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- カテゴリ:一般
- 発売日:2015/03/01
- 出版社: 白水社
- サイズ:20cm/321,71p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-560-08421-2
- 国内送料無料
紙の本
クリミア戦争 下
クリミア戦争の全貌をまとめた戦史。兵卒の痛ましい境遇から、ナイチンゲールの献身、セヴァストポリ要塞の11カ月の攻防戦、戦後の混乱と新秩序まで、肉声を活かして精彩に描く。土...
クリミア戦争 下
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商品説明
クリミア戦争の全貌をまとめた戦史。兵卒の痛ましい境遇から、ナイチンゲールの献身、セヴァストポリ要塞の11カ月の攻防戦、戦後の混乱と新秩序まで、肉声を活かして精彩に描く。土屋好古の解説も収録。【「TRC MARC」の商品解説】
19世紀の「世界大戦」の全貌を初めてまとめた戦史。欧州事情から、各国の政治・経済・民族問題、ナイチンゲールの活躍、酸鼻を極めた戦闘まで、精彩に描く決定版。解説=土屋好古【商品解説】
19世紀の「世界大戦」の全貌を初めてまとめた戦史。各国の政治・経済・民族問題から酸鼻を極めた戦闘まで、精彩に描く決定版。【本の内容】
著者紹介
オーランドー・ファイジズ
- 略歴
- 〈オーランドー・ファイジズ〉1959年生まれ。ロンドン大学バークベック・カレッジ教授。ロシア・ソ連史研究の第一人者。著書に「囁きと密告」など。
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紙の本
日露戦争より前に
2016/02/28 12:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ki102 - この投稿者のレビュー一覧を見る
下巻は戦争そのものに突入するが、この時期にはもう騎兵の突撃が歩兵の銃撃に撃破されてしまうことや塹壕戦の実態が明らかになっていたことを初めて認識できた。各国の小銃やフランス軍の実力に関しても初めて知ることが多く、クリミア戦争について無知であったことを痛感。
紙の本
同時代の歴史が不気味に紡ぐクリミア戦争の遺産
2023/12/20 02:27
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:永遠のチャレンジャー - この投稿者のレビュー一覧を見る
「クリミア戦争は、塹壕戦として戦われることになる第一次世界大戦の総稽古とも言うべき最初の近代戦だったが、その一方で、まだ幾分かは中世の騎士道時代のイメージを残す戦争でもあった」(147頁)。世界大戦の前哨戦だとは…。
露軍追撃を躊躇った英仏の不徹底さが、冬支度が整わぬ中でのセヴァストポリ包囲戦を招く。医療体制の貧弱さが感染症蔓延で露わとなる。ナイチンゲールの看護婦派遣団活躍の美談も、下層階級出身の若い看護婦たちとカトリック修道女らの「不眠不休」の賜物らしい(48頁)。
重篤のロシア皇帝ニコライ1世は、「苦痛」と「恥辱」に苛まれながら生涯を終える(73頁)。講和の頓挫。単調な塹壕掘りの疲労と飛び交う砲弾。士気の衰えが戦争への疑義を深める(147頁)。生身の人間を襲う四肢切断という近代戦の悪夢。睡眠障害、パニック症。
後継皇帝が命令した起死回生の出撃でも露軍は空しく敗れる。「セヴァストポリの町が炎に包まれ、各要塞にフランス国旗が揚がるのを見て、私は涙を流した」と心情を吐露したトルストイも切なかろうが、敵軍の保護に任せて水も食料も無いまま置き去りにされた露軍負傷兵三千名の無念の惨死は、想像を絶する(174~175頁)。
パリ和平条約の成立でナポレオン三世は自国の「栄光の回復」と「国民からの喝采」に満足し、トルコへの支配地返還でロシア懲罰の要求が満たされた英国は留飲を下げ、サルデーニャ王国は国家統一の弾みをつけ、オーストリアは半島権益の確保に安堵する。
敗戦国ロシアも、オスマン帝国内のキリスト教徒の権利を謳った国際宣言の採択と降誕教会と聖墳墓教会の原状回復決定に、ロシア正教会の管理権が認められた「精神的勝利」の宣伝に躍起となる(204~205頁)。
黒海の自由航行権を剥奪された戦後ロシアの軍事作戦は、敵対勢力を沿岸部から露骨に排除する民族浄化戦略を伴った(216~217頁)。現代に至るまでこれが常套手段となる。
クリミア戦争を境に、「平和裏に共存していた」異教徒たちは反目する「敵」を見出す。強国の誇りを失ったロシアは、「腐敗堕落した後進国」の実像に狼狽する(243頁)。
「クリミア戦争の記憶は、ロシア人の心の奥深い所で、その自尊心と西欧に対する怨嗟の念を今なお刺激している」(310頁)との著者の指摘が、正鵠を射ることを同時代の歴史が不気味にも証明している。