紙の本
今も生きる平和と人権の叫び
2003/12/21 04:34
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:未来自由 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アンネ・フランクの13歳から15歳までの日記。誰もが聞いたことのある日記ではなかろうか。ただ単にユダヤ迫害の犠牲者の日記というだけではない。
ひとりの少女の思春期への成長、変化が伝わる名作でもある。そして平和と人権問題への鋭い指摘は、今日にも十分通じるだろう。
特に感心するのは、1944年3月18日の日記。性教育の必要性、重要性への指摘は優れたものがある。思春期の男女が性に感心を持つことは当然であり、だからこそ正しい性教育が必要なのではないだろうか。
1944年5月3日の日記の指摘は、現在にもそのままあてはまる。
「そもそもなぜ人間は、ますます大きな飛行機、ますます大型の爆弾をいっぱいつくりだしておきながら、いっぽうでは、復興のためのプレハブ住宅をつくったりするのでしょう?」
「いったいどうして、毎日何百万という戦費を費やしながら、そのいっぽうでは、医療施設とか、芸術家とか、貧しい人たちとかのために使うお金がぜんぜんない、などということが起こりうるのでしょう?」
「世界のどこかでは、食べ物がありあまって、腐らせているところさえあるというのに、どうしていっぱうには、飢え死にしなくちゃならない人がいるのでしょう?」「いったいどうして人間は、こんなにも愚かなのでしょう?」
イラク戦争に賛成する一方で、その戦争の最中に早くも復興資金の額の話をする政府。軍事費は増やしても、福祉の予算は金がないといって削る政府。世界には食糧難で飢餓する人々がいるのに海外から米を輸入して、国内では減反を押し付ける政府。この日記そのまままである。
15歳のアンネ・フランクのほうがよっぽどまともな政治家の資質をそなえているのではないか。
今年は「戦場のピアニスト」の映画化など、第二次世界大戦中のユダヤ迫害の実態とユダヤ人を救った善良な人のいたことなどに、あらためてスポットがあたっている。
アメリカの独善的な戦争政策が続く中、あらためて平和と人権を考えることが重要だ。この日記は、その手引きのひとつになるだろう。
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投稿者:キラキラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
等身大の女の子の日記から、戦争の理不尽さにとっても悲しくなり、二度と同じ過ちを
繰り返してはならないと、世界平和をいのりながら、夏の終戦記念日近くになると、特に読み直したくなる本です。
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【このたび、1998年に新たに発見された日記5ページを追加した「増補新訂版」が誕生した。鋭い感性と驚くべき表現力で、思春期の夢と悩みが赤裸々に綴られた日記は、永遠の青春の記録として、半世紀を経たいまも世界中の人びとの胸をうってやまない。 】
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何で完全版の画像が無いんだよ!思春期の女の子ってこんな風にダークでドロドロしてるんだろうな、ってリアリティが突き刺さる。できれば完全版を読もうネ。
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初めて読んだのはアンネと同じ年齢の時だった。同じように数学が苦手でギリシア神話が大好き。まるで自分の日記かしら?!って思うほど考え方が似てた。何日も没頭して読んで、最後まで読んで呆然。死んだことはわかっていたのに、この親近感を覚えた少女がとっくの昔に亡くなっていて、悲しい最後を遂げた事が信じられなかった。こんな風な人生が数え切れないほどの人の数だけあったのが戦争なのだと、初めて戦争を身近に恐く感じた一冊。完全版で読まれることをお勧めします。
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こっちが勝手に想像していたのは、もっと短期間に、押入れのようなところにアンネだけが隠されていて、その暗闇の中で豆電球頼りにポツポツ書いていったものだと思っていたがまったく違った。
この少女、ガキの癖になかなかのジャーナリストで、自分を客観的に見ることのできる大人だ。文章もしっかりしていて読んでいてもちゃんと読める。ちゃんと読めるから読み継がれてきているのだろうが、逆にちゃんとしすぎていてなんだかしらける部分もある。
結局見つかって家族もみんな殺されたのだが、そういうこと抜きで読めば、まあ、思春期の女の子が書く普通の日記、といえなくもない。あまり面白くなかった。
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とっても読みやすく、「へー」というかんじ。手紙風になってて語り掛けてくれてるみたい。しかも自分の心の中をかざることなく素直に書き綴ってる。結構悪口っぽくて、いい風にはあんまり書いてない。でもそういうところが気に入った。アンネの気持ち、すごくすごく共感できる。気になったのは、アンネのお父さんがアンネにあてた詩。「自分の欠点は小さく見えるものだ、だから他人の欠点は批判しやすい、他人のそれは二倍にも大きく見えるものだから。どうかわれわれを、おまえの両親を、広い心でみてほしい。」
たしかにそうかもって思った。
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読みながら、ふとした瞬間アンネという人物が近くなり、遠くなります。読んでみると、思っていたよりもアンネに親近感を感じました。アンネが生きていたら、どう生きたのだろう、と考えずにはいられません。
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中学ん頃、読んどけ!て言われたんもあって手に取った本。
んーと、……うん、同じ歳くらいの女ん子が、おった。
今のオレとかと、かわらん、本が好いとって、元気で、悩みとかあって、家族が好いとって。
戦争は、やっぱようなかよね、てしみじみ思たん。
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15歳で書いたとは思えないほど、洞察力がすばらしい。戦争の責任は一般人にもあり、全人類がひとりの例外なく心を入れ替えなければ戦争が絶えることはないという記述がものすごく印象に残っている。
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嘘か真か捏造か?
なんて色々騒がれているし、堅苦しく証拠だのなんだの
ネット上で言っている人もいるけど。
少なくとも自分はこの本を読んで、
こういう歴史があったということを知れた。
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「わたしの望みは、死んでからもなお生きつづけること!」
アンネの苦しい隠れ家生活、強い想いそして将来の夢、身近な人々、普通の女の子としての可愛らしい一面などを、圧倒的な執筆力で綴った日記。ちゃんと最初から最後まで読んだのは初めてだったのですが、いかにアンネがしっかりとした信念を持って生きていたかを知って、衝撃でした。そしてその文才と知識の豊富さにもただただ圧倒されました。
自分自身を包み隠さず語るアンネの日記は、突然終わりを告げます。そこに戦争の醜さとホロコーストの悲惨さを感じさせます。
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2009.08.13. 今年の夏は、アンネ周辺を読もうと思い立ち、しっかり読んだのは、はじめてかも。アンネの感受性の鋭さ、文章のうまさというのには、たまげました。2年近く、ずっと暗い狭い隠れ家で小さくなって生活していたのが信じられないくらいの、心を持っている。内省する気持ち、(特に)母への反感や孤独感…。思春期の、と言ったらそれでおしまいかもしれないけれど、ひとりのとてもしっかりした女の子の気持ちが、繊細に瑞々しく描かれている。びっくりした。生きていたら、どんな女性になっていたんだろう。。。また、折にふれて読み返したい。
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どこにでもいる13歳の普通の少女が書いた日記が、世界遺産になるってスゴイ!ナチスから逃れて隠れ家に身を潜めていた2年間、アンネ・フランクが書き続けたもの。「人間愛」「自由」「平和」など希望に満ちた数々の言葉から、不安や孤独、死への恐怖など正直に綴られた言葉まで、今も世界中の人たちの心を動かしています。
でも何よりも、ユーモアに満ちた、おちゃめなアンネの一面がうかがえる言葉が、人間味あふれていて、とても魅力的です。
なんども読み返してみると、その年齢のときの感じ方が違って、新しい発見がきっとあるはず!
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アンネは日記のお手本。本当にうまい。印象に残っているのは「自分の暮らしよりもひどい収容所の友達のことばかり考えてがまんするのは無理」という正直な吐露。哀しい物語なのに、日記のなかで語られるアンネの人柄やセンスのいい趣味がかいま見られて「哀しいね」と言い合うだけの、無理した教科書みたいにならないところがいい。かえって真剣に歴史を見つめ、アンネを愛することができるから。アンネはアーネムで、オードリー・ヘップバーンに会ったかしら。