紙の本
完璧なヌヌだったはずのルイーズが・・・
2023/08/01 15:19
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヌヌというのはベビーシッターのこと、完璧なヌヌだったはずのルイーズが・・・。この作品は2016年にゴンクール賞を受賞した、この勝を受賞した作品はぜったに面白いと私は断言する。それにしても、ルイーズはあんなに可愛がっていたマッセ家の子供たちを惨たらしい方法で殺害したのだろう、そのあたりは詳細には語られない、でも彼女はとても孤独だったことは間違いない、仕事中は楽しいのだけど、無機質なワンルームには孤独がまっているだけ、精神的に徐々に彼女は疲弊していく、ベビーシッターとしての役割も疎かになりがちになる、赤ちゃんの世話もしたくなるがどうやらマッセ夫妻はもう子供を作る気がないような、だからこの子供たちを殺害すればとまでは考えていなかったであろうが
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もう一気に読むしかなかった。
どうしてこの悲劇が起きたのか解明されないと寝れないっしょ!
私もワーキングマザーの端くれなので母親のミリアムに同調しながら読み進めたのに、途中からどんどんルイーズの孤独感に囚われていくような気がして…
原語でも読んでみよう。フランスから彼女の1作目(性依存症がテーマ)も一緒にお取り寄せしちゃおう。
映画化されるそうでとても楽しみ。
IMDbによれば、リュック・ベッソンの2番目の奥さんだったマイウェンが監督とのこと。
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「ヌヌ 」フランスの幼児言葉から定着したベビーシッターの意味
完璧なのヌヌのルイーズがベビーシッターとして面倒をみていたアダムとミラを殺すところから始まる物語
ルイーズという人物を通して見えてくる
フランス社会の多面的な顔
多民族文化
社会階級の格差
若い夫婦の共稼ぎの実態
忙殺される日常を繕う外面
週末にはホームパーティ
長期のバカンスは旅行へ
幸せというなの虚構と貧困な現実が
対になって目の前に立ちはだかる
誰もが感じる現代の不満不安
そしてルイーズの持つ多面性も彼女の環境が
大きく影響している
自分を所有した意識が薄い人生
誰かの言葉で動き欲求を満たしてきただけのルイーズ
自分を所有しないルイーズにとって誰かに尽くし甘やかし依存させることで自分の形が認識できる
共依存体質
ルイーズの内面を書く描写力、観察力、説得力見事だった
ルイーズに共感し反発し引き込まれてながら読み終えた
人間という複雑なものは環境や社会、性別など多様な要素で出来上がることを改めて考える
とても苦くて悲しい今の世の中が凝縮してここにある気がした
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パリのスノッブでおしゃれな夫婦が、ヌヌに支えられている実態を知りました。現実を切り取ったルポルタージュのようにも思えます。夫婦と子供、その一方にいるヌヌとの対比がうまく描かれていて、ヌヌの姿があぶり出されていくにつれて、なんだか苦しくなりました。ミステリーというより心理小説のようです。これで終わり?と最初は思いましたが、これから先をどう考えるかが読者に委ねられているようで、挑戦的な作品に映りました。子どもができて社会と切り離されたミリアムの焦燥感、自分でも感じたことなので、当時を思い出して胸がキリキリしました。作者はフランス政府職員のひとりになったんですね。彼女の経歴もなかなかのもので、これからも作品が出るなら注目したいです。
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う〜む、これは、、、なかなか衝撃的。パリに滞在していたばかりなので アパート事情など色々イメージできたのも幸いでした。かなりよく練られたノワール。
こういう感じの小説は 以前はよくあった気がしますが、最近は少なくなってきてるかも。終わり方も含めて構成が秀逸でした。
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社会的貧富の格差、若い夫婦の共働きと子育て、そして、主人公ルイーズの内面。それらが、物語が進むにつれて、重なっていく。現代パリの光と闇、陰と陽。
読後感はモヤモヤと少しの重さと。
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パリのあるアパルトマンで起きた惨劇。
ヌヌ(ベビーシッター)が、その家の子供たちを殺した。
絵に描いたような幸せな家庭。
誰もが褒め称えるヌヌ。
それなのに、なぜ?
ミリアムは疲弊していた。
泣いてばかりだったミラ。
そのあと授かったアダム。
幸せ、と彼女は思い込もうとしたし、夫のポールも、妻は育児を楽しんでいると思っていた。
でも、ミリアムの心の中はめちゃくちゃだった。
「いつかあの子たちに生殺しにされる」!(18頁)
法学部のかつての仲間に、生活疲れの様子を見られたミリアムは自分を恥じた。
きっと、馬鹿にされているわ、そう思ったが、思いがけず仕事に戻ることができた。
彼女は喜び、そのためにヌヌを探し出した。
それが、悲劇の始まりだった。
そういうと、働く母親がダメなのか、そう思いたくなるが、それは著者の本意ではない。
働く母親を責めているわけではない(げんに著者も働く母親だ)し、ましてやヌヌを危険視しているわけではない。
著者が問いかけているのは、孤独と、答えの出せないことが存在すること、それとどう向き合うかだ。
私には、ヌヌであるルイーズが犯した罪の原因はわからない。
だが、「私の居場所を作るために、この子たちは邪魔だ」、そう感じてしまった彼女の弱さはよくわかる。
一人でいることは辛くない。
しかし一人に「されている」ことは辛く、悲しく、惨めだ。
いつか感じたその心の傷の痛みを、こうして追体験することでどこかで安堵した。
それはなぜか。
表現できない暗さを、深淵を、本書が見せてくれたからだ。
はっきりとした答えは出ない。
答えは出ないが、わけの分からぬ不安から、見える恐怖へと変わった。
対象が見えれば対処できる。
それが、安堵の原因であった。
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噛み合わない狂気,掛け違った感情の行き着く先がこのような結末になるとは,まるでホラーのような恐ろしさだった.もちろんはじめに結果が書かれていて,そしてこのわかっている結末に向かって進んでいく.他人が家に入ることを考えさせられました.
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「~~~な女たちは首をしめてやりたいと思った。」
「マダムはこの弁護士をなんとかして黙らせ、あごを砕いてやりたくて仕方なかった。」
普段そんなこと思う女の人いるんですかね?
ヌヌという存在が身近ではなく、
想像は出来るけどいまいちリアルに感じられない点と、
あと上記のような些細な表現にいちいち違和感をもつ。
事件に潜む貧困や人種問題、育児の現状などの社会問題。
評価が高いのも解らないことはないのですが、
恥ずかしながらそれも解説読んでやっと色々理解出来たって感じです。
なので大して面白いとも感じず、
いつ面白くなるんだろうと思ってる間に終わったって感じです。
結果は最初にわかっているので、あっと驚く結末もなく。
考えさせられる内容ではありますが、
なんにしても世界を震撼させるほどの「心理サスペンス」とは、
全く思いませんでした。
海外ものは訳者の力量にもよりますので、
違った訳ならまた別の印象かもしれませんが、
今回は興味もあまり持てなかったので☆2つ。
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雇い主夫婦が成功を掴みつつある移民で、ヌヌ(ベビーシッター)が貧困の白人、という設定は読み手が感じる部分を複雑にし、より胸に迫るん。
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日本ではこのような家政婦兼ベビーシッターを雇う家は少ないが、女性の社会進出が進み、保育園より上質の保育をしてほしい家庭が増えれば、増えるだろう。以前読んだ『パリの女は産んでいる』にもこうしたヌヌについての記述があり、著者がフィリピン人のヌヌなら英語もできるから(子どもの教育上良いので)雇いたいというようなことが書いてあってビックリしたことをよく覚えている。(雇い主としては当然なのかもしれないが、すごく傲慢な感じがしたから。)
そういう無意識の傲慢さをこのヌヌの雇い主の夫婦も持っている。家族同然と言い、信頼もしているが、内心ではいつでも自分たちの意志だけで相手をお払い箱にできる関係であることをちゃんと意識している。友達だと言いながら、相手の過去や私生活には踏み込まない。こうした関係は短い期間なら、あるいは浅いなら美しく終われるだろうが、そうでない場合は円満に終わるのは難しい気がする。
公民権運動が起こる前のアメリカを舞台にした小説や映画では、優しく働き者の黒人ナニーと子どもの愛情関係が描かれることがあるが、あれははっきりと白人が上、黒人が下であったから揉めなかったのであって、現代フランスではヌヌは移民や有色人種が多いとはいえ、人間としては同じという建前があるので更にややこしいことになってしまう。(もちろん同じであるという考えは素晴らしいと思っているが。)
この小説では雇う側の母親はモロッコ人の弁護士でヌヌは所謂プアホワイト。より複雑。
子どもを持つことで幸せになるかと思ったら、夫はあてにならず、社会からは隔絶され、自分には何の価値もないような気持ちになってしまう母親。そこに優秀なヌヌが現れて子どもを愛して世話をしてくれるだけでなく、家政婦としても優秀ですっかり甘えてしまう気持ちもわかるし、貧しく家族にも恵まれないヌヌがアッパークラスの生活の素晴らしさを知って心から一員になりたいと思いながら、どうしても馴染めず、それとなく拒絶されることで絶望していく様子も納得できる。
一番の犠牲者は子どもだが、本当はどうしたら良かったのだろうと思う。
ルイーズがきちんと自力で社会生活を送れるよう、知識を(経済や税金の仕組みとか)教えてあげるのが一番だという気がするけど、成人していて、現状仕事をして生活できていれば福祉の網からはこぼれてしまう。
子どもの教育と家事、どちらもさせるのが良くないとも思う。教育の専門家という立ち位置ならもっと敬意をもって接してもらえるだろう。が、そうなると移民や低学歴の人にはムリだからマッチングが難しい上、家事は別に頼むのでは経費もかさみ、若い夫婦が雇うのは難しいだろう。
さまざまな問題の上に辛うじて成り立っているのがヌヌという気がする。
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レイラ・スリマニ『ヌヌ 完璧なベビーシッター』(集英社文庫)読了。サスペンスなので中身については書きませんが、現代フランス、てかパリの暗部を突きつけられる感じ。ガイジンとしてパリを眺めて来た人間として、この嫌な感じはすごーく腑に落ちる。星三つ。
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パリの共働きの夫婦の家で、ヌヌ(ベビーシッター)に子どもが殺害される。完璧な仕事ぶりを信頼されていたヌヌがなぜ凶行に及んだのか、雇い主とヌヌとの視点から描いていく。
才能を生かしてバリバリと働く裕福な若い夫婦と、主に貧しい移民の仕事であるベビーシッター。旅行にも同行させるほどヌヌの仕事ぶりを称賛しながらも、雇い主の根底には上から目線の差別意識がありありとうかがえる。ひと握りの富裕層とその裾に広がる貧困層、人種の違いを含めたパリの社会問題が印象的だ。
完璧主義で家事も育児も手抜きをしないヌヌが、徐々に精神的に追い詰められていくさまが手に取るように伝わってきて、恐ろしかった。
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パリで働く裕福な家庭のヌヌ(ベビーシッター)が、子供たちを殺してしまうお話。
ヌヌの描写がリアルで、そして残酷で、読み進めていくとだんだん気持ち悪くなります。。
イヤミスと呼ぶにはミステリー要素はそれほどなかったので、星は3つ。
分量自体はそれほどないので、すぐ読了できます。
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2016年のゴンクール賞受賞作。猫町駒井組で取り上げられていた(僕は不参加)ので興味を持って読んでみたのだが、冒頭こそショッキングなものの、全体的には心理描写が薄っぺらく、なんだかなぁという印象だった。訳者あとがきによれば、2012年ニューヨークで起きた殺人事件に取材した作品とのことだが、残念ながら「事実は小説より奇なり」。