紙の本
理想を投影される現実の存在の憐れ
2010/11/12 07:27
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
香奈菱高校に通う御前江真央には、他人の区別がぼんやりとしかできない。同じクラスで良く話しかけてくれる小島さんですら、全く知らない人の様にも思えてしまう。そんな彼女が唯一はっきり見ることが出来るのが、旅人さんだ。
旅人さんとは家に帰る途中の道で偶然出会った。おそらく同じ学校の生徒なのだと思うが、そんなことは詳しく知りたくはない。真央の前にいて話をしてくれることが全てで良い。彼女と話している時だけが心休まるときなのだ。
自分の生きる意味や他人の存在に悩む多感な時期を生きる少女と、彼女が理想像として崇めながらも、実際は肉の存在としての悩みを持つ少女の交流を描く。そして、どこかへ行ってしまいそうな不安定さがある時代を今に留めておける存在もまた人間だけなのだということを伝えてくれるのだ。
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単なる中二病かとおもいきや・・・
もっと若いときに読んだら、引きずられていたかもしれない。
現実が虚構の失敗作であったらどんなにいいか、と今も思ってしまうけど。
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新風舎文庫からでていたものに加筆修正されたものだそうです。
ちーちゃん、うそつき、ピーターパンは全部そうだったかな?
ピーターパンは前のが家にあるのでほぼ再読ですが少し削られてるみたいだな…と思う以外には以前読んだ時とほとんど変わらない印象でした。
前読んだ時ほどの衝撃とかはなかったのですがもう一度読み返そうと思っていたので良い機会でした。
香奈菱高校シリーズはどれも死が密接に関わっていてうそつき以外は読後感は悪いかもしれません。
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日日日氏三部作読了。ダントツでこの作品が良かった。辛い状況下に置かれた女の子が辛い現実を突きつけられるだけの話なのだけど、どうも自分は病んでる女の子に異様に惹かれる性質なのでピンポイントで刺さった。前二作で不気味なだけだった林田さんを見る目が180度変わった。。図書館でレンタル。
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2012 1/5読了。WonderGooで購入。
現実を虚構のようにしか受け取れない主人公の少女と、現実から逃げたいのに逃げられない「旅人さん」が出会い、仲良くなって、お別れする話。
3部作の3作目で、大人になれないピーターパンの誘いを断り大人になっていく話。
作中で語られているピーターパンの原作がとても面白そうなので、今度ぜひ手にとって見ようと思う。
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虚構の世界から現実に目覚めた少女だけが生き残る世界。
彼女が捕らわれている虚像から、現実へ救い上げてくれた″旅人さん″はもういないけど。
あの時素直に現実を受け入れていれば、あんな暴言を吐かなければ。
旅人さんは今でも此処にいたのかな。
否、全てのウェンディが大人になっていく中で、旅人さんは独り其処に留まったのだ。
そして真央はその喪失を認め、また大人になってゆくのだろう。
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2015.03.20
真央の語り口調が中二病を思わせて、どうにも肌に合わず最初は苦労した。オチは期待も予想も裏切らない結末。正直、途中で少し予想がついてしまった。
既視感があるなぁ、ありがちな話だからかなぁと感じていたのだが、レビューに「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」に似ているという意見がちらほら見られて納得。既視感の正体掴めたり。
しかし驚いたのは作者が20のときに書いた小説だということ。その情報を得た後に考えると、大人になること、それに対する漠然とした不安などがまざまざと読み取れて気に入ることができた。
ささみさん@がんばらないはアニメですべて観ていたため、その作者なのかと知ったときも繋がりができて嬉しくなった。
中村佑介さんの表紙の方が売っているところを見つけることができたらそれと交換、保存しておきたいなぁ。
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すっきりしなくてモヤモヤした 最後の展開は半分しか読めなかったから、個人的に裏切られた感じが 旅人さんは、ちーちゃんのときよりも女の子らしく描写されていて、綺麗だった