電子書籍
道に迷っているばかり
2017/11/09 16:00
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
森田公一とトップギャランが唄った「青春時代」はいまでも胸がキュンとなる青春ソングだ。
作詞は昭和歌謡の雄、阿久悠さん。その歌詞の一節、「青春時代が夢なんて/あとからほのぼの想うもの/青春時代の真ん中は/道に迷っているばかり」、多くの人に受け入れられるのではないだろうか。
この楽曲ができたのが1978年だが、それより遡ること2年、1976年(昭和51年)にまさに「青春時代」そのもののような本が出ていた。
それが、東海林さだおさんのこの本。
「青春記」とあるとおり、漫画家でエッセイストである東海林さだおさんの「初恋物語」から疎開先での暮らし、そして早稲田大学での暗い青春と漫画研究会の仲間たちとの交流とやがては漫画の連載を持つにいたる、抱腹絶倒の青春時代エッセイである。
正直、この本を読みながら、何度笑い転げたか。
では東海林青年の青春時代はおかしかったのかといえば、けっしてそんなことはない。
邪な理由で早稲田の露文科にはいってしまって、学業についていけず、かといって漫画で成功するわけでもない。
その当時の東海林青年の基本的な考え方は「ま、なんとかなるだろう」で、朝家を出てそのまま新宿の安い名画座に入り、昼には学校のそばのラーメン屋にもぐりこむ。
学校のそばまで行くが、授業には出ない。漫研の部室で時間をつぶし、そのまま家に帰るという生活の繰り返し。
そんな青春時代があってもいいし、実際東海林青年と同じような「楽隠居生活」を送ってきた私とすれば、「青春時代」よりもさらに身のつまされる思いがする一冊だ。
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新聞連載「あさってくん」などの作者にして、日本屈指の名エッセイスト東海林さだおの青春記を描いた私小説。
これほど方に力の入らない青春記があっただろうか?若人の青春時代の悩みに対する最もあたたかい回答がここにある。
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現在深刻な問題となっているNEETの先駆け的自伝小説。とは言っても『ひきこもり』がテーマというわけではない。青春時代誰もがやってしまうであろう馬鹿な行動、歪んだ妄想、その他もろもろ、ほろりとしてしjまうような場面もしばしば。
この本は、筆者が漫画家としてデビューするまでの人生を綴った作品である。
少年時代に漫画を書くのが好きだったこと。
この本を読んで、誰もが『アハハ、コイツ馬鹿だなぁ』と思うだろう。どこか抜けていて、でも憎めない行動。漫画を出版社に持ち込んで、さも当然のようにそれが大ヒットすると信じ切っている。こんな無謀で間の抜けたショージくん。
だがこれはだれしももっている恥ずかしい体験ではないだろうか。
人間はいつも特別になりたいと考えている。程度の差はあれ、初めてやったスポーツで才能が認められたらどうしようとか、心の底では思っている。だけど理想は遠くて、現実は近くて。
部屋で日がな鼻毛を抜いたり映画を見に行ったり、ショージ君はそんな日々を過している。
だがある日、親友の福地泡介の家の牛乳受けをみて、そんな無駄で怠惰な日々からの脱出を決意する。『次の日から猛然と漫画を書き始めた』というほど人生は簡単ではなかったが、それでも人生は動き始めた。いや、彼が動かしたのだ。
初めて漫画が雑誌に載った時、掲載率がどんどん高くなっていった時、彼は少しずつ大人になっていくのだ。だれがなんと言おうとあの日、ショージくんは輝いていたのだ。
若さ、それは万人が持っていた日々、そして誰しもが無駄に過した日々。
人生の大抵は、そういうものでしかないのかもしれない。だがそれを帰るのはほんの少し、ほんの少しの努力でいいのだ。
若者必携の書。
特に中高生に読んでもらいたい作品である
テーマ
・『若さ』
・『僕はモテナイのだ』
・『早稲田大学に入ってからの怠惰な日々』
・『福地の家には牛乳が置いてあった』
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「ショージ君の青春記」3
著者 東海林さだお
出版 文藝春秋
p91より引用
“大学に入学したてのころは、
どうも女学生対策にばかり心をくだいていたようである。”
漫画家でありエッセイストである著者による、
著者の青春時代の思い出を綴った一冊。
子どもの頃の疎開から大学漫研時代の仲間達についてまで、
いつもながらの楽しい文体で書かれています。
上記の引用は、
大学に入学した時のエピソードが書かれた章の中の一文。
今も昔も男子大学生の頭の中は、
それほど変わりが無いのではないでしょうか。
けれどこの年代の男性がこうでなければ、
生物種としてのこの先の寿命に期待は持てないので、
これでいいのだと思います。
漫研のエピソードの中に出てくる仲間の名前が、
一度は聞いたことのある名前ばかりで、
漫画家の当たり年だったんだろうかなぁと思いました。
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時代大分は違えど、ズッコケ青春記。空回り加減にクスリとしてしまうが、時間を割いて読むなら他に読みたい本が有るので。