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紙の本
ディープな宿とは何か。身近な街と気になる宿のエッセイ
2006/07/09 21:05
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
泉麻人氏の軽快なエッセイである。これは東京のディープな宿と称して、そのユニークな宿と周辺の散歩の記録である。
面白いところに目を付けたものである。ディープという意味がよく理解できなかったが、巻末にある泉氏ご本人の“ディープ”の定義によると、タウン情報誌にはあまり載らないが、立地や屋号が面白く、比較的安価に泊まれる宿だという。
散歩などをしていると、なんとなく気になったり、如何にも好奇心を掻き立てる建物がある。しかもホテルや宿屋であると一度は泊まってみたくなる。宿は不潔であったり、古かったりしてはもちろん失格である。しかしながら、古くても、そのよいところをうまく演出することはできる。演出の仕方として清潔な宿、面白い立地の宿、大都会のど真ん中の和風旅館、洋館仕立てのプチ・ホテルというのは如何にも趣がある。コンクリートとガラスの塊の中に時を過ごすのはもう飽きた。
ロンドンには、小規模だが家族的な経営を旨としているホテルが多いという。東京にも特徴のあるそういう宿があってしかるべきである。
本書で登場する宿の中にはメジャーな宿も登場する。たとえば、東京ステーション・ホテルや錦糸町マリオット・ホテルなどの一流有名ホテル。さらに、九段下にある旧軍人会館、九段会館や上野池之端にあるひときわ目を引く奇抜な建築物であるソフィテル東京、ゆっくり寛ぐのに利用する人は少ない羽田東急ホテルなどが含まれているところが、並みの選択眼ではない。
九段会館のようにいかにも古色蒼然としている建物にも、宿泊施設はある。立地は最高であるが、お値段はそこそこで言うことなしである。なにしろ会館内部がよろしいし、昭和の歴史を造ってきた現場がそこにある。天井も高いし居心地も悪くない。
東京ステーション・ホテルはどこにホテルがあるのか分からないほど東京駅に埋もれてしまっているが、れっきとした有名ホテルである。現在は改装中で再開は5年ほど待たなければならない。ちなみに泉氏は川端康成がよく利用した部屋に泊まったようだ。
それ以外は都心にありながら、閑静な街にある和式旅館が選択されている。情報誌に載らないということは一般には知られていないので、経営は大丈夫かと心配になるが、案の定、現在はすでに廃業してしまったところもあるようだ。
情報誌に載らないといっても、テレビで紹介された宿もあったりで、必ずしも定義が厳格になされているとは限らない。宿だけではなく、泉氏の宿の周辺の散歩記もなかなか面白い。自分で見つけてみるのも一興であるし、ここで紹介された宿に泊まって日常から離れてみるのも一興であろう。
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