紙の本
「不安定な炭素化合物」としての人間の生命は果たして強力な生命体なのか?
2020/02/05 12:50
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、高品質の難解な科学的知識を分かり易く教えてくれることで大好評の「ブルーバックス」シリーズの一冊で、同巻は「生命とは何か?」という素朴な疑問に真っ向から答えようとした画期的な科学書です。この世界には、私たち人間以外にも様々な生命体が存在しています。それらの中には、物凄い高温、物凄い高圧、物凄い塩分、物凄い放射線、物凄い重力にも耐えられる生命がいます。こうして考えると、私たち人間は果たして強力な生命体なのかと疑問が湧いてきます。しかし、実際に人間は様々な環境に順応して今日まで生き延びてきたのです。同書では、シュレーディンガーの生命観、エントロピー増大の原理を超えて40億年も地球にはびこる人間、同書では「不安定な炭素化合物」と呼ばれれている生命体の謎に迫っていきます。
電子書籍
生命と宇宙を考える
2016/02/28 12:24
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投稿者:桂 - この投稿者のレビュー一覧を見る
何年も前ですが深海のドキュメント番組に出てらしたのを拝見した際にヒトメボレしていて、この度ご著書を読んでみました。
深海生物に特化したお話かと思っていましたが、あにはからんや、あらゆる極限生命体への考察から、地球へ宇宙へと視界が拡げられて、ひさしぶりに、読書前と後で、自分の物の考え方が変わった実感があります。
気軽に読める生命学。良書だと思います。
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投稿者:ムギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
科学会のインディージョーンズとしてテレビにも出演している著者が生命とは何かという問いに対して遺伝子や進化の視点からアプローチしている。極限の状態でも死なない生物の話を読んで少し環境が変化してだけで死んでしまう人間はなんてもろいんだろうと思った。
進化の基本はもって生まれた形で頑張ることという言葉がかっこよくて胸に響いた。
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非常に面白かったです。
とんでもない極限の環境(高温、高圧、高重力など)で生きていける微生物の話だけでも面白いのですが、進化や遺伝子の話も良かったし、生命の起源の話も興味深かったです。
割と有名な話も多かったですが、生命観という統一的な視点で語られたのが良かったです。
生命から宇宙の話まで、難しくなく読めて、非常に楽しかったです。
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夏に系外惑星とアストロバイオロジーの特別展をやるので、
その関連本を読み漁ってます。
長沼さんの本はワクワクしますね。
極限生物のアレコレは興味深く読めました。
でも、ますます生命がなんだかわからなくなってきた気もします(笑)
読みながら自分の頭でいろいろ考えられる本ですね。
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とてもわかりやすい。
ドーキンスの、「生物は遺伝子の乗り物に過ぎない」と言う言葉が非常に納得できた。
最初の2章はあまり興味が書かなかった。第二章は著者の生命観であり、第二章は微生物の話なのであまりイメージがわかず、極限に生きられると聞いてもあまりすごいなぁというような感想は抱かなかった。
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普通なら全く読みませんが、日経新聞の水曜夕刊推薦図書コーナーで挙がっていたので読んでみました。
生物の神秘を生物学者である著者が説く。
生物は、むしろ環境に生きやすい生物よりも生きにくくてもそのデメリットをメリットに変える力のある生物だけが現代まで世代を繋いできていると説いています。
これは、人間社会における競争でも同じと思います。競争を勝ち抜くためには、勝てる力を持つことも大切ですが、デメリットを持っていたとしても、デメリットをメリットに変える力こそ最強の競争力と暗にいっておられるように感じました。
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生命学って、生物学って。難しそうな問いを、身近な驚きから。究極の極限生物の性質とは、耐熱性でも耐寒性でもなく、「どこでも生きていられる普遍性」ということに納得。大腸菌が40万Gでも分裂を続けるという、およそあっても無駄な能力の実験がなんとなく心に残ってはなれない。
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高熱、高圧などの極限環境で生きる生物を手掛かりに、現在の地球生物引いては生命とは何か(とは何か)を概観。
生命の進化は目的を持って行われたのではなく、突然変異の結果たまたま生き残ったものが現在の生態系を作っただけと言ったことや、生命誕生の要件と地球外生命の可能性など興味深いことが平易な表現で綴られており面白く読めた。
上記のような内容なので極限生物の紹介本と思わせるタイトルは不適切。
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122℃の高温,2万気圧の圧力,40万Gの重力,1440Gyのγ線,5000J/m2の紫外線,30%の高塩分,そんな極限環境下でも生き延びる地球生物を見つめながら,「生命とは何か」,「『生命とは何か』とは何か」を考える。
地球上の生命の起源はどこにあるのか。我々の知っている単一系統の生物の他に,宇宙に生命は存在するのか。植物と動物を生み出したのとは別の共生進化は起こるのか。こんな謎が解明されるのはずっと先なのかもしれないが,人類は着実に知見を深めてきている。
当初の企画では極限生物のカタログのようなものを構想していたそうだが,大風呂敷を広げたのは正解で,とても刺激的な本になっている。
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生命を考えるとき、器官や組織、細胞ごとの働きからアプローチしたり、細かくは細胞小器官やタンパク質の機能から生命を考えるというアプローチをしたりします。
この本は「メタバイオロジー」の観点が盛り込まれていて、「生命とは何か -とは何か」という問にも触れている。僕の好きなテーマです。
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「死なないやつら」
題名が面白い。興味をそそられる。
生命とは何か?をメインテーマに色々な切り口から様々に判りやすく生命学にアプローチする。
・「生命とは何か」とは何か
・極限からみた生命
・進化とは何か
・遺伝子からみた生命
・宇宙にとって生命とは何か
「極限からみた生命」が読み応えがある。題名にもなっているし一番面白い。高温に強い生物、低温に強い生物、真空でも生きていける生物、何故か放射能に強い生物。
進化論も大型生物に於いて実証出来ていないので、いつまでも~~論なんだ、進化学とは言えない、の理屈は面白い。(微生物レベルは実験室で確認出来るが、大型生物、例えば哺乳類が目の前で進化を遂げる、等の事象は確認しようがない。)
締めは「宇宙にとって生命とはなにか」を最終章としているが、ちょっと話を大きく拡げすぎて纏まっていない感じ。
びっくり生物の紹介に終わった感がなきにしもあらず。
でも軽い読み物として面白かったな。
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タイトルの「死なないやつら」とは、高温や高圧、高放射能などの過酷な条件でタフに生き残る生物の事。これらを紹介するとともに、「生命とは何か」、さらに『「生命とは何か」とは何か』という事を考えさせられる本。生命の誕生はほんの偶然だという事から、今生きて家に住んで食事をして本を読んでいるという自分を不思議に感じた。
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「生命とは何か」と問う時、「死」はけして切り離せない主題である。しかし、それはあくまで、生命はすべて「死」ぬということにおいてである。まさか、生命が「死」なないということから考えるとは思いもよるまい。「最強生物」と名高いクマムシ、そして実はそれより強いとされるネムリユスリカの乾燥幼虫の存在。他、摂氏122度の超高温、2万気圧の超高圧(地球上に存在しない)、濃度10%を越える高塩分(海水は3.5%)、毎時6000万シーベルトの強放射線(人間の法令で定められている上限は5万シーベルト)、40万Gの強重力(人間の上限は9G)、およそ信じ難い極限環境を、すまし顔でのさばる紛うことなき生命たち。著者の巻末見解、生命がエントロピー増大法則の中で、散逸構造をとりつつ、その増大を加速しているというのは慧眼。あらためて自己組織化の意味に思い馳せる。
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いずれにしても人類はもう、すべてを自然に任せることはできなくなっていると考えるべきです。ならばいっそのこと、その力を人類全体の発展に有効な方向に使うことを考えたほうがよいのではないでしょうか。
ホモ・パックス(平和なヒト)
ー
なぜ生物系・物理系・複雑系の人たちはよく「生命とは何か」を考え続けるかということをずっと疑問に思っていた。著者は「自分とは何か」という疑問とのつながりの中からこと疑問が生まれたようだ。
結局のところ線引き問題に還元されるのか?人類の有効な発展とは何か?極端な平和が争いを生むのではないか?ちょっと納得がいかない。途中から自分の興味範囲のアポリアと分化して、違う方向に進んでいくからである。
進化生物学、散逸構造、多系進化、捕食者ー被捕食者など、生物の比喩は確かに面白い。プリゴジンとダーウィン、カテゴライズの話あたりを読みたい。