紙の本
デキる男になってフンガー!!
2017/12/27 10:48
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
スパイアクション第三弾。
受け売りになって恐縮だが、この本を読むとデキる男になった気がして、
朝っぱらから鼻息荒く出社できるという。
「ジョーカー・ゲーム」「ダブル・ジョーカー」「パラダイス・ロスト」と
刊行されている。まだまだ話は続きそうなので、
今後も楽しみなシリーズである。
前作のダブル・ジョーカーは、全般的には高評価であるものの、
一部の短編で自己満足的な部分を感じてどうなるのかと思っていた。
ところが本作はカラリと仕上がり鼻息全開である。
四編の短編で、そのうち一編は前後篇。
長さは一話あたり五十ページぐらいが踏襲されている。
シリーズ最大の特徴は、スパイアクションに重きを置いていることで、
心理描写にはあまり立ち入らない。しかも007のような派手さはなく、
地味に本格派のスパイを目指している。
そんなプロっぽい味付けが、心を湧き立たせるのである。
イベント重視なので、ネタバレには弱そうだ。
それでもお伝えできるキーワードはある。
> 結城中佐:日本帝国陸軍内にスパイ組織D機関を作った男。
> ただし名前・経歴・容姿その全てのものに真実を見つけ出す
> ことはかなわない
実は短篇の中に結城中佐の正体に迫ろうとするものがある。
コードネーム魔王と呼ばれる男にどこまで近づけるのか、
アプローチ方法も魅力的な一編だ。
もちろん簡単に解き明かされるものではないが、謎を追いつ
追われつ、その展開は華麗ですらある。
シリーズの主人公は結城中佐ではない。
名もなきスパイたちが、話の中心にいる。
名前はあっても、仮の姿のスパイたち。
読みすすめていくと、自分の中にもう一人の秘密の姿が
隠れているような気になって、つい鼻息荒く出社してしまうのである。
「課長、もっと骨のある仕事を下さいよ」
「分かった。たけぞう君、きみは栄転だ。庶務三課の課長に任命する。
オフィスは……地下三階だ」
紙の本
大戦後のDと魔王の行く末やいかに
2015/03/26 10:30
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:september - この投稿者のレビュー一覧を見る
シリーズ3作目。D機関の超人ぶりはこれまでで証明済みだが、このスパイたちを率いる魔王こと結城中佐の存在感はもはや人間とは思えない。魔王の過去に迫った『追跡』で自分の過去を追うものが現れることを予測したうえで罠にはめるとか….大戦後のDと魔王の行く末が気になる。
投稿元:
レビューを見る
5つの短編集が収められている本作は、最後の2編が「暗号名ケルベロス 前篇」「暗号名ケルベロス 後編」と珍しく中編の体をなしていたのですが、期待ほどには面白いと感じることができませんでした。
長くなってしまった分、いつもの切れ味がそがれてしまったのかもしれません。
残りの3編はそれぞれに違った持ち味でありながら、1ページで、1段落で、あるいはたったの1行で、今まで見えていたものとはまったく別の世界を読み手に広げてみせるという鮮やかさがそこかしこにちりばめられていて、存分に楽しむことができました。
特に3編目の「追跡」は、静的ともいえる物語の流れであるにもかかわらず、結城中佐の過去に迫る話があまりに魅力的すぎて、読んでいるうちに思わず体中に力が入ってしまったほどです。
1粒で2度おいしい、というキャッチコピーがありますが、3度も4度も5度も美味しい短編たちが、この作品の中にはそろっています。
投稿元:
レビューを見る
ジョーカーゲームのシリーズ第三弾。
結城中佐(ほとんど登場しないけど)とかスパイがかっこよくていいんだけど、どうも細かいところで不自然なのが気になってしまって…。エンタテイメントなんだから、と割り切ればいいんだろうけど。
シリーズが進むにつれて、だんだんと息切れしてきた感じがする…。
第四弾も思いっきりありそうだけど、大丈夫かなあ~。
投稿元:
レビューを見る
第1作の印象が強烈であったがゆえに、第2作は期待が大き過ぎ、若干肩すかしを食った感があったが、第3作となる本作では、原点回帰により、良い意味で安定的なレベルの短編集となっている。誰も受かる筈はないテストに自分以外がパスするはずはないという強烈な自負心を持つ、常人では在り得ないほどの異能を持つスパイの活躍を描くが、単なるスパイものではないのが、全ての作品に貫かれている死ぬな殺すなであり、このテーマがあるがゆえに、このシリーズは際立った特徴を持っている。大量殺りく兵器の消耗戦に行きつく、アメリカ参戦以降の太平洋戦争以前の時代であるが故に、個人としてのスパイの能力や駆け引きが際立っているが、時代が進んでしまうと、話が成り立たなくなっていくであろうことが残念であるが、そういう時代であっても魔王がどういった立ち位置で物語を紡ぐのか、それもまた読んでみたいと思うのは読者の我儘だろうか。
投稿元:
レビューを見る
「ジョーカー・ゲーム」「ダブル・ジョーカー」に続くD機関シリーズの第3弾。
前作でこのシリーズも完結かと残念に思っていたのに、まさか続きが出るなんて嬉しい誤算。
小説の映像化が多い昨今だが、このシリーズは難しいだろうし、やらないで欲しい。
投稿元:
レビューを見る
記憶を失った日本人留学生を助けたフランス人男女。かれらの目的と正体は・・・「誤算」
ラッフルズ・ホテルで起こった転落事件。米海軍士官キャンベルは、自分が殺したと自首したフィアンセを救うために調査に乗り出すが・・・「失楽園」
英国タイムズの特派員アーロン・プライスは、D機関の結城中佐の過去にせまり・・・「追跡」
舟橋の突然の惨劇。ドイツ軍のUボートを恐れる豪華客船の乗客。クロスワード好きな紳士。エニグマ暗号機。すべてが繋がった時に現れた真実・・・「暗号名ケルベロス」前編・後編
ジョーカーシリーズ第3弾。
相変わらず、結城中佐はちょい出なのに、この格好良さったらないわ!
表紙の中佐のイラストで、ご飯3杯は行けます。
ただ3作目になって、若干スパイものとしての緊迫感が薄らいできたような・・・。
スパイ本人は表に出ず、動かず、人を動かしてなんぼでしょう?
今回はスパイ本人が頑張っちゃう話が多くて・・・、その点残念でした。
その点からみると、一番よかったのは「失楽園」かな。
このスパイくんがいちばんD機関のスパイらしかった。
「誤算」の彼は、ふいをつかれたと言っても記憶を無くしちゃだめだろう。
というか、ふいをつかれちゃだめだろう。
「追跡」は、結城中佐さすが!!みんな、自分の過去はこうやってチラ見せしつつじらしまくるもんなんだよ!というお手本ストーリー。
オチはわかっちゃうんだけど、それでも楽しめる作品でした。
「暗号名ケルベロス」は・・・、これこそスパイとしてはだめだろう。
なに最後にいい人になっちゃってるのか、スパイ君。
この時の日本の状況は、そんなのほほんと「ハワイ、子育てにいいところ~」とか言ってられる状況じゃないじゃん!
全体的に、スパイ君たちの緊張感が感じられない話が多かったので、話自体は面白くてもなんだか物足りなさを感じた第3弾でした。
次はもっとハラハラドキドキできる、シリアス冷酷なスパイものを期待しています~。
投稿元:
レビューを見る
読みやすく、安定して面白いシリーズです。
相変わらず独自の戒律を貫き、飄々と任務をこなすD機関のスパイたちの鮮やかな仕事っぷりに魅了されました。
前作『ダブル・ジョーカー』を読んだ感じから、いよいよ太平洋戦争になるのかなぁ、と予想していたのですが、この巻の時代背景は太平洋戦争直前。
不穏でピリピリとした空気が漂っていますが、そんな空気に飲み込まれることのないD機関の面々はまさに超人的で畏敬の念を覚えます。
このシリーズは各巻ごとに少しずつ趣向が異なりますが、今巻の特色は国際色が豊かなこと。
舞台となるのは、パリやシンガポールやハワイ沖など。世界各国で活躍するスパイたちのスタイリッシュな活躍ぶりは爽快。
舞台が海外だと登場する日本人自体少ないので、誰がD機関の人なのかは予想できてしまうのですが、それでも物語がどう着地するのか全然予想ができないところが面白いです。
4つの短中編を収録。結城中佐の過去が仄めかされる『追跡』、シリーズ初の中編『暗号名ケルベロス』が好きです。
特に『暗号名ケルベロス』のラストは意外で、印象深いです。
D機関のスパイたちは超人的過ぎるため、かっこいいと思うもののこれまであまり親しみを覚えることはありませんでした。しかし、この話を読んでシリーズで初めてD機関の人に人間味を見出すことができたような気がしました。
この世界観にもう少しひたっていたいので、続編を強く希望します。
描きにくい時代だとは思いますが、太平洋戦争から敗戦まできっちり描いて欲しいと思います。
異色の価値観を持つD機関がそういう時代をどう生きるのかが、とても知りたいです。
投稿元:
レビューを見る
D機関シリーズ、3作目。
淡々とミッションをこなす、選りすぐりのスパイ達と彼らを率いる結城中佐。
相変わらず、素敵すぎる。
投稿元:
レビューを見る
深読みや、真相や、謎解きが苦手な私は、毎回最後まで分からずドキドキして読んでしまう。
一話完結なのも、サラリと読めていい。
どのスパイも完璧で、カッコいい。
少しだけ人間味があるのも素敵!
ただ描写が少ないと感じて、頭の中の映像化が難しいんやけど…それは私の問題も多いにあると反省。
投稿元:
レビューを見る
シリーズ3作目。今回も、各地でのスパイエピソードが満載。最後には結城大佐の過去がちょっとだけわかる。
小ネタはそれぞれ面白いが、続くとマンネリ化してしまうおそれがある。最初から3作続くとわかっていたなら、ジョーカーゲームに仕掛けられた伏線なんかがあっただろうに・・・。勿体ない。
投稿元:
レビューを見る
初・柳さん。
久し振りにTheエンターテイメントな感じで、深くはないけど純粋に楽しめる。かな。
各話ごとに舞台が変わって、特にシンガポールはきれいでした。
映像化が合いそうな作品。
投稿元:
レビューを見る
“魔王”結城中佐が帰ってきたぁぁぁぁっ!
かっこいいなぁ。エレガンス&クール。
今回も相手の裏の裏の裏の裏まで読みつくす熱い頭脳戦に痺れまくり。
“魔王”の生い立ちに迫る禁断の短編あり、読後の感触が今までなかった+シリーズ初の中編あり、と相変わらずの充実っぷり。
そしてスケールがデカくなってる…!
…やっぱりこのシリーズは、ステキすぎる。
投稿元:
レビューを見る
ジョーカー・ゲーム シリーズ第3作。魔王・結城中佐率いる陸軍秘密諜報組織、通称「D機関」に属する名も無きスパイたちの暗躍ぶり。今回は4つの短編。
2作目のダブル・ジョーカーで後ろ髪ひかれる思いで終わってほしかった気持ちもあったんだけど、もうこうなったら佐伯泰英の時代劇小説なみにジャンジャン続ければいいじゃん。
しかし何なんだこのクールすぎる世界観。任務は当たり前にこなす、この程度のことは出来なければならない。あまりにも強力過ぎるスパイたちの自負心。高まるわー
でもダブル・ジョーカーのほうが好きだから、☆4つ。
投稿元:
レビューを見る
ジョーカーゲーム,ダブルジョーカーに続く,太平洋戦争時代の日本の諜報機関「D機関」の活躍を描くシリーズ第3作。
この機関のスパイになるための試験の一つとして,試験当日,自分の机の上に世界地図を広げられ「サイパン」の場所を示せと言われる(ただし,その地図からはサイパン島が消されている!)。
仮にそれを指摘できても,次に聞かれるのがその地図の下に置いてあった物の詳細(鉛筆が何本でとか)。
ま,こんな物凄い試験をクリアした強者のスパイが繰り広げる騙し合いがメインです。3冊とも短編集なので結構読み易いので,時間の合間合間に読むには最適です。