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良く腑に落ちる貨幣論
2015/09/23 21:06
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投稿者:グラパン - この投稿者のレビュー一覧を見る
同じ著者の「資本主義はどこへ向かうのか」も読んで、なぜ貨幣が資本主義にとって重要なのかが良くわかった。バブルの発生についてはこれでもかという事例で詳しく説明されているので、理解が進んだ。只、著者が希望を見ているコミュニティ貨幣と現行の貨幣との共存についてもう少し詳しい記述があればさらに良かったと思う。
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インフレターゲットについて、「究極的な最終手段であり、失敗したらもう手がないというリスクがある。」といったことを書いてあるって聞けば、分かる人にはレベルが分かるでしょう。
全体的にも「貨幣の謎」とは特に関係のない話ばかりで、読んでいてつらかった。
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新書といえどもかなり内容が薄くかつ迷走している。途中ポエムに走っているようにさえ見えた。独自のアイデアにも面白くなく残念。悪書でないにしろ題名から期待したものとは程遠かった。
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電子マネー、ネット決済と、この10年間で利用することが増えてきたのは事実ですが、毎日、お金(貨幣)にお世話になっているのは変わりありません。
この本を読むことで、貨幣とは何かということを改めて考えさせられました。貨幣とは、交換するための道具で、何と交換するかは自分の考え方が重要です。
お金とは「それを持つ人の考え方」というのは、私の今の思いですが、様々な種類のお金が出現してきている中で、自分の考えを明確にしていくのが大切であると思いました。
以下は気になったポイントです。
・クレジットカードによる購買は、現金を前提とする「信用通貨」を利用する仕組み。貨幣が「もの」であるだけでなく「こと」であること(p19)
・江戸時代の頃の日本は、金銀両本位制でしたが、欧州に比べて銀が相対的に高く評価されていたため、オランダやポルトガルが銀によって金を買いあさり、日本から金が大量に流出した(p27)
・狩人もまず誰かに鹿を売って貨幣を手に入れれば、鹿を欲しがらない漁師からも貨幣で、鮭を買うことができる。これが貨幣の効用の一つ(p70)
・ある社会の人々が何をお金として信じているかによって決まる(p94)
・お金のもつ4つの機能(交換・流通、価値尺度、蓄積・支払)のうち最も重要なのは、交換・流通手段(p99)
・アクセスギフトは、現在のSuica、Edyのような電子マネーよりも先を行くようなもの(p111)
・ビットコインによる決済は、金融機関を通さないため手数料は発生しない、そのため2013.4には流通量はドル換算で10億ドルを超えた。この意味は、P2P型の分散型ネットワークを活用する民間通貨が競合し得るということ(p140,146)
・一般大衆が自分の稼ぎから考えると分不相応なお金を投資につぎ込むのは、だいたいバブルが弾ける直前(p170)
・オランダのチューリップ狂は、経済的な繁栄期に起こっている。この後、1652年から英蘭戦争で会場権と植民地を英国と争っている(p173)
・チューリップ狂の100年後に、ヒアシンス狂があったが、それほど大きなバブルにならなかった(p174)
・ハイパーインフレは、戦争革命により社会や政治が不安定になると発生する、アメリカっ独立戦争時の大陸紙幣、フランス革命時のアシニア紙幣、第一次大戦後のドイツのレンテンマルク、ソ連崩壊後のロシアルーブル、ユーゴスラビア等(p209)
・コミュニティ通貨とは、参加者全体が形成するコミュニティへの信頼を基盤として成立する貨幣(p229)
2015年1月3日作成
2015年6月13日作成(再読)
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前著書かれた議論をビットコインという時事ネタを横にみながら再解説されたような形。NHKブックスで書かれた前著のような鬼気迫る密度は無いが、その分、一般の方が入るには読みやすいのかもしれない。
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あとがきで、岩井克人氏の「貨幣論」とは違うということを強調されている。しかし、そのあたりのところがきちんと理解できないままだった。岩井先生は地域通貨についてあまり期待できないようなことをおっしゃっていたが、その辺、西部氏は肯定的なようで、私は肯定的な意見の方にかけたいなと思っている。本書を読んで一番よく分かったことは、いつの時代にもバブルはできて、はじけていたのだということ。オランダのチューリップバブルしかり、ニュートンが手を出したという相場しかり。私など、もちろんお金はあった方がいいけれど、たくさんもうけたいとかいう意思が全くないため、株を買ったり、ゴールドを買ったり、そういう発想が浮かんでこない。ただし、自社株だけはなんだか言われるままに買ってしまい、一応現在いくらかと毎日気にはしているが、売るための手順が分からず、日々どうしたものかと思っている。
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まさに貨幣という魔物だな
と読み進めていくうちに感じました。
意図せずにして私たちは
紙幣、硬貨を価値あるもの、として認識しているわけで。
それがもたらす恐ろしいまでの暴走は
この本の醍醐味でもあります。
それが「バブル」という悪魔。
暴走した投機欲は並々ならぬ値段をつけます。
ですが、それが続くわけないというもの現実。
いいように感じてしまうでしょうが
それは大間違い。
はじけたあとが大問題なのですから。
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ビットコインという文字をみて、最近よくきく(けどよく知らない)ビットコインについてわかるかなと思って借りました。
ビットコインについての本ではなかったけれど、貨幣そのものを理解するための良本ではないかと思います。経済用語に疎い私がさくさく読め、貨幣とは、と経済学者が論じてきた事、筆者が思うこと、をわかりやすく知ることが出来ました。観念の自己実現。
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貨幣の成り立ちから最近の話題まで平易に書かれた本。ご本人の貨幣とは「観念の自己実現」という主張を解説している内容になっている。
将来こうなるからこれぐらいの貨幣価値(=予想の自己実現)、今までこういう貨幣価値だったから今回もそうだろう(慣習の自己実現)、という自己ループをまとめて「観念の自己実現」と呼んでいるのだと理解した。
教科書的な普通の経済学がかなり無茶な仮定を採用してて、それが現実問題を解けなくなるほど本質的な乖離になってる(貨幣の存在を無視している)というところは納得感がある。貨幣があるからこそ信用創造でちょっとしたゆらぎをアンプしてトレンドが作られてるイメージかな。
経済的な価値尺度としての貨幣だけではなく、例えば地域の信頼の価値尺度としての地域通貨など、様々な質の貨幣が生まれつつあるのが現在だ、というのは夢があって良いですね。
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2014年の本だが、2022年に読んでも全く色褪せない。むしろビットコインの市民権獲得やコロナ禍の金融緩和・反動としてのインフレといった出来事を踏まえるとよりしっくりくる。
西部忠先生の他の本も気になるな。
・貨幣とは「観念の自己現実化」の一つであり、社会経済・市場形成の大前提となるもの(貨幣無くして市場なし)
・今の金融システムは自由と自己責任という大義名分があるのに、大企業や株主は国家によって救済されると言う根本的矛盾を抱えている。
・貨幣間の争いが必要ではないか
→暗号資産の業界は民間発行される貨幣とその生存競争とも言えるな。
・"人が笑うような愚問がたった20年後の未来では適問になっているような世界が来る"
→著者は20年前、荒唐無稽な仮説としてマイナス金利や国家の倒産を例示していた。現代ではより現実味を帯び笑えなくなっている。
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貨幣 媒介物
「他者が欲しがっているものを自分も欲しがる」片山後々の交換で使えるから→これに選ばれたものが貨幣になる。
金属片、紙切れ、貝殻、タバコetc
"つまり、人間がそうして柔軟な学習能力を持っていると言うことが、貨幣が生成されるされるための必要条件なのだと言えるのです"
これが「貨幣とは、貨幣として使われるから貨幣である」と言う自己準拠性の源であり、貨幣と言う謎の正体
ロビンソンクルーソー
観念の自己現実=裸の王様
貨幣はみんなが貨幣と認めるから貨幣になる
株はみんなが上がると思うから現実、株が買われ、価格が上がる
裸の王様のメッセージは真実を見抜く子供ではなく王様に使える家臣や裸を指摘しない大人たち。
→本当は何もないのに誰もが信じることで観念が現実のものとなる。
→宗教
法律は行為の禁止はできても、推奨はできない。
罰則はあるが報酬はないから。
"観念の自己現実"は、時間の流れで今日起きたことは明日も起きると人々が信じる、またそう信じて行動するのが特になると予想して振る舞う
→"慣習の自己実現"+"予想の自己実現"
→実績、実例、つまり過去+過去の延長、定常的未来
→データ、統計、相関分析、因果主張+予測、予報、ビジョン、吹聴、予言
観念→慣習
バブル→最後の買い手はだれか?
美人投票→みんなが美人と思う人を選ぶ
言うほど簡単ではない。。どうしたらそれができるようになるか
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貨幣は観念の自己実現によって成り立つっていう主張
1章と2章が参考になった
本読むときにもっと批判的思考で挑みたい