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みんなのレビュー4件

みんなの評価4.3

評価内訳

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4 件中 1 件~ 4 件を表示

紙の本

物書同心にもかかわらず事件を解決する紋蔵の行動が、窓際から解放する

2010/01/09 19:06

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る

居眠り紋蔵シリーズ第六弾。
本書の最後の最後で、「物書同心居眠り紋蔵」というタイトルにも影響するような紋蔵の環境が一変する事が起きる。
それは本書を読んでからのお楽しみ。

この第六弾では、紋蔵の公儀に対する真面目さが描かれている。
『四両二分の女』や『銀一枚』で、犯罪によって得られた金を町奉行が掠め取るような事が起こる。
それに対して紋蔵は、上司の沢田六平に厳しく意見し、民意を計ろうと画策する場面が出てくる。
紋蔵の義憤と民意・公意が一致するかどうかが見物。

また本書で、紋蔵や金吾たちがほとんど登場しない『猫ばば男の報復』という作品がある。
事件の当事者たちだけで物語が進み、紋蔵と金吾は脇役的立場で、その事件を噂話のように話す程度なので、外伝のような印象を受ける。

『腐儒者大東桃昏(ふじゅしゃおおひがしとうこん)』では、聖人のように思われていた大東桃昏の変わり身が面白い。

『湯島天神一の富』は、一の富(宝くじ)を引き当てた娘と、それに群がる人々や思い違いによって起こる事件を描いている。

『名誉回復の恩賞』では、先に述べた紋蔵の環境が一変する事が起きる。
タイトルから良い事なのが、なんとなく推測できる。
紋蔵の環境が一変したあと、第七弾「白い息」での活躍が楽しみだ。

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紙の本

ちょっとどころか、かなり骨のある小役人

2011/03/05 18:07

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:saihikarunogo - この投稿者のレビュー一覧を見る

前々作『お尋者』の巻頭、『まあ聞け、雛太夫』の雛太夫が、再度、『四両二分の女』の巻頭『男運』に登場。彼女は、自分に親切にしてくれた男が、立場変わって自分を頼ってくると、恩返しとばかりに世話をするうちに男女の仲になる、というパターンを、懲りずに繰り返している。そしてまた、悲恋に終わる。そしてまた、娘浄瑠璃としての名を挙げる。最初は、雛太夫の家にどかどかと踏み込んでいく、どあつかましい女どもに腹を立てながら読んでいたが、彼女たちが雛太夫の近所に住んでいたのも、全くの偶然というわけではなかったのだとわかったときは、捕物帳的おもしろさがあった。

居眠り紋蔵が、小笹の七蔵の話をじっくりと聴くことができて、よかった。ほんとうに雛太夫のことを大切に思っている、いい男だなあ、と思う。

雛太夫の恋をつぶした、夫婦者のいやらしさ、あつかましさは、前作『老博奕打ち』収録の『伝六と鰻切手』の伝六に通ずるものがある。同じような、長屋の住民の欲深で自分勝手な例は、『腐儒者大東桃昏』と『湯島天神一の富』でも繰り広げられる。どちらも、子供がおとなの身勝手さと欲ボケの犠牲にされそうになるが、対照的に子供に親切な人物として、儒者と、手習塾の師匠が登場する。儒者大東桃昏も、手習い塾の師匠勝馬龍水も、人から褒められようとけなされようと気にせず、自分の意思や主義を通し、損得抜きで行動し、しかも、ユーモアがある。世間にはくだらない儒者も多いことも解説されているので、余計に、彼らのさわやかさと痛快さが目立つ。

今回は、また、紋蔵が、いつもの沢田六平や安藤覚左衛門はもちろん、他の与力たちからも、無理難題を押し付けられる話が多い。それを紋蔵は、渋りながらも解決していくのだが、紋蔵の正義感が上司との対立を生むときもある。『四両二分の女』では紋蔵が内部告発をして世論に訴えるのだが、世間は紋蔵の意に反して、奉行所への批判よりも、興味本位な俗情に流された反応を示す。そのせいで、「四両二分」とされた女に悲劇が訪れる。これは、紋蔵にとっても、そして、紋蔵の意見を無視した奉行所の上層部にとっても、痛い出来事であった。最後に、将軍まで登場して、親を亡くした幼い子供に温情を施し、沢田六平や安藤覚左衛門も、紋蔵も、寸志を添える。人情味のある結末ではあるが、死んでしまった人は帰ってこないし、現代の世相にも通じる、やりきれなく、おそろしく、なさけない話である。

剣は達者な紋蔵だが、それでも、昼日中、往来で、わざと地廻りの親分に喧嘩を吹っかけると、これが予期に反して腕が立ち、内心、しまった、と思う話がおもしろい。そこへ仲裁に入る火消しの親分がかっこいい。この騒ぎは、ある与力が公正な裁判をおこなうために紋蔵に頼んで仕掛けた、苦肉の策なのだったが、居眠り物書同心がどうしてこんな目に遭わなければならないのか、紋蔵でなくても理解に苦しむところだ。

やはり、ほんとうは定廻りになりたい、という紋蔵の願望が全身からにじみでていて、いろいろな事件や難題を吸い寄せてしまうのだろう。定廻りの大竹金吾はそのあたりを見抜いており、しばしば、紋蔵をからかう。

『名誉回復の恩賞』は、役所と一部業者との癒着を、ふだんの紋蔵なら目を瞑っているのだが、義父の友人が嫌がらせにもめげずに商人としての意地を通したのを見て、彼の味方につき、そのために、役所の内外で悪評を流される。これまでにも、紋蔵のしたことが、何も悪いことではないのに、非難されることはあったが、今回は、寺社奉行所の役人や、将軍家とも天皇ともゆかりのある寺の坊主たちから、南町奉行所にクレームがつき、事態は紛糾する。それでも頑として筋を通し続ける紋蔵は、肝が据わっている。小役人ながら、ちょっと、いや、かなり骨がある。

そして、やはり、物事には裏があった。それに、いつもいつも紋蔵を怒っている沢田六平や安藤覚左衛門も、ほんとうは紋蔵の能力を認めていた。その御蔭で、最後には、名誉回復の恩賞として、いつもいつも紋蔵の全身からにじみ出ていた、定廻りになりたいビームが、うれし涙のオーロラに……!

ところで、佐藤雅美の小説では、江戸時代のいろいろな制度や慣習がわかって勉強になるのだが、吉原以外の場所で売春をしているのが摘発されると、吉原に送られてただ働きさせられる、という決まりは、文政年間のこの頃まで、実際に施行されたことがなかった、というのは、驚きだった。なぜ実施されなかったか、というのは、紋蔵による説明を読めばなるほどと納得がいき、そんなのをよくもたとえば水野忠邦なんぞは天保の改革でびしびし実施させたもんだなあ、と思うのだが、それはそれとして、宇江佐真理の『髪結い伊三次捕物余話』にも、その制度が実施され、痛ましい境遇の少女がまきこまれる話がある。『雨を見たか』収録の『のうぜんかずらの花咲けば』である。

私は、佐藤雅美の南町奉行所の同心の居眠り紋蔵シリーズは文政年間の話で、宇江佐真理の北町奉行所の同心の小者の髪結い伊三次シリーズは文化年間の話だと思っていた。だが、まあ、近い時代ではあるし、あまり厳密に追及する必要もない。

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2017/10/30 08:44

投稿元:ブクログ

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2018/11/27 22:02

投稿元:ブクログ

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