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紙の本
戦後昭和の時代を映した青春小説
2013/01/26 19:14
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投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書が最初に単行本で刊行されたのが1987年3月ということなので、もう26年前のことだ。そうか、もう四半世紀たったのだ。
著者については、ロック・ミュージシャンでもあり、雑誌『ロッキング・オン』の創設者の1人であり、同誌のメイン・ライターとして認識していたので、小説を書き、その単行本が有名出版社(筑摩書房だった!)から刊行されたというのが驚きだったし、このまま小説家になってしまうのかなんて思ったりもしたのが懐かしい。
そんな著者の小説デビュー作だが、一言で言ってしまえば1960年代の青春小説となるだろうか。
もちろん著者が著者なので、そこにビートルズないしはビートルズの歌が絡んでくるという、ある種60年代青春書悦の王道のようにも思うのだけれど、四半世紀ぶりに読んだら、意外にそうでもなかった。
確かに、そこに描かれているのは60年代の日本であり、その頃に10代として生きていた人たちであり、その当時の雰囲気が伝わってくるのだが、それよりも印象的なのは10代そのものの、どの時代にも通じる若者の雰囲気だった。もっとも、私自身が著者より10歳若いとは言え、すでにその10代は昭和の歴史の彼方にあるような気がするので、今の10代は違っているかもしれない。
いずれにせよこの小説を印象深くしているのは、1963年に小学6年生だった主人公が、1章を1年として最後の1970年で10代を終えるということだ。
しかも、1年ずつが1つのエピソードとして書かれており、エピソード自体も少し唐突に終わってしまう。次の章に移れば、もう1年が経過しており、また次のエピソードが始まるという具合だ。これが逆に、それぞれのエピソードに余韻を残しているように思う。
全体としては大きく2部構成になっており、1部の最後がビートルズの日本公演に主人公が行く話だ。ここで、きっと主人公は大きく変わったのだろう。それがエピソードの内容だけでなく、構成からもはっきりとわかる。
それにこれって、今目次を見ながら気づいたけれど、昔のレコードのA面B面みたいな構成ではないだろうか。そうすると、1つずつのエピソードはまるで1曲ずつの歌のようだ。歌ならば、1つずつで話が成立し、次の曲とはそんなに関係がなくても何もおかしくはないわけだ。
そういった意味では、これはやはり60年代とまで限定しないにしても、戦後昭和の時代を映した青春小説と言ってまちがいないのだろう。
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