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江戸幕府崩壊の事実を敗者の側から見ることにより、私たちが知らない事実が見えてくる興味深い一冊です!
2020/03/24 09:12
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、私たちが学校の日本史の授業で学んだ、薩長同盟による反幕府勢力が武力によって江戸幕府を倒したという、いわば「常識」となっていることを根本的に疑い、敗者の側から見た江戸幕府崩壊の新事実を究明しようとした興味深い一冊です。同書の内容も、「第1章 幕末政治史の常識について」、「第2章 幕末維新史研究の過去と現在」、「第3章 孝明天皇の登場」、「第4章 朝幕関係の悪化と孝明天皇の朝廷掌握」、「第5章 江戸幕府と孝明天皇の対立」、「第6章 井伊直弼暗殺後の政局と孝明天皇」、「第7章 一会桑の登場と孝明天皇」、「第8章 一会桑の朝廷掌握と孝明天皇」、「第9章 第二次長州戦争の強行と反発」、「第10章 一会桑による朝廷支配の崩壊」、「第11章 十五代将軍の誕生と大政奉還」、「第12章 王政復古クーデタ」、「第13章 鳥羽伏見戦争と倒幕の達成」となっており、江戸幕府崩壊の知られざる事実が明らかにされます。
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「一会柔」とは
2016/12/31 03:26
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゴジラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
しばしば幕末史は薩長が中心で語られることがあるかと思います。
この本は、そういった「薩長史観」から抜け出し、薩長以外の勢力である「一会柔」に注目しています。
「一会柔」とは何か。その疑問も含め、幕末を考えるうえで本書は十分読む価値があると思います。
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幕末史についての新たな視点
2015/08/16 00:29
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:okabe - この投稿者のレビュー一覧を見る
黒船来航から大政奉還、戊辰戦争に至るまでの政情を、一会桑というキーワードを中心に読み解いていく一冊。慶喜が将軍になるまでの約2年間、一会桑の三者が江戸にある政権とは独立した存在として、京都で朝廷と密着する形で政情をリードしていたという分析は新鮮だった。また、孝明天皇の意向で左右された部分がかなり大きかったことや、薩長の当初の目的は打倒会津であり武力討幕は掲げていなかったことなど、これまで漠然と史実だと思っていたことが必ずしもそうではないという視点が示され、さらにその説得力もあり、非常に面白かった。
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元々は12年以上前に新書で出た本の文庫版なので、
すごく目新しい、というわけではないのでしょうが、
それでも新鮮な視点がいくつかありました。
孝明天皇に触れる際に、
祖父である光格天皇が登場するあたり、
12年前の本としては画期的だったのかもしれません。
幕末は薩長や土佐の志士たちや会津、新撰組にどうしてもスポットがあたりがちで、
若い力が前面に出てきてしまいますが、
鷹司や二条といった調停の重鎮も様々な場面で重要な役割を果たしてきたはずで、
それがしっかり描かれていたのもよかったです。
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明治維新時の日本国内状況を事実をもとに推察。
一会桑の動きと他勢力の動きから明治維新への流れがわかりやすい。
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幕末の歴史解釈は志士の英雄的な活動による革命賛美のイデオロギーにとらわれたものになりがちであるが、一橋、会津、桑名三藩のクーデター失敗に過ぎないという、冷静に幕府瓦解をとらえた政治史としての解釈が新鮮だった。
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幕末明治史に対する新鮮な視点を提供してくれる。討幕派というものがこれまでいわれていたようにすんなりと結成されたものではなく,紆余曲折の末,処々の要素が絡み合う中で産み落とされた,といっていいものであるということ。
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[もう1つの主役]対外的な危機を背景として薩長を筆頭とする雄藩が倒幕に乗り出すという、巷間に溢れる幕末史の見方に新たな視点をもたらす意欲作。これまであまり注目を集めてこなかった、強硬な攘夷論者の孝明天皇、そしてその背後に控えた「一会桑(一橋慶喜(注:後の徳川慶喜)、会津・桑名両藩)」の動きとその役割に光を当て、知られざる歴史の一面を明らかにしていきます。著者は、中学・高校の先生を勤めながら歴史を学んだという家近良樹。
取り上げられた対象が素晴らしければ、その時点で本の面白さが一定程度は保証されるといっても過言ではないと思っているのですが、孝明天皇という対象はまさにそのような一例なのではないかと本書を読んで痛感しました。図らずも能動的な役割を担わざるを得なくなった天皇が、どのように朝廷と幕府の関係、ひいては日本と諸外国の関係に影響を及ぼしていくかという点は非常に読み応えがありました。
また、「一会桑」の動きから、幕末のいわゆる「回天」は本当に思わぬ形で成就したものなんだと感じました。英雄潭的な幕末史も面白いのですが、魅力溢れる人物がそれぞれの大義や感情を世界史的流れの中で切り結び、その結果として思いがけないほど「見事」に近代日本が成立したという面白さもあるのではないかと思います。
〜なぜ幕府政治が終わりを告げたのかという問題を考えた場合、薩長両藩がはたした役割よりも、もっと大きな功績をあげた何物かが他にあったとみざるをえない。それが何かといえば、いままでの政治体制では駄目だという多くの人々の思いであった。〜
自分はやっぱり徳川慶喜と大久保利通が好きです☆5つ
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倒された幕府ではなく、自壊したというのが
読み取れます
そういう時に慶喜の姿がチラチラと見えると
舞台に悪役が登場したような存在感がある
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幕末を、薩長史観ではなく、孝明天皇、敗者である幕府の側からも考察した。学術的には、龍馬や西郷、高杉などの志士や新選組は枝葉末節なものらしい。外国に対する知見を持てなかった孝明天皇が、力を失いつつある幕府と相まって、自国と外国の力の差を実感できずに攘夷路線を突き進んだことが、結局は幕府の崩壊に繋がった。大政奉還後、薩長の武力討幕という野望を止める者は誰もいなかった。本当に日本国民を震撼させる王政復古クーデターが必要だったかは疑問だ。