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黒田官兵衛 作られた軍師像
著者 渡邊大門 (著)
来年の大河ドラマの主人公黒田官兵衛。その有能さは豊臣秀吉、徳川家康をも恐れさせたと言われています。本能寺の変では有名な中国大返しを実現させたなど多くのエピソードが残ってい...
黒田官兵衛 作られた軍師像
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黒田官兵衛 作られた軍師像 (講談社現代新書)
商品説明
来年の大河ドラマの主人公黒田官兵衛。その有能さは豊臣秀吉、徳川家康をも恐れさせたと言われています。本能寺の変では有名な中国大返しを実現させたなど多くのエピソードが残っていますが、それらは主として江戸時代に作られたものです。官兵衛には「軍師」という言葉がついてまわりますが、この「軍師」という言葉も戦国時代にはなく、後世につくられたものでした。本書は信頼できる史料をもとに、黒田官兵衛の実像に迫ります。(講談社現代新書)
著者紹介
渡邊大門 (著)
- 略歴
- 1967年生まれ。佛教大学大学院文学研究科博士後期課程修了。大阪観光大学観光学研究所客員研究員。歴史研究家。著書に「秀吉の出自と出世伝説」「信長政権」ほか。
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紙の本
意外に地味な生涯でした
2013/10/06 10:21
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
渡邊氏の著作で、最近読んだ「秀吉の出自と出世伝説」(洋泉社)が傑作だったことから、本書を手に取りました。また来年の大河ドラマの主人公ですが、その生涯はあまり知りませんので、予習も兼ねて購読しました。
残念ながら、期待したほどの出来ではありませんでした。全部で5つの章で構成されていますが、面白くなるのは第四章の関ヶ原くらいからという印象です。特に第一章の出自は50ページも必要なのかというくらい退屈です。読まなくても全体に影響ありませんので、挫折しないためには、ここは読み飛ばした方が良いかもしれません。
本書のおわりに「実際に一次史料でたどってみると、そこから見えてくるのは、意外に地味な姿である(288ページ)。」とあるとおり、現在の官兵衛像は後世(主に江戸時代)の伝説によるところが大きいようです。かと言って、歴史上の評価が後退するわけではありません。「一土豪から大名へと立身出世を遂げた姿には、賞賛すべきものがある。(中略)まさしく厳しい時代を勝ち抜いた典型的な存在といえよう(286ページ)。」との高い評価が炙り出されていて、興味深いものがありました。
また官兵衛伝説を生み出した原因の一つが、息子である「長政の遺言」(254~272ページ)であるというのは面白い事実です。しかもこの遺言(官兵衛伝説)により、黒田家は幕末まで存続できたというのですから、この父子がいかに偉大だったかが理解できます。
ということで、来年の大河ドラマの予習はできました。また官兵衛の実像を知ることができるという意味で、一読の価値はあります。