紙の本
小惑星が落ちてくる前に。
2016/04/18 15:44
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投稿者:色鳥鳥 - この投稿者のレビュー一覧を見る
消えた妹を捜す元刑事。世界が終わる前に、妹に会えるのか・・・。
三部作の完結編です。
世界観はSF、ですが文体は文学的なミステリ小説、なので多くの読者にとって、読みやすい内容だと思います。
ハードSFな展開や、激しいアクションや、二転三転の、混乱するような、ハラハラドキドキの展開はないのですが、人間ドラマとして読むと、なんとも不思議な読後感。
特に主人公の人物像が、非常に不思議。
世界が終わろうとしている、極限状態だというのに、主人公の、この淡々とした頑固さ、タフさは、古き良き小説の主人公っぽくありつつ、非常に現代人っぽくもある。
ステレオタイプな「現代人」像のように、ドライで情がない、というわけでは、ないのが、誰でもないようでいて、誰でもあるような、親近感と、透明感がある。
このことが、薄暗い、混乱した世界のなかで、清涼感を与えてくれる要因であるのかも、しれません。
紙の本
三部作最終巻
2016/01/18 18:43
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投稿者:すけきよ - この投稿者のレビュー一覧を見る
三部作を通して、徐々に地球に近づいてきていた小惑星も、ついにあと一週間の距離に。
『アルマゲドン』のようにヒーローが小惑星を破壊して、地球を救う展開になったのなら、物語としては台無しだけど、頑固なまでにそれまでの生活と職務を変えようとしないパレスを見ていると、彼らが助かることを祈ってしまうんだよね。
そのハリウッド的奇蹟を信じる妹ニコと意見の相違で分かれてしまったパレスは、地球最後の一週間を彼女の捜索と再会に費やすことに決める。
ここで明かされる真相、新たな事件、しかしあまりに時間がなさすぎる。
それでもペレスは事件を追う。
狂った世界で、頑なまでに「真面目な刑事」であることを選ぶパレスは、狂っているといえるかもしれない。
でも、その変わらなさに理想の人間性を感じてしまう。
第二部『カウントダウン・シティ』がポストアポカリプス的狂騒感があったのに対して、そのアクが抜けきったかのように、最後の一週間になった世界は穏やかなまでに静寂。
そこに出てくる数少ない登場人物もまた、穏やかに、人生を送っている。
自暴自棄になることなく、明日が来るかのように終末を迎える姿は『渚にて』*3を思い起こさせる。
世界がどうなろうと姿勢を変えないペレスが、アーミッシュの一家のもとにたどり着くのは必然。
ラスト一行、誰も見たことがない情景を前にした、勇気と愛と高潔なる人間性の勝利に息を呑む。
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投稿者:ぽぽ - この投稿者のレビュー一覧を見る
小惑星が地球に衝突するから、その最後には、妹に会いたいと、妹を探す刑事。果たして、妹とは無事再開できるのか。
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完結編ということで楽しみにしていたけど前2作に比べると物足りない。
終末感があまりかんじられなかった。
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三部作完結編。発売を待ち望んだ本は久しぶり。
あっという間に読み終えた。
惑星マイアが地球に衝突するまであと7日。ヘンリーは妹ニコを探しに、仲間たちのもとを旅立っていた。
終末の狂乱と狂騒を描いた2作目の時に比べると、ぐっと人びとが落ち着いている。落ち着いている街が舞台だったからかもしれないが、あと7日で地球消滅となったら、実際はこんなものなのかもしれないとも思ったり。
諦め、達観、祈りといった静けさの中、ヘンリーは妹と再会できるのか。惑星マイアは本当に堕ちてくるのか。その時を誰とどのようにして待つのか。
相棒として物語に色を添えていたフーディーニも皆勤賞で出演。
謎が解けてその時を待つヘンリーの旅の終わりに、万感の思いがこみあげる。
面白かった。単純にそんな感想。
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確実に大量絶滅を引き起こす小惑星衝突まで半年となったところからスタートしたこの3部作。
この作品ではついに衝突まであと1週間。一気読みでした。
人はいつか死んでしまうけど、来週には確実に死ぬとわかったらどのように生きるのでしょうか?
やっぱり「死ぬまでにやりたいことリスト」を作って自由にやるのでしょうか?
元刑事のパレスのように最後まで職務を果たそうとするのでしょうか?(もはや仕事でもないけど)
それとも侍のように今死ねる覚悟で今を生きるのがいいのでしょうか?
ハードボイルドなプロフェッショナリズムを究極に押し進めた死生観を問うてくる名作だと思います。
不覚にもラストで涙がぽろりと・・・
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前2作はこの3作目のためのタメであったか。
これだけ読んでももちろん面白いけど、前2作が効いている。
混沌と平穏。
読みながら、惑星がぶつかる1週間前ならいろいろな気象変化があるんじゃないかなぁと無粋なことを考えたのは秘密だ。
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フーディーニ(犬)よかったね。主人に会えて。
「地上最後の刑事」3部作の最終巻。
前2作を読んだ読者への贈り物。
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素朴な疑問。小惑星衝突の後、地球そのものは残るの?かつて恐竜が絶滅したように、地上生物がある程度滅びるだけ?情報の遮断は救いとなることもあり得る。私なんか世界がこんなパニック状態になったら、真っ先に命落としそうだな。ヘンリーの自らの核を失わない平静さには畏怖を覚えた。
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三部作の最終話。ミステリーやハードボイルドとしては物足りないが、人類滅亡目前という設定での話としては面白かった。最後もしんみりした。
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冒頭はちょっと退屈な感じもしたのですが、中盤から一気読み。訳も良いのか非常に読みやすかったです。
3部作の3作目からいきなり読むというルール違反な読み方をしたので、ちょっと申し訳ない気分。地球の終わりにまつわる話なので、何よりも終末の描写を見てみたかったのです。
終末を目前にした世界のささくれだった感じ、嘆きを通り越して諦めに至った疲れた空気感が描写されていて、確かに週末の世界ってこんな感じなのかもと思わせてくれます。
そして、その中でも刑事であろうと行動する主人公パレス。妹を探すという目的はあれど、どちらかと言うと終末の世界の中であっても刑事であることを保つためにやっているのかも。プロ意識なのか、使命感なのか、ただそうしたいのか。自分が終末に直面したとしたら、自分を保つために何かするのかもしれないと考えさせられました。
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ついに三部作が終わってしまった。こんなふうになるなんて予想してなかった。でも隕石はやって来る。
最後の終わり方のこういう余韻の残り方は嫌いじゃない。なんて言うか三部作通して全体的に不思議な魅力がある作品だった。疾走感があるわけではなく、主人公がかっこいいと言うわけでもないのに。
この、ヘンリーのブレない生き方が心に響くのか。静かに週末を迎える人たちの中の、真相を知っている人の描き方も心に残った。
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世界は終わる。だが、謎を残してパレス刑事の世界は終わらせられない。最後の瞬間まで、愚直に真実を追うパレス刑事に涙。
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もうミステリでもSFでもなくて、心の旅というか。
あまり説明なくいきなり重要なことが起こったり、まとまりに欠ける。
注意深くよまないと、あれ、この人ダレ?とか、あれ、そーなったんだっけ?とか置いてきぼりにされがち。
そっか、こう終わるのか。
しみじみ。
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喧嘩別れしちゃった妹に会おうと追いかける兄ちゃん刑事。妹に会えんのか?隕石阻止できちゃったりするのか?なにを書いてもネタバレになっちゃいそう。ラスト一行。兄ちゃんの心根の優しさに涙腺崩壊。読めて良かった。読んで良かった。