紙の本
吉行さんはやっぱりいい
2019/01/28 17:54
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
吉行淳之介は嫌いだというと「若いころ、もてなかったからだろう」と言われそうで、好きだとというと「結構、その顔でもてたんですね」と言われそうで扱いに困る作家だが、この作品の主人公も結構簡単に女性とベットインしてしまう。私だとあと2行程もしかすると3行程くらいかかりそうだ。実は入れ歯だというジャブもきいていて、楽しめる。若き日の松本清張氏は文学賞をとれば五木寛之氏や吉行淳之介氏のように銀座の女性にもてるものだと思っていたら芥川賞をとって店に行ったらそんなこと全然なくて、作品中に悪い銀座の女がでてくるのはそのためだと何かの本で読んだことがあるが、真偽のほどは知らない
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入れ歯にこだわる主人公(小説家)と「噛んで!」と男の人に頼む女子高校生。最初から最後まで、おお・・・と圧倒されっぱなしだった。他の作品も読まなくちゃと思った。
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初めて読んだ吉行淳之介の小説。
私にはこの主人公の男性くらいの年齢の男性の考えていることがやっぱりわからない
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七夕にこうしたレビューを書くのもなんですが(笑)、表題は、純粋恋愛とは無縁に生きようとし情事において女を道具としてしかみなさい主人公の中年小説家が、女に言われた素敵な夜空ねという発言に対し、「あんなものは、空のあなぼこだよ」と象徴的に言い放った言葉に由来している。
小説家である主人公が、同名小説を自身をその小説の主人公のイメージで執筆している話とパラレルに、心情を先取りする形で物語が進行する構成をとる。
心の底では純愛を求めながら原体験によりそれを憎んでいる象徴を、アパートの窓から見える公園とブランコに巧みに絡ませながら、若い商売女と行きずりに知り合った女子大生との度重なる情事と対比させて、主人公の心象を面白く描き出していると思う。また、総入れ歯にしている主人公の老と若い女体との対比も象徴的で、対称となる欲情を存分に盛り上げていたのではないか。
女子大生との関係では純愛の可能性を秘めているが故に、精神的なSM世界にも止揚されていて、微妙な男女間の距離感のもどかしさが面白い。本作は、その女子大生の車の中でのおしっこから始まった(逆説的だが)恋愛小説?ということで知られた小説であるようだが(笑)、2人の関係性の成り行きを暗示する出会いが、最後に、レントゲンでみえた総入れ歯によって現実に立ち返るという後味の残し方が、奇抜なシーンとともに妙に余韻として残る。