1. hontoトップ
  2. 電子書籍
  3. honto+
  4. ビジネス記事
  5. 食べないと損?!私たちが「昆虫食」を選ぶ時代は近い

食べないと損?!私たちが「昆虫食」を選ぶ時代は近い

「昆虫を食べる」と聞いたとき、どのような感想を持つだろうか?日本では、まだまだ馴染みのない昆虫食であるが、世界人口の1/3の人々は、昆虫を食べる習慣があるそうだ。

昨年から引き続き、米国セレブのあいだで注目されている昆虫食のトレンドが、近年、日本にも上陸しそうな勢いである。今回は、『昆虫食入門』(平凡社)で紹介されている「昆虫食」の知識について触れながら、昆虫を食べる価値をご紹介しよう。

昆虫食を選ぶ時代

米国でクローズアップされはじめた「昆虫食」

「昆虫食についての科学的な研究は諸についたばかりであり、栄養価も基礎データもまだほとんどない。したがって定説は存在せず、さまざまなアプローチが可能である。(中略)多くの昆虫でタンパク質が乾燥重量の50%以上あり、他の動物性食品に勝るとも劣らない良質な食品である」

(『昆虫食入門』より引用。以下、引用箇所は同様)

本書では、昆虫食の栄養価について、このように解説している。実際に米国では、次世代栄養食品として、昆虫の「コオロギ」が注目を集めた。健康食品を提供している「Exo」社が2014年3月に販売開始した、コオロギ粉末を使った「EXOプロテインバー」が、メディアに取り上げられたのだ。

では、なぜ「コオロギ」が材料として使用されているのだろうか? 本書でも「コオロギはタンパク質と脂肪のバランスがいい」と記載されているとおり、コオロギは完璧なタンパク質である。実際、EXOプロテインバーには1本あたり、約40匹に相当するコオロギが使用され、10gものタンパク質を含んでいるという。

栄養価の高い昆虫は、コオロギだけではない。本書によれば、「イナゴは高タンパク質・低脂肪食品である。シロアリの幼虫は脂肪が多く含まれている。(中略)セミの幼虫もタンパク質が多く脂肪が少ない」ともあった。

米国では、コオロギ粉末を使ったプロテインバーのブームに押される形で、コオロギの粉末を使用した食べ物が、続々と誕生している。まだまだ、このブームは終わりそうにない。

「昆虫を食べたい」と感じる心理

栄養価が高く、省資源で育てることができる昆虫は、世界80%の国で日常的に食されている。本書には、「1919年(大正8)年にまとめられた報告書『食用及薬用昆虫に関する調査』には、ハチ類14種、ガ類11種、バッタ類10種、甲虫類8種など、全部で55種類もの昆虫が食用とされている。地域別では、やはりトップは長野県の17種、次いで山口県の12種、山梨県の10種、山形県と愛媛県の8種と続く。47都道府県でなんらかの昆虫が食べられていた」との記載があり、日本にも昆虫食を食べる文化があることをうかがい知ることができる。

しかし、EXOプロテインバーで、コオロギの「粉末」が使われる要因ともなったように、昆虫を食すことに嫌悪感を感じる人もいる。本書にも次のように書かれている。

「昆虫が大好物という人は少ない。それに対して、『昆虫を食べるなんてとんでもない』という人はとても多い。(中略)おそらく『気持ち悪くて、食べるなんてとんでもない、まずいに決まっている』というのが大方の意見だと思う。いわば、ほとんどの人は、心理的な理由から昆虫食に近づかないのだ」

そこで、本書では逆に、「昆虫食を食べている人の心理」に注目した。筆者は心理学者と協力して、昆虫を食べることを好む人々に調査を行っている。その結果、経験者の関心は、以下の4つに分かれることが判明したのだ。

(A)狩猟採取活動としての昆虫食

最終活動に重点を置き、その結果として「昆虫を食べること」も古来あった自然な行為と考えるグループ>

(B)グルメとしての昆虫食

昆虫も普通の食材と考え、純粋に「おいしさ」を追及するグループ

(C)エンターテイメントとしての昆虫食

虫食いを娯楽として考え、その珍奇性を楽しむグループ

(D)科学としての昆虫食

今後の食材として昆虫食の有効性を科学的に提示したいとするグループ

たとえば、(A)の狩猟採取活動を目的とした人は、キノコ狩りや潮干狩りと同じ感覚で昆虫を採集する。本書にも、「昆虫食の醍醐味は、身の回りの自然に目を向け、そこから食べるのに適した種を自らが選び取り、発見し、追跡し、捕獲し、そして調理して食べるという一連の行為によって、四季の恵みを五感で味わうことができる点にある」とあるように採集を楽しみ、採った昆虫を周りの人々と調理したり、食したりすることで、コミュニケーションを行っているのだ。

また、(B)のグルメとして昆虫食を楽しむグループにも、注目してみよう。「初めはどんな味なのか不安や疑いを持ちながら、恐る恐る口にしたとき、それがおいしかったなら、食べられるものの幅、料理できる品も増えることになる」とあるように、昆虫の美味しさを知ったグルメな人々は、調理方法や食べ合わせの工夫をしたがる。彼らは、ただ昆虫を食べるのではなく、より新しい食べ方を追及しようとする。

このような昆虫を食す人々の心理は、世の中にますます昆虫食を広げるためのヒントになる。

昆虫食が食料資源不足を救う

昆虫は、今や食料資源としての価値も持っている。

「地球規模の気候変動や人口増加による世界的な食糧危機が叫ばれるにいたったいま、FAO(国連食糧農業機関)をはじめさまざまな研究機関で、未利用資源としての昆虫が注目されるようになってきた」

本書にもこのような記載があるとおり、FAOは2014年に「食用昆虫─食料と飼料の安全保障に向けた将来の展望─」というタイトルで報告書を発表した。その中では、今後予想される食糧問題の解決策として、「昆虫食」が挙げられている。

そもそも、人間が健康的に生活するためには、タンパク質が欠かせない。人口増加によってタンパク質不足が懸念される中、水がほとんどいらず、小規模予算で飼育できるなど環境負担の少ない昆虫が持つ、良質なタンパク質に期待が高まっているのだ。本書では、この他にも下記のような理由があるため、昆虫が優秀な食材として紹介されている。

  1. 1.種類が多く、量も豊富なこと
  2. 2.繁殖力が旺盛なこと
  3. 3.餌が人の食料と競合しないこと
  4. 4.変温動物でエネルギー効率がいいこと

Exo社の他にも、欧米では「昆虫食」をテーマに起業しているベンチャー企業が増え続け、今や世界中で200を超えるという。本書に「昆虫は世界各地で日常的に食べられている。違和感を感じるのは育った食文化や食事環境に影響されるからだ。慣れてしまえば抵抗がなくなる」とあるとおり、いずれは「昆虫を食べる」こと自体が普通になるかもしれない。私たちの食生活の一部となりうる「昆虫食」の動きに、2017年も注目である。

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

米国でクローズアップされはじめた「昆虫食」

「昆虫食についての科学的な研究は諸についたばかりであり、栄養価も基礎データもまだほとんどない。したがって定説は存在せず、さまざまなアプローチが可能である。(中略)多くの昆虫でタンパク質が乾燥重量の50%以上あり、他の動物性食品に勝るとも劣らない良質な食品である」

(『昆虫食入門』より引用。以下、引用箇所は同様)

本書では、昆虫食の栄養価について、このように解説している。実際に米国では、次世代栄養食品として、昆虫の「コオロギ」が注目を集めた。健康食品を提供している「Exo」社が2014年3月に販売開始した、コオロギ粉末を使った「EXOプロテインバー」が、メディアに取り上げられたのだ。

では、なぜ「コオロギ」が材料として使用されているのだろうか? 本書でも「コオロギはタンパク質と脂肪のバランスがいい」と記載されているとおり、コオロギは完璧なタンパク質である。実際、EXOプロテインバーには1本あたり、約40匹に相当するコオロギが使用され、10gものタンパク質を含んでいるという。

栄養価の高い昆虫は、コオロギだけではない。本書によれば、「イナゴは高タンパク質・低脂肪食品である。シロアリの幼虫は脂肪が多く含まれている。(中略)セミの幼虫もタンパク質が多く脂肪が少ない」ともあった。

米国では、コオロギ粉末を使ったプロテインバーのブームに押される形で、コオロギの粉末を使用した食べ物が、続々と誕生している。まだまだ、このブームは終わりそうにない。

「昆虫を食べたい」と感じる心理

栄養価が高く、省資源で育てることができる昆虫は、世界80%の国で日常的に食されている。本書には、「1919年(大正8)年にまとめられた報告書『食用及薬用昆虫に関する調査』には、ハチ類14種、ガ類11種、バッタ類10種、甲虫類8種など、全部で55種類もの昆虫が食用とされている。地域別では、やはりトップは長野県の17種、次いで山口県の12種、山梨県の10種、山形県と愛媛県の8種と続く。47都道府県でなんらかの昆虫が食べられていた」との記載があり、日本にも昆虫食を食べる文化があることをうかがい知ることができる。

しかし、EXOプロテインバーで、コオロギの「粉末」が使われる要因ともなったように、昆虫を食すことに嫌悪感を感じる人もいる。本書にも次のように書かれている。

「昆虫が大好物という人は少ない。それに対して、『昆虫を食べるなんてとんでもない』という人はとても多い。(中略)おそらく『気持ち悪くて、食べるなんてとんでもない、まずいに決まっている』というのが大方の意見だと思う。いわば、ほとんどの人は、心理的な理由から昆虫食に近づかないのだ」

そこで、本書では逆に、「昆虫食を食べている人の心理」に注目した。筆者は心理学者と協力して、昆虫を食べることを好む人々に調査を行っている。その結果、経験者の関心は、以下の4つに分かれることが判明したのだ。

(A)狩猟採取活動としての昆虫食

最終活動に重点を置き、その結果として「昆虫を食べること」も古来あった自然な行為と考えるグループ>

(B)グルメとしての昆虫食

昆虫も普通の食材と考え、純粋に「おいしさ」を追及するグループ

(C)エンターテイメントとしての昆虫食

虫食いを娯楽として考え、その珍奇性を楽しむグループ

(D)科学としての昆虫食

今後の食材として昆虫食の有効性を科学的に提示したいとするグループ

たとえば、(A)の狩猟採取活動を目的とした人は、キノコ狩りや潮干狩りと同じ感覚で昆虫を採集する。本書にも、「昆虫食の醍醐味は、身の回りの自然に目を向け、そこから食べるのに適した種を自らが選び取り、発見し、追跡し、捕獲し、そして調理して食べるという一連の行為によって、四季の恵みを五感で味わうことができる点にある」とあるように採集を楽しみ、採った昆虫を周りの人々と調理したり、食したりすることで、コミュニケーションを行っているのだ。

また、(B)のグルメとして昆虫食を楽しむグループにも、注目してみよう。「初めはどんな味なのか不安や疑いを持ちながら、恐る恐る口にしたとき、それがおいしかったなら、食べられるものの幅、料理できる品も増えることになる」とあるように、昆虫の美味しさを知ったグルメな人々は、調理方法や食べ合わせの工夫をしたがる。彼らは、ただ昆虫を食べるのではなく、より新しい食べ方を追及しようとする。

このような昆虫を食す人々の心理は、世の中にますます昆虫食を広げるためのヒントになる。

昆虫食が食料資源不足を救う

昆虫は、今や食料資源としての価値も持っている。

「地球規模の気候変動や人口増加による世界的な食糧危機が叫ばれるにいたったいま、FAO(国連食糧農業機関)をはじめさまざまな研究機関で、未利用資源としての昆虫が注目されるようになってきた」

本書にもこのような記載があるとおり、FAOは2014年に「食用昆虫─食料と飼料の安全保障に向けた将来の展望─」というタイトルで報告書を発表した。その中では、今後予想される食糧問題の解決策として、「昆虫食」が挙げられている。

そもそも、人間が健康的に生活するためには、タンパク質が欠かせない。人口増加によってタンパク質不足が懸念される中、水がほとんどいらず、小規模予算で飼育できるなど環境負担の少ない昆虫が持つ、良質なタンパク質に期待が高まっているのだ。本書では、この他にも下記のような理由があるため、昆虫が優秀な食材として紹介されている。

  1. 1.種類が多く、量も豊富なこと
  2. 2.繁殖力が旺盛なこと
  3. 3.餌が人の食料と競合しないこと
  4. 4.変温動物でエネルギー効率がいいこと

Exo社の他にも、欧米では「昆虫食」をテーマに起業しているベンチャー企業が増え続け、今や世界中で200を超えるという。本書に「昆虫は世界各地で日常的に食べられている。違和感を感じるのは育った食文化や食事環境に影響されるからだ。慣れてしまえば抵抗がなくなる」とあるとおり、いずれは「昆虫を食べる」こと自体が普通になるかもしれない。私たちの食生活の一部となりうる「昆虫食」の動きに、2017年も注目である。

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

ライタープロフィール

 

hontoビジネス書分析チーム

本と電子書籍のハイブリッド書店「honto」による、注目の書籍を見つけるための分析チーム。

ビジネスパーソン向けの注目書籍を見つける本チームは、ビジネス書にとどまらず、社会課題、自然科学、人文科学、教養、スポーツ・芸術などの分野から、注目の書籍をご紹介します。

丸善・ジュンク堂も同グループであるため、この2書店の売れ筋(ランキング)から注目の書籍を見つけることも。小説などフィクションよりもノンフィクションを好むメンバーが揃っています。

×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。