紙の本
篤姫のしあわせとは?
2008/12/08 22:13
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トマト館 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この小説の語り手は、
最初から最後まで主人公のことを
幼名の「一」でも「敬子」でも、その人生の大半であった「天璋院」という名前でもなく、
「篤姫」と呼び続ける。
夫である将軍が生きている間の呼び名である。
嫁ぎ先で唯一の理解者となった夫がいる間が、
主人公のしあわせだったのだろうか。
さて、下巻では和宮の姑となり、
その摩擦に悩まされる上に、
徳川時代が終わってしまうという大きなことが次々と起こる。
若い頃よりもきっぱりとしていて、
そして少し頑固でもあると思う。
女は常に政治の表舞台からは隠れ、
教科書にもほとんど載らない。
だが篤姫という人は、大奥という大きな組織の上に立ち、
そしてその終わりを見届け、
その後の徳川家にも崇拝されていく。
教科書に載らなくとも、
また表舞台からは隠れていても、
それはすごいことである。
彼女が今生きていたらどうなるか。
封建制という中で生きていたにも関わらず、
その考えが当世風でないと悟り、
女子であろうと何でもできる世の中ならば、
大きなことをしでかそう、と思うのではないだろうか。
そして、彼女は史書好きだから、自分について書かれた本を読み、
「どれもこれも違う!実は・・・」と
強く自分の主張を述べるのではないか、とひそかに期待している。
紙の本
複雑な思い
2019/10/24 20:15
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本の徳川慶喜のイメージが強すぎて、実は名君だったなどと聞いても信じられません。また和宮への複雑な思いも読み応えがありました。
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:uma - この投稿者のレビュー一覧を見る
面白かったです。
篤姫の本質というか、人間性、価値観は昔から変わっていない。
変わっていないが、
母、菊本、幾島、滝山、和宮と多くの人に刺激を受けながら、
大きく成長していく姿。
人はこうやって大きくなっていくんだなあ・・と。
江戸城開城前夜、薩摩から篤姫を引き取る使者が来たときの、
篤姫から滝山への口上。
意地とプライドと少しの悲しみが混ざった、素晴らしいメッセージだったと思います。
うまくいく時もいかない時もある人生。
自分も矜持を持って頑張らないといけないなあと勇気づけられました。
紙の本
篤姫の生涯
2020/03/05 13:42
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:扇町みつる - この投稿者のレビュー一覧を見る
篤姫の人生が生き生きと描かれていました。
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一般的な解釈では和宮は降嫁されたってことで同情を注いでもらえる存在。
篤姫の視点から見るとこうも違うのか。
歴史は一点から見てしまいがちだから。
思い込まないよう気をつけないと。
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賢君島津斉彬の策略によって13代将軍家定の時に御台所となり、動乱の幕末期において、島津家、徳川家、大奥の統率者、妻、母、姑など様々な立場での役割を背負い、激動の人生を送った篤姫。薩長土の志士達を切り口にした幕末小説が多い中、政治の場から遠い大奥に焦点を当てた稀有な小説です。徳川をめぐる佐幕・攘夷といった政治的な流れと共に、一人の女性としての心情が描かれていて、今まで読んだ幕末小説とは違った感覚で楽しめました。この人が徳川家や妻としての意識を持たず、斉彬からの命を果たしていたら、歴史は変わってたのかなーと思います。
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大奥3千人の徳川家の長、将軍家茂の養母、皇女和宮の姑としての立場は、付け人達の公家・武家関係でもあった。徳川と島津の関係が官軍と賊軍になっても、信念を貫き、徳川の賢母として、思慮に富み情に厚く、幕末から明治初期をこの様に過ごしたかかと思う時、庶民それと比して感慨深いものがある
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大奥や篤姫の性格について、和宮との嫁姑確執問題の描写が多くて、結局篤姫が無血開城にどう貢献したのか、明確ではない。歴史「小説」だから仕方ないのだろうか。ただし、篤姫の正室入りが、幕末という背景にどう関わっているのかという部分はとても興味深かった。幕末の歴史に興味がある読者にしては、物足りないと思う。
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将軍家定の急死、継嗣をめぐる幕府内の対立、養父斉彬の死。篤姫は、家定との結婚が斉彬の遠大な野望であったことを知り慄然とする。天璋院となったのちも総帥として大奥を統べ、皇妹和宮の降嫁、大政奉還等、激動の幕末を徳川家の人間として徳川宗家のために生き抜いた篤姫の偉大な生涯を描いた歴史長編。2008年大河ドラマ原作。篤姫の苦労が読者にも伝わってくる
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ハリスに通商条約を迫られる中、夫・家定の急死。それも将軍の死はしばらく伏せられる習慣で看病に行く事すら出来なかった無念。
次の将軍となった家茂は母上と立ててくれるが、和宮降嫁で女中達が対立、大奥を揺るがす騒動となります。
和宮は4年の結婚生活で同居は2年6ヶ月、これでも篤姫よりは少し長いんですね。
江戸城を明け渡しに際して力を合わせて奔走、晩年は共に江戸の町見物もしたという微笑ましいエピソードも。
国政の大変動期を内側から描いて迫力があり、面白かったです。
一大名となり後には公爵となった徳川家の跡取りを江戸屋敷で育て上げた後半生はけっこう充実していたでしょう。ほっとしました。
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4/6 物語が転がりだしてからは一気に読めた。おもしろかったけど文章の力というよりは物語の力かも。そういう形にまとめたということはすごいと思うけど「宮尾登美子が好き」というのとは違うかも。
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やはり、最後まで一気に読んでしまう面白さがあった。
女性を政略結婚の手段に使うなど当たり前の時代にあって、自分の考えをしっかり持ち、思慮深い行動をする
人物として描かれていた。本当に面白かった。
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帯に「江戸城無血開城に貢献」とあったのでそのあたりの話を楽しみにしていたけれど、大奥の特殊な習しのために特に期待したような場面はなかったです。
ですが、人の上に立つ者・嫁として・妻として・姑として、の家庭の中で女性がなる立場を聡明な篤姫が対峙していく様は非常に感じ入るところがありました。私も嫁いだらこうでありたいです。でも篤姫のように孤独な立場は女性として不憫です。
ずっと少女の体で死を迎えたのでしょうか。このお話とは別に彼女にも恋を経験していて欲しいと願ってしまいました。
ところでTVでは宮崎あおいちゃんが演じてますが、原作を先に読んでしまったのであんまり主人公のイメージではないです。どちらかというと町娘のように見えます(^−^;
物語の架橋になる年齢が30才になるあたりまでなので若い方を選ばれたのでしょうが・・・
嫁・姑の関係がでるといってもお嫁さんもすごく若いんですよね。
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毎週娘が心待ちに見ている大河ドラマ「篤姫」、ついつい私も引き込まれて見るように。原作は大学生のときに読んだ・・・と思ったのだけど、すっかり忘れてました。久しぶりに宮尾先生の重厚な文章を堪能いたしました。小説を読むと、ドラマの篤姫にはちょっと違和感を覚える・・・。これはこれで「ドラマ」としてこれからは楽しむことにします。
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おわたり途絶えてもう二ヵ月以上、あの四月末の夜、遺言めいた言葉を残したままなので篤姫はいたく気になり、ここに来てほとんど毎日のように年寄たちを表につかわしているが、「ご不例にましますよしにて」とだけ、いつも要領を得ずに戻ってくる。(略)やがて奥の会見の間に戻って来た肥後守は、「まことに申上げ難き儀なれど、将軍すでにご他界遊ばされし由」と報告、篤姫は聞くなり体中の血が頭に上り(p22-23)