honto×東京ポッド許可局 『推薦図書論』

TBSラジオ「東京ポッド許可局」の人気コーナー“推薦図書論”と、ハイブリッド型総合書店hontoがコラボレーション!毎週、局員たちが最近読んだ本、気になる本を紹介!しかも、リスナー局員の方だけがゲット出来るお得なクーポンやプレゼントも!
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2017年12月25日(月)放送で紹介された鹿島局員推薦本

鹿島局員からの推薦コメント

著者の巽先生はマグマ学者で、僕は3年ぐらい前にイベントでご一緒して。その際、この本を読んだんですが、何ていうか人生観というか、生きるのが楽になったような、そういう本だったんです。
イベントでもすごくわかりやすく話をしてくれたんですけど、日本って地震が多いじゃないですか。そんな国でどう過ごしていくか?っていうお話なんですけど、恥ずかしながら、知らなかったことがあるんですよ。
たとえば、活火山、休火山、死火山っていう言葉はもはや死後なんです。この用語はもう使っちゃならない。

というのは、御嶽山というのが1968年から活発な噴気活動を始めたから。だから、活火山の定義も変化していて、1991年からは「過去2000年以内に噴火した火山および現在活発な噴気活動のある火山」に定義を変更したんですが、さらに2003年からは「過去1万年以内に噴火した火山および現在活発な火山」という。範囲が広がっているわけです。
だから「死火山」なんてもう意味がなくなっているわけです。っていうのは、「2000年以内」から「1万年以内」へ、過去2000年という有史時代のデータが全く意味を持たないことがわかったという。

(中略)

これ、びっくりしたんですけど、(富士山もいつ噴火してもおかしくないことよりも)もっと大変な事実があるって言うんです。
もし九州で巨大噴火が起きたら……という過去のデータを先生は見せてくれたんですけど、巨大火砕流噴火というのは約5500年周期で起こっているんです。それが最も直近に起きたのはいまから7300年前。

だからこれ、ロシアンルーレットで言うと5500年周期で発生するものが7300年何もない。つまり、約2000年間奇跡的に何もなくあるんです。
先生はもうスパンが僕らと違うから達観していて「明日起こるかもしれないし、まだまだ僕らが生きているこの時代はないかもしれないし」っていう。もし、仮にいま九州南部で巨大噴火が発生したら、その地域は全滅するし、日本列島の地図も変わるだろうと。でも、それは何回も繰り返してきた。

(中略)

イベントの参加者からも「先生、そういうのを毎日研究されていて怖くないですか? 人生観、変わりませんか?」って言ったら、「この国に生まれたことを受け入れるしかない」と。
つまり、地震とか噴火があるこの国に悲観的になってもしょうがない。逆に言えば、そのおかげで美味しい食べ物、自然、温泉……私たちは恵まれているんですよという。だから実はこの本、小難しい内容に見えますけど、先生の美味しい食べ物の記録とか、そういう……(笑)。先生は割り切っているんですよね。

2017年12月18日(月)放送で紹介されたマキタ局員推薦本

マキタ局員からの推薦コメント

これは90年代なんで僕はもういい歳、青年期。20代前半でしたけど、これはなかなか衝撃的だったんですよね。
ご存知の方もいると思うんですけど、コジコジっていうのはメルヘンの国に住んでいる、メルヘン界住人なんですけど、無垢すぎて。とにかくバカなんですよ。バカすぎて核を突くというか、芯を突く、みたいなキャラクターなんですけども。それがさくらももこさんのギャグセンスによって教訓めいた話をしているわけでもないし。哲学的と言えば哲学的なんだけど、何回読み返しても面白いんですよね。

(中略)

国民的アニメとして認知されていく『ちびまる子ちゃん』っていうひとつの現象に対して、若干の違和感とかもあったんでしょうね。作中で、ちびまる子批判みたいなことをコジコジとかに言わせているんですよね。
自虐的なネタにしているということだと思うんです。そういう批評的なことをやっていたりね。

あと、メルヘン界っていうものがあってディズニーとかがあるんですけど、それとかも巧みに皮肉っているような感じでネタにしているんですよ。「自分たちが住んでいるメルヘンの世界とはちょっと違う」みたいな。 非常にメタ的だし、でも普遍性があってね。寓話としてちゃんと見れるもの。何回も見返してしまう、ひとつのギャグの古典みたいなものなんでしょうかね。

(中略)

メルヘンの世界とはいえど、すごく杓子定規で常識的なことを言うキャラクターみたいなのもいたりするんですよ。だけどこれはパラレルワールドになっていて、そっちの……談志師匠の言う常識の世界と言うんでしょうか?みたいなものとかをそこに照射していたりするんですけど、コジコジがそういうものに関して無垢に「それはなんで?なんで?」っていう感じのことを言うことで、全部ひっくり返していっちゃうという構造ですね。
それはね、胸のすくような感じ。どこか生活にまみれていったり、物語にまみれていったりとか日々している時に、コジコジを見るとゼロ地点に戻れるんです。リセットできるような感じがするんですよ。

2017年12月11日(月)放送で紹介されたリスナー局員推薦本

リスナー局員からの推薦コメント

子供に絵本を読み聞かせしていて、ハラハラと涙を流して息子から「お父さん、どしたの」と心配されてしまった作品です。

小さな頃から一匹で生きてきたオオカミが、ブタの村やウサギの村を覗いて仲間になろうと思うのですが、どこの村も、このオオカミの影を見るだけで、逃げてしまう。
途方に暮れるオオカミ。無人のメリーゴーランド…、無人の建物…、建物の屋上からフラフラと飛んでいく風船…

その時期、仕事の悩み、親の介護、子供の病気、たくさんの人生の悩みを抱えていた私に、オオカミが言葉を放ちました。

「僕はオオカミなんだ。やっぱりオオカミなんだ。うん、これでいいんだ」

その後、オオカミは、どうしたのかは描写されていません。
俺は、誰でもない、俺だ。すべてを受け入れるしかないんだ。
明日から、いや、今日から頑張ろ。そんな気持ちにさせてくれる絵本でした。

2017年12月4日(月)放送で紹介されたタツオ局員推薦本

ぷりぷり県(小学館文庫) 4巻セット

吉田 戦車 (著)

吉田戦車の本邦初、「県まんが」。地方政治を見直す今、ここに文庫化!

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タツオ局員からの推薦コメント

いま、それこそ『ケンミンSHOW』なんかも見られて、47都道府県の違いを楽しむなんていう風にもなりましたけども。この漫画では90年代からそれをやっていたというね。
で、日本に48個目の県があって、その県の名前が「ぷりぷり県」という県。そのぷりぷり県の人たちは「県ずきん」っていう謎の頭巾をかぶっていたり、奇妙な風習があるんだけど、逆に言うとそれって他の47都道府県にも奇妙な風習というものがあって。
でも、ぷりぷり県を笑うということは、みんなそれ(各都道府県の風習)を笑うということになっているという。だから、SFなんだよね。これ。

(中略)

でも最近、(大学で日本語を)留学生に教えていて、中国の学生が「日本人はなんでこんなに氷の入った水を飲んでいるんだ? 異様だ。あと、牛丼屋が多すぎる」って。
これもたしかに、外国の人から見たら、日本自体がぷりぷり県なんだよね。で、こっちから見たら中国はお湯ばっかり飲んでいるから。「なんで水を飲まないの?」とかってなるでしょう?

(中略)

だからそういう地域性にいち早く目をつけただけじゃなくて、それがちゃんとギャグとして笑えるようになっているというのは本当にすげえなと。
いま見ても面白い。吉田戦車という人を知らない人が最近、出てきているので。ぜひ若い人にも読んでもらいたいなと思っています。

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