紙の本
二十歳は遠くに揺らいで
2024/02/09 07:05
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮本輝が『蛍川』で第78回芥川賞を受賞したのが1978年。
この時宮本は30歳になったばかり。
その前後に書いたエッセイを集めたのがこの本で、1980年に出版されている。
幼い頃に見た富山の風景や事業に失敗していく父の姿、
そんな父の死後残された莫大な借金、それから逃れるようにして送った貧しい生活、
そんな自身の青春の姿が綴られていて、
ここには宮本文学の原型があるように思える。
表題作である「二十歳の火影」には、70歳で亡くなる晩年の父の姿を見つめる
二十歳の作者の姿が描かれている。
若い女と暮らす自堕落の父、その部屋にかかっていた赤い長襦袢。
それらを見たあと、二十歳の作者は「暗い哀しい気分」に浸りつつ、
「いまにも炸裂しそうな何物かをじっと押し殺してもいた」。
紙の本
二十歳の履歴書
2015/03/12 16:43
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:月光 - この投稿者のレビュー一覧を見る
これの初出はGOROの目次の上。かなり茶化した文章で書いてあったが、どうみても茶化せるような自体ではないのが、ひしひしと理解できる。
サイフ からっぽ
とか送った原稿の落選を知ったり、ただごとではない身辺を、かるくいなせる度胸。さすがです。
投稿元:
レビューを見る
中高生の頃に国語・現代文の問題で読んだことのある話がチラホラ。。
親は選べないけど友達は選べるんだよなーとか思ったり。こういうこと書ける中年になりたいです。
投稿元:
レビューを見る
エッセイ集は読むつもりなかったけど、読むものがなかったからなんとなく読んだ。
いつも車の中に置き、
信号待ちや、出勤前の駐車場で数分とか、迎えに早く着いたときとか読むのにちょうどよかった。
エッセイも小説みたいだった。
彼は詩みたいだと言われるとうれしいみたいだけど。
でも私は、エッセイを読みながら、彼が今まで書いてきた作品の数々をリアルに思い出した。
なるほど・・・宮本輝の小説には、こういう人生が背景にあったのかと。
投稿元:
レビューを見る
独特の作風の作品も多々あり、エッセイと言うより文学作品を読んでいるような気持ちになる。幼少から芥川賞受賞期に至るまでの自らを綴っている。
投稿元:
レビューを見る
77ページの真ん中の文とか、気に入った文がいっぱい見つつけました気を抜いて読んだらもったいない
貸してもらいましたの (^^)こういう本を読みたい っていうキッカケがこれです
投稿元:
レビューを見る
私の大好きな方たちがそろって宮本輝ファン。彼の文体に多大な影響を受けた、彼の作品が好きだという話をちらほら耳にするので、どんな方なのか知りたくて、少しずつ読み始めた。エッセイのほうが好きだなぁと教えてもらったこの1冊。『にぎやかな天地』と『錦繍』しか読んだことがないので、いまいちピンとこないところも。とにかく、陳腐な使い古された言葉を使うなら、この人は、「波乱万丈」な人生を歩んできたのだなぁということ。もう少しいろいろな作品を読んでから、もう一度読んでみたいなと思う。
投稿元:
レビューを見る
著者の少年~青年期を綴った自伝的随筆集。十数年ぶりに再読。作家には、なるべくしてなったとしか言いようがない波瀾万丈の生い立ち。忘れようにも忘れられぬ実体験を、見事に作品に昇華させてきたのだなということが改めてわかる。
投稿元:
レビューを見る
「途中下車」が一番好き。
電車で出会った彼女と、友人との間で揺れ動く、恋心や嫉妬心など…。電話を待つシーンなどはメールや携帯が発達している現代では考えられない場面だが、それがまた心情を表していてジーンとくる。
スマホ世代の若い人にもおすすめのエッセイ集。
投稿元:
レビューを見る
エッセイと言うよりも、短編小説を読んだ感じです。作者自身は、そう言われることは潔しとは思われていないようですが。ご本人の生い立ちが、小説を超えるようなドラマチックなものであることに驚きました。ますます好きになりました。
投稿元:
レビューを見る
1978年から1980年頃に発表された作品をまとめたエッセイ集。能登へ旅した時に、同じく一人旅をしていた女性とのふとした会話から、汽車の中での母親の記憶を思い出す「能登の虹」が良かった。旅での刺激が過去を追憶するという。
"旅へ出ると、いろんな匂い、いろんな風景、いろんな顔々を見つけるが、それは随分あとになって、私の中の固く凍った根雪の一片とからまり合いながら、別の形と化して涌きあがっていく。"