紙の本
思考の落とし穴
2002/06/20 21:19
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MIYO - この投稿者のレビュー一覧を見る
週刊誌の占いページやテレビのオカルト番組の語り口に、私たちは何故はまってしまうのか。私たちの日常生活に深く浸透しているこころの錯覚を巧みに利用した論法を知ることは、社会を揺るがす様々な問題を見据えるための、大切な手がかりとなる。認知心理学の眼をたよりにしながら、オカルトや超常現象、占いや通俗心理学に隠された、危険なこころの落とし穴を覗きこむ。
自分の浅はかさが明らかになるかも。オカルトと付き合うときには、この本に書いてあることを肝に銘じておこう…。
読書意欲を誘う目次抜粋↓
客観的事実と「こころの真実」
宇宙からの使徒
超常現象研究の危うさ
血液型性格判断という錯覚
心理学者の悩み
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私は霊とか超常現象とか血液型性格診断とかUFOとかが大嫌いなので本屋で見つけてすぐ買った本。著者が大学で学生にいつも話す話が面白かった。「UFOは絶対に存在する」(学生、ザワザワ)「なぜなら、UFOとは未確認飛行物体だからだ。鳥か飛行機か何かわからないものが飛んでいたらそれは未確認の飛行物体なのだから」というのが印象に残っている。
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オカルトを信じること自体ではなく、思考停止状態に陥り、もっともらしい説明を信じてしまう姿勢を批判しているので、占いや霊能力などを信じている人でも読みやすい最良の入門書だと思います。
「広い宇宙には人間以外の知的生命体がいるに違いないから、未確認飛行物体のうち、調査をしても正体がわかないものは宇宙人の乗り物かもしれないじゃないか」と言うのは、井の頭公園で目撃された不審者が「海の向こうにアメリカ大陸があるのだから、そこから来た人に違いない」と言うくらい、無茶だ。・・・といったわかりやすい例を挙げて、オカルト信者の思考停止状態や論理の破綻を解説しています。
また、UFO・霊能力・血液型性格診断・占いなどを取り上げて、なぜそれを信じてしまうのか、信じることの何が悪いのかを科学的な態度で論じています。占いについては、悪弊もあるけれどカウンセリング的な効用があることも認めるなど、批判のための批判とは一線を画していると思います。
個人的には以前読んだ安斎育郎さんの本より好きです。
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[ 内容 ]
週刊誌の占いページやテレビのオカルト番組の語り口に、つい「なるほど」と納得してはいませんか?
私たちの日常生活に深く浸透しているこころの錯覚を巧みに利用した論法を知ることは、社会を揺るがす様々な問題を見据えるための、大切な手がかりとなる。
認知心理学の眼をたよりにしながら、オカルトや超常現象、占いや通俗心理学に隠された、危険なこころの落とし穴を覗きこむ。
[ 目次 ]
客観的事実と「こころの真実」
宇宙からの使徒
超常現象研究の危うさ
真夏の激闘
血液型性格判断という錯覚
心理学者の悩み
占いとカウンセリング
クリティカルな思考のために
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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脳内シナプスが、とか、潜在欲求が、などの込み入った話ではなく、行き過ぎた信仰に気を配り論理的に物事を考えていこうという常識的な内容。
身内を過大評価してしまうハロー効果やfoaf(friend of a friend 友人の友人)現象、結果から逆算的に動機が歪められるバーナム効果などの紹介がなされてはいるが、基本的に一科学者として忠実に真摯にあろうとする著者の実体験的、武勇伝的な語り口である。
空飛ぶ円盤、心霊写真、血液型診断、時代の中で形を変え繰り返されてきたオカルトは良質なエンターテインメントと悪質な病性の二面構造であることがタバコになぞらえて論部にまとめられている。
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超常現象の頭ごなしの批判は、絶対的な信奉と同質。
すべての事を心の問題と片付けるとそれ以上なにも進展しない。すべてわかったような錯覚におちいる。
安易なプラス思考は、危険。その裏に自分の欠点や過ちを認めたくないという気持ちがある。
血液型での人格論。統計学的な根拠がない。
少人数の者を差別する人権問題。
人間は当たっているところしか見ない、覚えてない。
人は科学的な答えを求めているのでないこともあり。
「私はなぜ死ぬのか?」共感することが第一。
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認知心理学に限らず、なぜ、オカルトがあかんのか、取り込まれないためには何が大事なのか、それがどんなに難しいかを軽妙な文章で描く。
良いよ。
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心理学の視点から「人はなぜオカルトにひかれるのか」を論じている。序盤では「オカルトは一種の癒しのようなもの」としているが、霊視などを通じて治療に使っている人たちへの結構強めの批判が展開されてくる。
中盤では、こうした霊能力者をワイドショーでやりこめた話が出てきて、俗っぽさは否めなかった。筆者にしてみれば、科学的な根拠もなく霊視などで治療をしたように見せかけ、適切な治療をせずに病気を進行させてしまう人たちが許せないという立場で批判を展開している。
最終的にはオカルトへの批判よりも、人やメディアの話を鵜呑みにせずに論理的に考える習慣をつけよう、ということで締めくくられている。180頁ほどで非常に読みやすく、さっと読めてしまった。