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- honto+インタビュー特集【川上未映子】おすすめの本その3
注目作家に最新作やおすすめの本などを聞く『honto+インタビュー』。不定期で随時更新予定!
そうそうそうそうこうだった……世界はいつでも柔らかくってありとあらゆる不思議をそのまま生きられる場所でもあったんだって、雨だって嵐だって真夜中に思わず窓を全開にしたくなる本!
- < 川上未映子さんのおススメPOINT! >
- 産後は時間がないのにくわえて疲労困憊しているので、こういう超ド級、特A級の想像力と発想のもとで紡がれた言葉や物語を受け止めるにはまるで土が痩せた状態で、以前のようにはなかなか向かいあう気持ちになれないのが、つらかったです。でも、好きな作家の新刊ラッシュに深く考えずにえいやっと飛び込んでむさぼるように読んでみると、ああ……! 何にもひとつも変わっていない部分が自分にも世界にもあることに気がついて、それがとってもうれしかった。言葉でどこまでやれるのか。想像力でどこまで世界を動かすことができるのか。今は色々大変だけれども、本を開き言葉を読みさえすれば、変わり続ける世界が変わらないままここにあって、そしてそれすらもまた変化してゆくのだな、小説の、そして読書のすばらしさをあらためて思い知らせてくれた本たちです。
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スワンプランディア!
カレン・ラッセル (著)、原 瑠美 (訳)
出版社:左右社
南フロリダの家族経営のワニ園は、ワニの池に飛び込んでみせるスターを失い開園以来の危機に。13歳の少女エーヴァは、沈没しそうな家族を救う、ほんとうとふしぎの混じった冒険にでる!
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狼少女たちの聖ルーシー寮
カレン・ラッセル (著)、松田 青子 (訳)
出版社:河出書房新社
制服を着せられた狼少女たち。ワニとレスリングする少女。雪の宮殿を守るイエティ婦人。ミノタウロスは西部を目指し、海賊の子孫は雪山で歌う…摩訶不思議で奇妙、孤独で可笑しい10の物語。
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月の部屋で会いましょう
レイ・ヴクサヴィッチ (著)、岸本 佐知子 (訳)、市田 泉 (訳)
出版社:東京創元社
不思議なバカンスの顛末、肌が宇宙服になって飛んでゆく奇病に引き裂かれる恋人たち、彼女の手編みセーターの中で迷子になる男…。とびきり奇妙だけれど優しく切ない、奇想SF短編集。
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タラチネ・ドリームマイン
雪舟えま(著)
出版社:パルコエンタテインメント事業部
入学式の朝、制服を着た体をうす青い炎にしらしらと覆われている生徒が、わたしたちの前に現れた?。「モンツンラとクロージョライ」をはじめ、全13編を収録した短編小説集。
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逃亡派
オルガ・トカルチュク (著)、小椋 彩 (訳)
出版社:白水社
太陽系モデル発見のその年、世界初の解剖図が出版された。天体と人体、2つの地図を人間が同時に描き出した歴史的偶然をモチーフに、時代や国境を越え、宇宙的イメージが絡み合う傑作長篇。
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プリティ・モンスターズ
ケリー・リンク (著)、柴田 元幸 (訳)
出版社:早川書房
クレメンタインは二度命を助けられた少年に恋をし、ジガニーは仲間から〝試練〟に連れ出される……少女たちの奇妙な友情を綴った表題作ほか、瑞々しい感性で描く最新作品集。
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黄金の壺
ホフマン (著)、大島 かおり (訳)
出版社:光文社
美しい金緑色の蛇に恋した大学生アンゼルムスは非現実の世界に足を踏み入れていくが……。画家で音楽家でもある鬼才ホフマンの多面的な魅力が味わえる4篇を収録。
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雪の練習生
多和田葉子(著)
出版社:新潮社
自伝を書いた「わたし」。サーカスの花形「トスカ」。動物園の人気者「クヌート」。人と動物の境を自在に行き来しつつ語られる、奇想天外で美しい、ホッキョクグマ三代の物語。
このイノセンス、いつか来た道だったよね、そして今度は子どもたちがゆく道なんだよね。思えば遠くに来たものよ&善きものはすべて子どもらに、としみじみしながら読みたい本!
- < 川上未映子さんのおススメPOINT! >
- 子どもをもつと、自分の人生が半分終わった感じになるよってきいていたけれど、ある意味ではそうだなあと実感することも多いです。終わったというか、そう、「もう、どうか善いものはぜんぶ、すべての子どもらにあげてくれな」というそんな気持ちになるんですよね。体験とか、思い出とか、やさしさとか、土砂降りがあがったあとのきらきらした世界とか、もう素晴らしいものはぜんぶ彼らに、みたいな気持ちになる。スヌーピーでおなじみの漫画「ピーナッツ」でいうところの、後部座席のあれの延長ですよね……(ぐぐってください)。でも、やっぱり子どもの頃や、若い頃に読んだ本は、年をとってもとくべつな光りかたをするものですね。まるでタイムマシンだね。自分が移動するんじゃなくて、一瞬で、時間やそのときの感情やにおいや見えたものそのものになったような気がする。時間がたつって、すごいことですね。
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一葉の「たけくらべ」 ビギナーズ・クラシックス 近代文学編
角川書店 (編)
出版社:KADOKAWA/角川学芸出版
明治の吉原を舞台に、揺れる少年少女の恋心を描く、永遠のベストセラー。わかりやすい現代語訳でも楽しめる入門書。原文は総ふりがな付きで、朗読にも便利。
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すももの夏
ルーマー・ゴッデン (作)、野口 絵美 (訳)
出版社:徳間書店
休暇に訪れた異国フランスで、母の急病で子供たちだけでホテル暮らしをすることになったわたしたち。フランス語に悪戦苦闘しながら、ある日とんでもない事件に巻き込まれ…。
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夏のルール
ショーン・タン (著)、岸本 佐知子 (訳)
出版社:河出書房新社
ぼくとお兄ちゃんの、夏のルール。意味の分からないルールなら、なおさら約束は守ること。でないと…。ショーン・タンが贈る、夏のものがたり。
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デミアン
ヘッセ (著)、高橋 健二 (訳)
出版社:新潮社
苦境から救ってくれた友人のデミアンは、漠然と憧れていた第二の暗い世界をより印象づけた。主人公シンクレールが、明暗二つの世界を揺れ動きながら、真の自己を求めていく過程を描く。
妊娠・出産・育児は、想像を超える爆笑と涙の連続だ!!
きみは赤ちゃん
川上未映子(著)
出版社:文芸春秋
35歳ではじめての出産。それは試練の始まりだった!
芥川賞作家の川上未映子さんは、2011年にやはり芥川賞作家の阿部和重さんと結婚、翌年、男児を出産しました。つわり、マタニティー・ブルー、出生前検査を受けるべきかどうか、心とからだに訪れる激しい変化、そして分娩の壮絶な苦しみ……妊婦が経験する出産という大事業の一部始終が、作家ならではの観察眼で克明に描かれます。時にユーモラスに、時に知的に、子供をもつということの意味を問いかけます。
さらに出産後の、ホルモンバランスの崩れによる産後クライシス、仕事と育児の両立、夫婦間の考えの違いからくる衝突、たえまない病気との闘い、卒乳の時期などなど、子育てをする家族なら誰もが見舞われるトラブルにどう対処したかも、読みどころです。
これから生む人、すでに生んだ人、そして生もうかどうか迷っている人とその家族に贈る、号泣と爆笑の出産・育児エッセイ!
川上未映子(かわかみ・みえこ)
- 1976年、大阪府生まれ。
- 2007年、デビュー小説『わたくし率 イン 歯ー、または世界』(講談社)が芥川龍之介賞候補に。早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞受賞。
- 2008年、小説『乳と卵』(文藝春秋)で第138回芥川賞を受賞。
- 2009年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』(青土社)で中原中也賞受賞。
- 小説『ヘヴン』(講談社)で芸術選奨文部科学大臣新人賞、紫式部文学賞受賞。初出演の映画『パンドラの匣』でキネマ旬報新人女優賞を受賞。
著書に『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』(講談社)、『ぜんぶの後に残るもの』(新潮社)、『すべて真夜中の恋人たち』(講談社)など。
次回の『honto+インタビュー』は、阿部和重さんです。
最新作の伊坂幸太郎さんとの合作『キャプテンサンダーボルト』についてお話をうかがいました!
11月6日(木)公開予定。お楽しみに!!