紙の本
カルロス・ルイス・サフォンに続くスペインミステリー
2018/05/28 21:57
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投稿者:pinpoko - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品の前に『情熱のシーラ』を読んでいたので、スペイン内戦からの歴史と共和派への徹底的な弾圧などは、かなりすんなり頭に入ってきた。
フランコ将軍は1974年か75年まで権力の座にあったため、主人公たちの未来はかなり厳しいものになるのだろうが、それにしても1936年の反乱から40年の長きにわたって権力を保ち続けたのは、正直驚きだ。圧政下での体制側を向こうにまわしたミステリーのため、謎を解くことに集中できないもどかしさが手に汗握らせる。
それにしても、殺害された貴婦人も夫から知りえた情報をつかってあんな汚いことをしていたとは・・・。虚飾に満ちた当時の社会がかなりえげつなく描かれている。
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警察本部での描写は、エヴァ・フォレスト『エヴァの日記』(同時代ライブラリー、岩波書店)を思い起こさせる。しかし、この小説の舞台は1952年、『エヴァの日記』は1974年ごろ…ただただぞっとする。
全部で三部作になるとの事。最後がどうなるか、正直心配だ。
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1952年のスペインはバルセロナが舞台のミステリ。
ミステリとして面白い(特に後半はサスペンス大幅アップ)だけでなく、独裁政権下の抑圧された社会の雰囲気がまず読みどころ。
久しぶりの助演賞はこそ泥のぺぺ。
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独裁政権下のスペインを舞台にした長編ミステリ。
巻末の解説にあるように、『助走が長い』……というか、前半と後半のスピード感がかなり違っていた。
ともすれば弾圧が待っている社会の閉塞感が丁寧に描かれていて、作中の雰囲気は緊張感に満ちている。また、時代的な制約で、ラストは決してすっきりするようなものではない。その中でも未来への希望を感じられるのは良かった。
個人的にはもう少しベアトリスの蘊蓄を読んでみたかったw
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新聞記者と言語学者の女性コンビが手紙や本から謎解きする過程を、じっくりじっくり楽しみました。人物設定がしっかりしていて、どの登場人物も魅力的。謎を解くにつれて窮地に追いやられていくところからの鮮やかな逆転劇がほんとに面白い!しかし、戦後まもないスペインが舞台という時代の閉塞感もあって、すっきり大団円といかないところがまた深い。ちょっと今の時代とリンクしているところもあってすんなり読めました。
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★3.5
東側ではないヨーロッパにあって、スペインがこれ程長きに渡り戦争と独裁政権下に身を置いていたとは知らなかった。それも1970年代までとは驚きだ。確かにスペイン内戦は聞いたことがあり、内戦時の悲劇を描いた『蝶の舌』も印象深い映画だった。
本作品は内戦後のスペインが舞台だが、言論統制が敷かれ、反体制派と見なされた人々は容赦なく粛清されるまったく自由のない社会。それゆえ、誰が敵で誰が味方なのか分からない状況が終盤まで続き、最後まで緊迫感が途切れることはなかった。個人的には編集長が味方で良かったが。
ヒロイン達はなかなか魅力的なキャラなのだが、あの社会情勢下で生きて行くのには、これからも様々な危機に直面し、葛藤し、足掻く日々であろうことは想像に難くない。特にベアトリス。シリーズ中に亡命できるといいのだが…。
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新聞記者のアナと、文献学者のベアトリズのコンビが良かった。この2人が出会って、物語が本格的に動き出すまでの序章が少し長いこと、ラストの終わり方があまりスッキリしたものではなかったのが、ちょっともやっとしたけど。ただ、それらを差し引いてもミステリーとしては充分に楽しめたし、犯人探しに騙されつつも、どうなる?どうなる?と、ハラハラしながらページを捲ってあっという間に読み終えた。
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A07-01内容紹介1952年、独裁政権下のバルセロナで上流階級の未亡人が絞殺された。新聞記者アナは取材中に被害者が受け取った恋文を発見する。差出人がわからず、聞き込みでも恋人の存在が確認できなかったが、思わぬ援軍を得る。はとこの文献学者ベアトリスは、文章の綴り方、言い回し、形容詞等から書いた人物像を巧みに描き出し、驚くべき手がかりを見つけ出す。言語と文学を愛する文献学者と、猪突猛進の新人記者が織りなす傑作ミステリ!
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スペインが舞台のミステリーを読むのは、もしかして初めて?
あの時代はそうだったのか、という空気感もきちんと描いてくれているのが嬉しいね。
筆で文字を書くことがぐんと減ってしまった上、スペルミスもチェックしてくれる今、こういう謎解きはどこまでできるのかな、なんて思いながら読んでたよ。
筆跡鑑定家とか、時代と共になくなるなんて、まだ言えないけれど。
最後の盛り上がりに欠けるような気もしたけれど、ぐんぐん読み進められた本。
続編があるんだ、読みたい!と思ったが、翻訳されてないんだね。残念。