紙の本
強烈に類は友を呼ぶ
2010/11/10 08:43
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
神楽咲高校に入学した風景を溺愛する男、咲丘は、丘研とだけ書かれたポスターを見て丘を研究する部活だと思って入部する。しかしそこにいたのは沈丁花桜という世界征服をたくらむ少女であり、彼女が代表を務めるオカルト研究会があった。
当初はボードゲームばかりをして全く本来の活動を行わなかったオカルト研究会だが、一旦始動すれば留まるところを知らない。自殺しても死なない男の都市伝説を探求したり、ツチノコ探しに邁進したりする。そして最後は神楽咲町の中心部にある歓楽街オアシスで起きる連続殺人事件の解決に挑むことになる。
オカルト研究会のメンバーたちは誰も大きな問題を抱え、一般的な見方から言うと常軌を逸した価値観を持っている。知識・努力・活力・協力・暴力を従えて世界を支配しようとする代表の沈丁花桜、ひたすら前に進むことしかできない長身の男である出島進、いつもヘッドフォンをつけている小柄な少女の女郎花萩、そして咲丘と同期の残念な美少女である江西陀梔と、誰を取ってもちょっと引いてしまうくらいの背景と異常性を持っている。
そして最後に起こすのは明確な犯罪活動であり、ここだけを見るとあまり褒められたものではないだろう。しかし、そこにたどり着くまでの過程で組み上げられる各キャラクター像は異常ではあるけれど面白いし、彼らの動機となる原風景については納得できるところも多い。こういった点を考慮すると、個人的には許容範囲に収まる作品となってしまう。
確実に拒否反応を起こす人もいるとは思うが、各キャラクターを積み上げていくことによって構成される風景は、一見の価値があるものだと思う。
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ミステリ風味を加えたエンターテイメント。正し非現実要素あり。でも素直に面白かった。各人の正体バラしからするともうちょっと尺があってもイイかとも思ったけど、映画と一緒でこの位の方がいいのかな。
異常者の扱いが案外ライトなのはちょっと気になるところ。あと江西蛇がもうちょっと暴走してくれる事を期待してたが物足りない。
次作を待つ。
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これも大賞同様、表紙見て「これなんかアレだな・・・」とか意味不明な事考えつつ避けてたが、それは大きな過ちだったようだ。
とにかく登場人物の性格が異常。
そんな彼らは変人でも狂人でもない、まさに「異人」と呼ぶにふさわしい。
これは絶対オススメ!・・・とか言いつつ☆5じゃないのはアレです、異人たちのキレっぷりに自分がついて行けなかっただけですw
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ところどころ文脈を見失ったりして完成度はそこまで高くなかったけどキャラクターの立ち具合が素晴らしかった。イラストとの相性もばっちり
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ストーリー展開としては音楽と絵画の話題で話の筋が進んでいって、登場人物のいわゆる「秘密の部分」が明かされていき、その悪い面を許容していく丘研に主人公がはまっていく(?)話。メインキャラクター達はほぼ何かしらの不運な側面があるというのがポイントなのかもしれない。
特に江西陀の絵についての感覚が他人の美意識とは違う側面から惹きつけられているという描写がこの一冊の中だと一番印象に残ってる。こういう倫理的な面でどうなの?と言う場面でしっかりと自分の主張が言えてるのがキャラクターとしては目立ってた。
その他にも主人公含め事件に対して特定の人物が何か強いこだわりのあることが書かれている場面のときに読んでる側がどう感じるかでこの本自体の評価も変わってくるのかと思う。わりと暗い感じの表現が多いのも特徴。
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細かいことはいろいろあるが、全部どうでもいい。
代表のキャラが最高にイカレてる。
歪んでいるのでもなく、狂っているのでもなく、素敵なまでに常軌を逸している。
それだけで褒めたたえるに十分な価値がある。
強く、圧倒的で、苛烈な半生を歩みながらも「世界は美しい」と言い切る彼女のセリフに心底惚れた。
次点江西陀。
全員狂ってる。そこが良い。
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自分がライトノベルに求めてるものはコレくらいの
無茶苦茶なものかもしれない。その無茶苦茶なものを
エンターテイメント性たっぷりかつキャラものとしても
充分最後まで一気読みさせてくれる爆発力と全体の
バランス。正直言って...面白かった。これも、少しづつ
ラノベに歩み寄っていったからこそだとは思いますがw。
きっと様々な作品のつまみ食いやパロディ、オマージュ
なんかあったりして好きな人は好きな世界だとい思います。
一人を除いて登場人物が全員狂人だし、その狂人達も
なんだかんだと苦悩を抱えつつも、何とか繋がっていようと
足掻いている(方法的にはやはり間違ってるけど)様も
切なく見える瞬間があって、人物として説得力があるなーと。
恐らくシリーズにしてしまったら続編以降は
微妙になりそうな予感が...。今作で完結してるし
これ以上自由には書けなくなってしまうのでは? と
危惧するくらいに綺麗に狂ってる作品です。
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狂ってる、狂気。とにかくメインの人物が狂っていて、感情移入しながら読むものではないな、というのが個人的感想。
第三者視点で楽しめるならば、ツボにハマるかも。自分は、こういうお話を今は、求めてないかなあ。
ただ、確実に個性はある作品。
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人生2冊目のライトノベル。元ネタ的に尼崎脱線事故であったり、微妙にタイムリーなものをこれでもかと設定に詰め込んでいて、その時事ネタがもっと読んでいて気持ちのいいものなら良かったのですが、深刻な問題ばかりなので少し胸やけ。ひとつひとつの話題でもお話ができるような気もしますが、この1冊のスペースのなかにうまくこれだけの話題を詰めるものなんだなっていうこともできます。なぜこれがライトノベルというカテゴリなのか。という具合には充実していると思いますよ。なんとなく石田衣良さんのアキハバラ@DEEPを読んだ時に感じたものと近いものを感じました。沈丁花と世界大戦したい。
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“「俺は風景が好きなんです」
唖然としたように口を開けて全員が見守る中、俺は続ける。
「田舎の町並みとか都会のビル群とか、あんまり好みに偏りは無いんですけど。あ、どちらかと言うと山が好きですよ。森がある、川がある、そこに生態系がある。まぁ、海も捨てがたいですし都市はやっぱり人間が作ったものとはいえそれはそれで風情があるんですけど。――でも、『丘研』って文字を見たときにハッとしたんです。俺はこの街で、少なくとも『丘』と呼べるものに出会っていない!それなのに丘の研究って、もしかしたら俺の見たことが無い風景画まだまだこの世にはあるんじゃないかって感動したんです!」
中々クサい台詞を口に出してみた。それでもまったく誇張の入ってない俺の率直な理由である。まぁ、これをそこまで一般的な趣味だと声高に主張するほど俺は身勝手ではない。これだけ風景について語れば、相手の反応は大体が二種類、避けるか逃げるかだ。
だが、相手の反応は俺の予想を大きく外れる。
この代表、目尻に涙を浮かべていた。
「――素晴らしい!」
「おおお、よく分からんがいいこと言ったぞ新入生!」
出島先輩がガッツポーズをしながら立ち上がる。沈丁花先輩は俺の両手を勢いよくとると、緩やかに力を込めて握った。
「これほどまでに熱意のある新入生がかつていただろうか!?いや、私以外にない!そうとも、ここではきっと君にしか出来ない活動がある。我々は君のような人材をまさに必要としていたんだ。……そうか、うん。嬉しい、私は嬉しいぞ新入生!君のような人材を手元に配下として置くことが出来ることを私は感謝する。私自身の幸運に対して!」
俺に向けられた沈丁花先輩のそれは、なんとも輝きに満ちた顔だった。お世辞や打算であるとか、そういったものを一切含まないで、純粋に俺を必要としてくれている人間のその視線。
それを一身に受けて入部を取り消す奴がいるんだろうか、――そんなことは想像もできない。”
狂ってる。
狂気的愉快犯。
内容がすごいのなんの。
無茶苦茶で強引で陰湿で面白くて。
荒唐無稽ではなくて、ちゃんと筋が通ってて。
『普通』って何?当たり前って何?
色々と考えさせられもする。
一転二転して新たな一面を覘かせたり。
そして登場人物がまた揃いも揃って個性的にして破壊的。
青色君が結構気に入った。
丘研さいこー。
シリーズ刊行ぜひとも。
“「ほほぅ……」江西陀の目が怪しく輝く。「まぁ、篠塚さんも一応は生物ッスからね。咲丘のような風景にしか欲情できない変態よりは、健全でいいんじゃないッスか?」
「待て、激しい語弊があるぞ、それは。俺は風景に興奮しても欲情はしねぇ」
江西陀は如何なる手段を講じても、俺を変態にしたいらしい。
「なるほどなるほど。ちなみに、咲丘は雄大な山脈と広大な平原ではどちらが興奮するんスか?」
「馬鹿野郎!どれも等しく美しい風景じゃないか!」
「つまり、代表でも萩先輩でもアリということッスね。ふむふむ、見境も無いとはいやはや」
「――誘導尋問、だと!?」
これまで知らなかった、江西陀の恐るべき知性に愕然とする。
「おのれ、江西陀のくせに生意気な……。畜生!今まで隠していたのに、これじゃ俺がどんなおっぱいでも興奮できるとカミングアウトしてしまったようなもんじゃないか!」
部室の空気が凍りつく音がした。
「なぁ、もしかしてそれって胸の話だったのか?」出島先輩が首を傾げる。
「いやいや、風景の話ッスよ。どこをどう解釈したのか、咲丘が勝手に自爆しただけッス」
「……なんだと!?俺を嵌めたな江西陀!」
俺は辺りを見回す。
代表が冷ややかな視線を送り、萩先輩が顔を真っ赤にして俯いていた。
なんてこった、これじゃまるでセクハラ発言を堂々と口にする変態野郎みたいじゃないか。”
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時々文脈を見失ったり、主人公一人称ツッコミ体質だったり、同じ新入部員がお前は駿河かと言わんばかりのエロ娘だったりで西尾維新(というか化物語)を彷彿とさせる辺りがちょっとアレなのだが、まあ面白い…と思う。
これまた最近多い「変な部活モノ」で、登場人物全員変態です。
細かいことを気にしなければ大丈夫。
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K-Books 210円
2巻の表紙の子が”エロい”という話なので
どれだけえろいのか気になって購入。
さすが賞をとるだけのことはあり、話のまとまりもよく
展開・各キャラのからみ・キャラの設定の暴露もすんなりきめて
タイトルをもじってるくらいにはオカルトに意識させずに
ちょっとダークなライトノベルって感じでサックリ読めた。
まー、所々某人気作家の作品とキャラ設定がかぶるところがあったけど
この作家さんの個性あるキャラがたまたま同じような設定だっただけで
そこら辺の香りはわりと無視して読めたし、マイナスではないかなと。
2巻目が楽しみな所。あのキャラが暴露するのか、新キャラがでてくるのか…うーむ楽しみ。
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登場人物みんな変態というので読んでみたが、まさかラノベでテロリズムを書くとは思わなかった。こんなの十代に読ませるのは爆弾みたいなもんだ。
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あとがきと著者紹介が蛇足というか、なんというか。
本編を読んだ後にそれらを読んだら、私小説っぽく思えてきてしまい、全てを台無しにしてしまった。
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出だしは地味に、でも登場人物が何か変? そうしたら急に超常能力者の集まりに。と思ったらこの展開は……。とにかく途中から急激に熱くなる「王国を作るよ」もの。
かなり怪しげなフェチ傾向は有るけど地味で普通の人かと思っていた主人公の激白が全部、じゃないけどほとんどを持って行っちゃいます。