切ない恋の記憶がよみがえる・・・大人の女心を揺さぶる恋愛コミック

小夜（さよ）は、27歳にして税理士事務所の副部長をつとめるバリキャリ。イケメン新人・桐山の指導を担当する途中、桐山から体の関係からはじまる恋愛ゲームを持ち掛けられます。常に恋愛におぼれまいとお互いブレーキをかけすぎる、小夜と桐山。感情に素直になれないカップルに、大人の女性なら心にきゅんとくるはずです。

札幌の高校生カップル、シュウジとちせ。ささやかな恋愛は、札幌が突然空爆に襲われた日に大きく変化します。次第に激しくなる戦争のなかで、シュウジはちせを守ろうとしますが、過酷な現実は2人を追い詰めていきます。厳しさを増す状況下でも、純真に互いを思う初恋の強さが美しく、切ない気持ちを呼び起こします。

鎌倉に住む高校生の藤井と里伽子。どこか冷めた感じの2人は恋に落ちて両思いになりますが、暗い秘密のある藤井はそこから踏み込めません。藤井と里伽子の双方に真摯な気持ちがあっても、相手に手が届きそうで届かない。両思いの先にあるすれ違いやもどかしさが、大人の心に響いてきます。

名作落語を短編コミック化した一冊です。オススメは「紺屋高尾」、染物職人で仕事一本、まじめ男の久蔵の恋。あるとき、吉原で見かけた高級遊女の高尾に一目ぼれします。高尾に会いたい一心で身を粉にして働いた久蔵の告白に、酸いも甘いも噛み分けた高尾がどうこたえるか。男の純粋な愛情に、大人の女性ならグラリとくるでしょう。

久我山は中学の音楽教師。卒業生の田中に頼まれて音大受験の指導をするうち、男同士の恋が芽生えます。教師として、禁断の関係を断とうとしながら田中の激情に引きずられる久我山。分別ある行動をしたい久我山と、はじめての恋に無心におぼれる田中、両方の気持ちがわかるだけに、ラストまで心が大きく揺さぶられます。