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商品説明
JR発足から30年。JRは赤字を解消して、安全で地域格差のない鉄道に生まれ変わったのか? 鉄道交通問題研究の第一人者が、分割民営化後のJRの問題点を様々な角度から洗い出し、JRの未来に警鐘を鳴らす。【「TRC MARC」の商品解説】
「経営者は無責任で、職員も働かないから赤字になった」といわれた国鉄は、分割民営化され、1987年4月、JRが発足した。あれから30年、JRは赤字を解消して安全で地域格差のない「利用者本位の鉄道」「利用者のニーズを反映する鉄道」に生まれ変わったのか?
本書は、鉄道交通問題研究の第一人者が、分割民営化後のJRの30年を総括、様々な角度から問題点を洗いだし、JRの未来に警鐘。
第一章 国鉄からJRへ
第二章 サービスはよくなったか
第三章 安全性は向上したか
第四章 地方交通線はどうなったか
第五章 JR北海道をどうするか
第六章 JR貨物はどうなったか
第七章 リニア新幹線は「第二の国鉄」
第八章 持続可能な鉄道をめざして【商品解説】
目次
- はじめに
- 第一章 国鉄からJRへ
- 「あなたの鉄道」になったのか
- 分割民営までの経緯
- 輸送力はどうなったか
- 大都市圏の交通
- 運賃はどうなったか
- 経営と財務
- 累積債務の原因
- 設備投資の不公平
著者紹介
上岡 直見
- 略歴
- 〈上岡直見〉1953年東京都生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。環境経済研究所代表。技術士(化学部門)。法政大学非常勤講師(環境政策)。著書に「原発避難計画の検証」「鉄道は誰のものか」など。
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JRを批判したい気持ちはわかりますが
2017/08/18 21:56
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:melon - この投稿者のレビュー一覧を見る
JRを批判したいために、それありきになっているのではないかと感じます。たとえば駅員を減らすことが必ずしも悪いことではなく、低コストを実現するに必要なことであればそれもやむを得ないのではないかと思うのです。またJRが駅ビルやその他事業にお金を費やしていると非難していますが、それにより利益が出ているのであればむしろ行うべきなのではないでしょうか。JRが利益を出してはいけないという考えはおかしなものであり、真に問題なのは出した利益を鉄道利用者に適切に還元せず、株主と役員や社員がそれを持っていってしまっていることにあるはずです。
地方の交通について、必ずしも鉄道を維持する必要があるか考える必要があるでしょう。鉄道は道路と比べて維持コストが高く、また1編成での最少人数が大きいことから最小運行コストも鉄道の方が高いわけです。一方バスの欠点としては定時運行が困難であること、時刻表や地図に掲載されないことによって地域の一層の衰退を招くことにあるでしょう。そこで両者の欠点を解消するために、鉄路からバス専用道路に転換して定時運行を確保しながらコストを下げ、さらに法的に鉄道に準じる扱いとして時刻表にも掲載するようにすれば良いのではないかと思います。そしてこれは社会的需要の少ない新規の新幹線や高速道路の建設よりもよっぽど役に立つ公共事業なのではないでしょうか。
地方の鉄道を維持する必要があるのは、本書にあるとおり貨物輸送に必要な部分です。石北本線の旭川~北見については旅客では儲からなくてもタマネギ列車の運行を継続するために必要なのだと思います。これについては道路や空港などの事業に使用されている税金を削減して、この区間の路線の維持のために税金を投入することは有益であると思います。石油輸送についてタキ43000形式のタンク車とEF65形式機関車によるものと11トントラックによるもので比較して必要なドライバー量がかなり異なるから鉄道輸送すべきだとの意見には賛成です(なおタキ43000形もEF65形も古いものであって現在はタキ1000形やEF210形といった新型の高性能車が登場しています)。付言すると輸送に際しての環境負荷も鉄道の方が小さいであろうことを考慮すると、石油輸送やその他長距離輸送は鉄道によるものが望ましいはずです。
交通政策について在来線ではなく道路・空港・新幹線にだけ金銭的な配分がなされていることはおかしいという意見にも同調します。これらは政治家が票を集めるのに利用できる一方で、在来線については票集めの役に立たないことから切り捨てられているのではないかと邪推してしまいますが、交通全体を考えて金銭を配分すべきであり、全て同じ土俵で考えるべきでしょう。ただし環境負荷という外部不経済については市場に任せていても理想的に社会的便益が増えるようにならないはずです。そのような外部不経済に対してはCO2税といった負担を伴う政策的誘導が必要です。
さらにJR、そして鉄道全般の問題としては混雑した通勤ラッシュを改善するか、それが最優先事項なのではないでしょうか。これはやはり利益を利用者に還元していないことが原因でしょう。本数を極力少なくし、利益が出ることを最優先にして、利用者の利便性を考えない。これは確かに独占の悪いところがでています。交通サービスを提供するJRとそれを利用する消費者の双方が便益を適切に分け合うことが必要であり、電車が混雑しているのであればそれによる過剰な利益は税として徴収する、そして着席機会を増やしても黒字なのであればそうさせるような政策をするなどというのが望ましいところです。