紙の本
少女漫画におけるSF作品の先駆者とも言われる荻原望都氏の初期の頃の作品です!
2020/07/09 09:09
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、少女漫画におけるSF作品の先駆者として知られる萩尾望都氏の作品です。同氏は、「別冊少女コミック」に連載された『ポーの一族』や『トーマの心臓』で不動の人気を得た人物で、それ以降も『11人いる!』や『バルバラ異界』など数々の人気作を発表してこられた方です。同書は、その萩尾氏が20代の時に執筆し、当時人生賛歌とも言われ、非常に話題を呼んだ表題作のほか、豊かなる想像力に満ちあふれた傑作「ヘルマロッド殺し」、さらに荻原氏の永遠のテーマである「神への挑戦」と「自我の芽生え」を描いた中編「美しの神の伝え」などが収録されており、荻原氏の世界が垣間見られます。
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若い頃に書かれた小説なんですね。
漫画家さんは画力は勿論のこと、物語を生む能力や構成力その他諸々兼ね備えていなければならないので、尊敬してもし尽せない。
萩尾先生の作品を読めることは至福です。
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文章で読んでいるのに、脳内で萩尾先生の絵が浮かんで動き始めてしまって自然と世界観に没頭できた。
話のほとんどはSF作品だったけれど、ユーモアというかギャグに走ったかのような作品もあって様々な楽しさ・面白さが散りばめられた素敵な作品集だと思う。
個人的には、『おもちゃ箱』という短編が一番好き。
萩尾先生の描く不安定で、どこか刹那的な少年少女たちってどうしても惹かれてしまう。
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萩尾望都は天才漫画家だ。と真面目に思う。
完成された物語や語り口だけじゃない。コマ割りやかけあみや、貼ったトーンの一枚で、描いた以上の深い意味さえ読者に伝えることができる表現者。
これは彼女の小説集だ。発表された年代をみると、書いたのは20代の頃のようだ。SFが熱を持っていた頃の、少し懐かしい気配がある。小説としての完成度は、正直、まだ足りないと思うけれど、ここには「スターレッド」や「銀の三角」「マージナル」への萌芽がある。とても興味深かった。
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萩尾望都さんの短編集。巻末の1作を除き小説。初出を見ると古いものばかりだけど、小説も書かれるんですね。
表題作「音楽の在りて」が一番面白かった。よくまとまっていてじんわり感動。
一番長かった「美しの神の伝え」がわたしには今ひとつちゃんと理解できず、残念。
巻末の漫画「左ききのイザン」は巻頭の短編小説「ヘルマロッド殺し」の続編だったのね。漫画のほうだけどこかで読んだことがあったけど、両方読むと内容が深くなって感慨深い。
SFとまではいかない内容の短編も入っていたり、バラエティに富んだ一冊。
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絵が無くて、文章だけでも完璧に萩尾望都の世界。出てくる登場人物を勝手に頭の中で漫画化しながら読みました。やはりSFなお話が多いです。
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著者が二〇代のときに執筆、『奇想天外』に掲載されるや否や話題を呼んだSF小説を待望の書籍化。人生賛歌ともいえる表題作に、豊かなる想像力に満ちあふれた傑作「ヘルマロッド殺し」。そして、作者にとって永遠のテーマである「神への挑戦」と「自我の芽生え」を描いた中編「美しの神の伝え」など、その後の名作マンガとも呼応する一二編を収録した、萩尾望都の原点的作品集(「BOOK」データベースより)
ワタクシ、「左ききのイザン」を先に読んでいたのですよー。
しかも大分前に。
今回思わず、それと対をなす小説「ヘルマロッド殺し」が読めたので感激!
何気なく借りた一冊だったのですが・・・、借りてよかった!!!
こんな前日譚があったのね~。
他にも
子どもの時間・おもちゃ箱・クレバス・プロメテにて・音楽の在りて・闇夜に声がする・マンガ原人・CMをどうぞ・憑かれた男・守人たち・美しの神の伝え
を収録(あ、左ききのイザンも載ってます)。
どれも漫画でも読んでみたいわ~。
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つい最近、マンガと同時進行で書かれたと言われてもわからないくらい、新鮮でビビッドな小説。
対談で、マンガだと31ページ描くのに1ヶ月くらいかかるが、小説だと数日でできるからいい、というようなことをおっしゃっていて、ちょっとびっくり。
才能のある人は言うことが違うね。
どの作品も、読んでいるとモトさまの絵が浮かんでくるのだが、ご本人はこれを漫画化するつもりはないらしい。残念だ。
しかし、「おもちゃ箱」や「守り人たち」などは、小説ならではの面白さがあって、文字と絵という表現方法の違いがよくわかる。
最近のモトさまは日常を描いた作品が多いので、またどっぷりとSFの作品が読みたいものだ。(予定はあるらしいので楽しみである)
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掌編、短編、中編と漫画が1本収録された作品集でした。
萩尾氏の作品は「トーマの心臓」しか読んだことはありませんでしたが、この作品集に収録されている作品はどれも「トーマの心臓」で感じた詩的で透明な空気感に包まれていて、画から文章になったその空気感は森博嗣の文章のようだと思い、本当に森博嗣は萩尾作品が大好きでその影響を少なからず受けていたのだなぁとこの作品を読んで思いました(森博嗣の詩的な作風が好きな人ならばこの作品も好きになるのではないかと思います)。
物語は基本はSFでしたが、ユーモアを織り交ぜた作品もあり中でも「守人たち」の展開は予想外で面白かったです(笑)。
文章も読みやすく、どの物語も美しい物語でした。
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萩尾望都のSF小説短編集。1970年代後半に書かれたものが中心。
異星の古代遺跡で出土する楽器の音色に音楽家が思いを馳せる「音楽の在りて」とか、叙情的な想像力の豊かさに唸らされます。
そして、情景がマンガとして頭に浮かんできてしまう、マンガに映像的な文章表現力もさすがだと思いました。
著者の哲学観がモロに溢れ出る中編「美しの神の伝え」の読み応えもすごい。これはしかしマンガで読みたい。
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30年以上前に書かれたとはとても思えぬ、SFマインドあふれるモトさまの小説集。
第一部の短篇が良かった。これぞSF!正直に言うと、第二部のいかにも「奇想天外」掲載作という作品群はあまり好みではないし、第三部の中編は漫画で描いてほしかったなあと心から思った。いくら言葉を尽くしても語れないことをモトさまの描線は伝えてくる。言葉にしかできないことがあるように、漫画にしかできないことがあるのだ。巻末に一つだけ載せられた短い漫画を読んで、やっぱり漫画はいいなあとつくづく思った。
しかし、繰り返すけど、本作のSFテイストがまったく古びていないことに驚く。モトさまは、「少女マンガ」「SF」という私の二大偏愛ジャンルの重なりに燦然と君臨する女神様。「スター・レッド」や「銀の三角」といった大作はもちろんのこと、小品にも素晴らしいのが数々ある。この小説集もそうだが、いつもその作品の底には「喪失」の痛みが流れていて、そこが胸にしみる。
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初めて著者の小説を読みました、
長編・短編・マンガも収録されていて
飽きずにどんどん読めました。
長編はちょっと読みずらい感じもあり
これはマンガで読みたかったなと思いました。
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萩尾望都センセイの漫画ではなくて、短編小説集。
しかし中身はマンガのシナリオを読んでいるかのよう、正にモト様的小宇宙が綺羅星の如くちりばめられた、至極の作品集。コトバで読む萩尾望都、いいですよ~♪ でも巻末にはしっかり漫画が1編入っているのでご安心あれ。
(おすすめスタッフ:中村公)
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「音楽の在りて」萩尾望都
叙情SF中短編集。灰白色、ワインレッド、クリアブルー、などなど。
@電子書籍 46 冊目。
実はこの方の漫画は読んだことなくて、『11人いる!』をずっと読みたいと思ってるんですが、先に小説集を読んでしまいました。順序が逆なのではないかと(笑)
非常に文学的な世界観で、さすが少女漫画?と思わせるような儚さを感じます。
でも、ファンタジーじゃないんだよなあ、やっぱりSFベースなんだよなあ、不思議ですが。
梨木香歩さんとかとは明確に違いますよね。
次こそは『11人いる!』を読もう!(3))
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思えば、この人の場合、見えるのは常に後ろ姿だったよう気がする。
ラブコメ全盛の少女漫画界にあって、その王道ラブコメも描けば、一方でSFやファンタジーや吸血鬼や心理系も描く。2歩も3歩も先を行くこの人の背中を追いかけついて行くのがやっとで、それが誇らしく楽しかったのだ、読者は。
1977年〜91年の、短篇小説が12本と、漫画が1本。
最初の短篇「ヘルマロッド殺し」と、最後の漫画「左ききのイザン」が呼応する。
「ヘルマロッド殺し」での設定は、1970年代のジョン・ヴァーリイ「へびつかい座ホットライン」やら2001年の平山夢明「テロルの創世」やら、SFとしての作品を経て、今や「わたしを探さないで」の純文学にも使われる設定となっている。「ヘルマロッド殺し」が書かれたのは1970年代終わりなので、その揺籃期に、既にその設定を先取り、共有していたということになる。
読みながら、やはり文字の向こうに存在する絵が見える。漫画が存在していることを感じる。
何の先入観も予備知識もなしにこの作品を読んだら、物足りないのだろうか?
物足りないというのとは違うように思う。文字でしか書いていない、という意味では小説なのだけれど、絵が見えてくる、という意味では、小説でも漫画でもない、その間にある別のジャンルのようにも思われる。
「CMをどうぞ」はちょっとシニカルなオチを用意しているところが星新一のようだし、「守人」はドタバタの感じが筒井康隆のようでもある。「闇夜に声がする」は少々オトメチックでまとまりもいい(タイトルもいい)。