしれない。。。
いずれにせよ、東野さんの前々作「虚ろな十字架」に続き、幼い女の子が命を落とした。この設定はたとえフィクションの世界でも胸が苦しくなる。子供が犠牲になるようなストーリーはできればもう書かないでほしいなぁと思うのは私だけでしょうか。。。
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著者らしい良い本であった。
プールの事故で脳死状態に有るのではないかとされた娘瑞穂。わが子の事実上の死を信じたくない妻薫子は、夫の会社(障害のある体を脳波等の信号を元に機能出来るようにするハイテク企業)の技術を使い、瑞穂の体を動かし、また横隔膜で呼吸器をつけずに呼吸をさせたりと努力を重ねる。そのおかげでか筋肉も衰えず、血圧や体温維持、更には成長さえ続けるという奇跡的な状況を生み出す。
しかしその一方で、移植手術によってしか、その命を繋げない子供達も少なからずいて、その葛藤も描かれている。
感情移入すると読み進めるのも結構辛い感じだが、ラストは暖かい気持ちになり、小説としては流石だ。
この本には移植と脳死について深く考えさせられると共に、多少出来が悪くても元気な子供と一緒に走り回れる日常、そしてそれを実現させてくれている森羅万象に感謝する事を教わった。これからも恙無くと願うばかりだ。
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わが子のために狂うことができるのは母親だけ。
ずしっと心に響きました。
東野さん、なぜ母親の気持ちがそこまで理解できるのか・・・
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現在 中3と 小5の 子どもがいます。
私自身、臓器提供意思カードを 記入して 財布に入れてあります。
でも、子どもが 脳死状態になったら…想像しただけでも おそろしい…しかし 絶対に 起きないとも 言い切れません。
薫子の 意思の強さ、諸々と 考えさせられました。