紙の本
ラストが素晴らしい
2017/02/09 20:05
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投稿者:melon - この投稿者のレビュー一覧を見る
労組問題で会社から冷遇されていることに嫌気がさし、また妻との関係をも清算するという主人公田崎が、最後に転職もプライベートも最悪の結末を迎えるその構成は面白い。まさにバッドエンドのお手本のようなものになっている。とくに最後の章の「崩壊感覚」というタイトルは、まさにこの話にぴったりであろう。
労働組合が存在しない、非上場の同族企業では、まさにその従業員などは、経営者一族から搾取される存在であろう。田崎が大和鉱油に入社したのは財閥系の化学会社や大和鉱油以外の石油会社で競争するのが嫌だったからだとあるが、しかし大和鉱油が毛嫌いされるのには理由があるのだろう。
なお、この話は出光興産がモデルであるそうだが、現在の出光は上場企業である。しかし同族企業である面は残っているようで、合併問題のごたごたなどニュースを目にするたびに、同族企業というものは負の面も多いものなのだろうなと感じてしまいますね。もっとも合併問題が起こる前は特に問題が生じていることはなかったのだろうし、中にはうまくいっている企業もたくさんあるんでしょうけど。
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労働組合問題が題材となっている。
会社の体質と、主人公の考え方の相違。
自分の年齢が主人公に近いことから、つい自分の体験・考えを混入して呼んでしまった。
ちょっと、オーバーな・・・出来すぎているところも感じるが、やっぱり面白い。
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石油業界と通産省の関係値とか、排脱処理?とか、難しい仕組みについてはチンプンカンプンだったけど、頑張れ田崎!と応援したくなった。
出光興産がモデルらしいけど、
そんな古い体質だったんだーという驚き。まあ、出光って確かに創業者の名前だもんなー。
最後に、どんでん返しがあったのがすごい!高杉さんの作品で、まさかの大どんでん返し!
面白かったです。
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久々経済小説。しかもふっるい本。
石油会社で働くエリートサラリーマンの物語。栄光から左遷、情事に転職そして離婚。めまぐるしく進む展開にグイグイ引き込まれる。
初版は1981年で俺が10歳。著者のデビュー作で代表作。古いのに古さを感じずに楽しめる一冊やで。
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「海賊とよばれた男」で出光に興味をもったので、同じ出光をモデルに書かれた本書を読んだ。会社組織の中で苦悩するサラリーマンの生き方が描かれている。男女の関係も大きなポイントになっているので、なんとなく島耕作シリーズを思い浮かべてしまう。書かれた時代が1980年ということもあり、ストーリーなども含め古いものを感じなくはない。高杉良のデビュー作ということであるが、個人的には「金融腐食列島」などが好きだ。しかし、ある意味平凡なサラリーマン(といっても優秀な人物ですが)を描いているという点で「半沢直樹」などにはないリアリティーは感じられた。
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1939年生まれの著者が、1975年に発表した作品。即ち、著者が36歳位に書かれた作品になる。
最後に、「オチ」があり、余韻がある。
●2024年1月23日、追記。
本作の内容は、次のとおり。
---引用開始
大手石油会社に勤める若手エンジニアの田崎健治は、公害問題を解決する画期的な技術を開発し、将来を嘱望されていた。しかし、些細なきっかけで同期に裏切られ、畑違いの通産省担当に左遷されてしまう。経済成長期の花形産業に渦巻く欲望に翻弄されるエリートの栄光と挫折を描いた、記念すべきデビュー作。
---引用終了
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時代背景はちと古いが、昭和のクローズドなバンカラ企業の内実が分かるようで面白い。デビュー作で荒々しいので、次回作にも期待!
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2019年3冊目。高杉さんはサラリーマンを描く小説の王道だろう、と思い楽しみに読みました。が、今まで邪推な物語を読んでいたせいなのかな?自ら破滅する道に進み、悲観し挫折に陥ってしまう、というストーリーに苛立ち覚えました。起承転結の〝結〟が、あとは読者の想像にお任せします、的な感じなので雑に思え、読み終わった後がしっくりこなかったです。
そして一昔前の小説なので、男女間の関係などが古く感じます。知っている漢字だけど読めない、見慣れない熟語が出てくるのである意味勉強になりました。
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労組のない企業の社員が、労組のことで左遷され
技術職から遠ざかるが腐らず、そして・・・
ある社員の出来事、社員の思いと行動
読んでいてそんな流れかぁと思いながら読みました