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一向に生まれない
2018/05/10 06:46
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
生まれてこない赤ちゃんに翻弄されていく、ひとりの女性の姿が奇妙な味わいでした。ヒロインの冬子を始めとする、風変わりなキャラクターも面白かったです。
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美大出身の女優さんの処女作。
数年前、映画化もされていました。
メガホンも彼女がとったようです。
赤ちゃんがこの世に生まれてくるまで、十月十日と
昔から言われてますが、主人公の冬子は三年身籠りました。
紡がれていく物語はパレットの中の絵の具のようでした。
(只単に、“色”というものだけでなく)
さらさらとしていたり、とろりとしていたり。
そうだ、折角この世界に生まれてくるんだ。
赤ちゃんだって周りに祝福されたい、幸福の中出て来たいに決まってる!
他の作品も是非手にとってみたいです。
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ホラーかと思っていたけど、コメディ?
スピード感があっておもしろい。
大人は身勝手だ。
身勝手な大人ばかりの世界になんて、
産まれたくないよなぁ。
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何と言っていいのか、不思議なお話でした。冬子も夫の恋人も一緒に赤ん坊の誕生を祝って欲しいと恋人のもとへ押し掛けてみたり、過去の恋人達のもとを訪れ、あなたは宇宙人じゃないかとか、変な病気を持っていてうつしたということはないかと尋ねてて廻ったりしていて、十分風変わりでしたが、それにも勝って、妹、緑子の自由奔放なところが印象に残りました。
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だたのダメ男が“父親”になる準備を整える瞬間。徹の変化にはちょっと涙を誘われた。
文章が淡々としすぎていてどうかなと思ったんだけど わりと好き。
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夫婦関係の修復だったり、信頼関係を築いてゆく過程が3年間子供を妊娠する中で描かれてる。
本の中に出てくる女の人たちは、とっても変わっているように見えるけど、
実はどんな女の人でも持っている気持ちをはっきりあらわすだけの、普通の人なんだなと感じた。
とっても不思議な話だったな。。
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外見は双子のように似ていながら、性格は全く違う
冬子と緑子の姉妹を中心に描かれた家族小説です。
冬子は妊娠中ですが、夫の徹がずっと前から浮気をしている
ことを知っていて、それでも黙っています。
「この子に毒だから」と少しの物音を立てることも許さず、
夫婦間はますますギクシャクするばかり。
一方、妹の緑子は医師の卵である「海くん」と目下大恋愛中。
まもなく生れてくるはずの冬子の子どもでしたが、
十ヶ月を過ぎても生れる気配がなく・・・
淡々とした文体ながらも、書かれている内容にときどき「えっ??」と
驚かされました。自由奔放な妹・緑子よりも、一見おとなしそうな
冬子の行動はコミカルと思う人もいるのかもしれませんが、私は
「恐い」と感じました。サスペンスかな、これ、と思ったくらい。
男は女を理解できないし、女は男を理解できない。でも共に暮らし、
新しい生を誕生させていく。
二転三転する徹の態度は、あまりに不安定で頼りなくはありますが、
命の重要な局面において、そうなってしまう男性は多いのかも。
実際、1歳半の子どもがお腹にいるなんてどんな状態なんだ??と
こわごわ想像して、想像できませんでした。
他に類を見ない小説だと思います。
余談ですが「海くん」をずっと「うみくん」だと思って読んでいたので、解説を
読んで「カイくん」だと知ってショックを受けました。
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映画化されているのは知っていた(西島さんが出演しているので)。
ほのぼの系なんだろうな、と勝手に想像していたら、意外と壮絶?普通じゃないなぁという印象。
なんで3年間妊娠していたかなぞ。意味あったの…?
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身籠った赤ん坊が十月十日で出てこないなんて、
普通に考えればとてつもないホラーなんだけど、
あまりにも淡々とした文章なので、
普通のことのように思えてしまった。
動物と違って人間だけは本来”生理的早産”で生まれ、
立つことも歩くことも出来ないわけで、
とにかく親に面倒見てもらわなくては生きていけない。
赤ん坊が生まれたがらなかった理由は、
親としての心理的準備が出来ていない両親への反抗か?
でも、文章の中では、
主人公が妊娠を継続したがったからだと書いてあったかも?
何とも曖昧なのだが、その曖昧さゆえに、
不思議な面白さを醸し出してる本であった。
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十月十日で産まれてくるはずの赤ちゃん。
でも、主人公はタイトルの通り3年の間も身籠ったまま、、、。
何というかなぁ、、、。
親の気持ちの都合で、お腹の中の赤ちゃんが3年間頑張ったって感じ?(笑)
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身籠もった冬子から、十月十日たてども子供がいっこうに産まれてこない。
そんな冬子と妹の緑子の物語。
こういうぶっとんだ登場人物の話は苦手です。
設定はおもしろいと思うけど。
「個性を純粋に保つにはすべての不自然な情報を遮断すればいいのだ。」
「お経は強烈な個性的なひとつの思考」
「サンタクロースはノストラダムスが扮してるのではないかと自分は疑っている。地球滅亡に向けて未来を担う子どもたちに呪いをかけるため、贈り物には罠を仕掛けて、あたかも善行のようにみせかけて世界中を飛び回っているのだろう。なぜなら、わかり易い善行というものは、得てして悪を潜ませているものだから。」
タイトルと、文庫のカバーデザインは好き。
「
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読み終わって冬子三年身籠る意味がわからなかった。普通に生まれるまでの間十月十日で物語れるんじゃないの?
解説を読んで気がついた。周りの大人達に迎える準備ができていないということを。そこに気がつかないくらい、個性的なキャラが多かった。母親に対して辛辣な評価をする緑子が好き。
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十月十日を過ぎても赤ちゃんが産まれず、三年が経過してしまうタイトル通りの話。京極夏彦のウブメの夏を連想してしまったが、こちらはミステリーではありません。それにしても食べ物の描写が多く、食欲をかきたてられてしまう。
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もう少しおどろおどろしい話かと身構えていたけど、ウイットあるいい話だった。
歴代彼氏の描写など面白い。
ラストの、冬子の反撃は迫力があってとても良い。
格好よさが嫌味になっていった海くんが、よりによって女装してる時に病院へ駆け込まされるのもいい仕打ち。
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まごうことなき妊婦の冬子。しかし腹の子は十月十日を過ぎても出てくる気配はない。
不倫夫だった徹。冬子の妹のパンク娘・緑子。そして緑子の恋人で医学生の海くん。に、巻き起こるひとつの物語。
私のいちばん身近な子持ちは姉で、ここ数年友人でも数人出産した人がいて思うのは、妊娠して出産するまでにたくさん心構えをしたつもりでいても、実際産まれてみなきゃ分からないことの方が多くて、悩んで辛い思いをして果てはノイローゼになりかけたりもして、少しずつ母親になっていくのだろうということ。
私だってもう子どもの一人や二人いてもおかしくない年齢だけど、もし今妊娠したとして、手放しで喜べる自信はない。
この物語に出てくる夫婦も、年齢的にはとっくに大人だけど大人になりきれていなくて、お腹に子が宿っても心の準備がしきれていなくて、周りも何だかがちゃがちゃしていて、そんな中お腹の子が空気を読んで(?)お腹にとどまってしまっているという、ファンタジーなんだけど現実めいた不思議なお話だった。
著者の唯野さんは女優さんだそうで、検索してみたら「あ!観たことある!」と思った。キラリと光る脇役的な女優さん。
女性特有の感覚で綴られた物語かもしれないけれど、からりと乾いていて女臭くはなかった。それがとてもよかった。
何より妹の緑子がキュートだった。
今で言うと…自分の置かれた状況とかは別にして、政治的な意味合いで、新しく子どもを産んでいいものかどうか悩んでしまう世の中になってしまったと思う。
最初から色んなことが不安なのに、さらに不安要素が増えてしまっていることが悲しい。
自分のなかの不安だけと闘える状況は、本当はとても幸せなのかも、と思った。