紙の本
質的な変化を“劣化”という量的なことばでとらえるところに疑問あり
2008/05/15 23:29
10人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
本をよまなくなり,モラルも低下し,若者はちょっとしたことで死にたくなり,リベラリズムは弱体化し,寛容さがなくなり,… といった現代日本の問題点を“劣化”ということばでくくって論じている.とりあげられている問題には深刻な問題がおおいが,そうした問題が発生しているのは日本の社会や政治が“質的”に変化しているからであって,それを“劣化”という量的なことばで,ひとまとめにしてとらえようとしているところにおおきな疑問がある.旧体制勢力からみればこうした変化は“劣化”にほかならないかもしれないが,私にはこれは産みのくるしみだとおもえる.
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著者は現在の日本で活字文化、モラル、若者の生きる力(意欲・体力)社会等々すべての側面で劣化が進んでいると分析する。そしてそれは新自由主義の弊害なのではないかと論じる。大学教授であり精神科医として若者の現状に日々接している著者は、この劣化現象のなかで精神主義や道徳は力をなくしている、説得力のある方法は「損得」なのだと言う。市場原理主義のなかでは損得しか説得力がない世の中なんだ。自分も加齢で劣化していくことを痛感している身。社会の劣化をせめて意識化して見ているしかないようだ。
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この本によると,活字,モラル,生きる力,社会,寛容等の様々なものが「劣化」している。現代社会の変化を「劣化」というキーワードを使って解説している。
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こいつはおもしろい!そしてかなり複雑な内容を読みやすく書くことの手本でもある。日本人の劣化、としてある種の思考停止状態をよしとする、寛容への耐性が著しく低下している、妙な平等主義と他への想像力欠落、などについて適切適量の引用で実例を見せながら説明。社会についてはなんと!ヤングの「排除型社会」のわかりやすい入門編になっている(^^)。フェミニズムの衰退についても触れられ、荷宮「フェミニズムはなぜ衰退したか」の「戦略的失敗」的理解を取らず、他と同じく弱者に対する寛容の欠落で説明している(でもそれはフェミにとっては致命的だが^^;)。倫理的な欲求というのは確かに理念で日常世界の外にあるようだが、しかし原理的に内在しているとする柄谷行人については、外だと言うと昨今ならスピリチュアルとか行っちゃうよ、と現実に引き戻していたりする。このバランス感覚はこの人のいいところだなぁ。
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「最近の若者は」なんてよく言うけど、実際日本人みんな危ないんじゃないの??
これ読むと日本の未来は…ウォウウォウとか言えない。。。
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ウォーリー所有。6月1日購入。香山リカの本はわりと読んでいる気がするけど、基本的に能天気というか楽観的な
論が多いのね、この人。でも、そんなこの人も危惧してるんだから、日本そうとうやばいよ、と思うね。
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文字・モラル・生きる力・社会・寛容・・・いろいろな切り口から、日本人の劣化を述べている。当然筆者の専門外のこともあり、広く浅い内容になっている。分野によっては、ただ現象だけを述べていたり、根拠がはっきりしないものもある。しかしながら、「ひと息2。00字」と寛容の劣化については普段の自分自身の生活や経験から、「やっぱり・・・」と再確認できる中身だった。そして、この総花的な書籍を楽に読めたと思う私自身もきっと劣化しているのだろう。本当に詳細なデーターを出され、根拠を示されたものを読みこなせる自信が無い
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結局のところ
日本人は
劣化したのか、進化したのか
どっちだ?という新書
そして最終的には
保守かリベラルかという本
つまり筆者は
日本人は
活字、モラル、社会すべての面で劣化が始まってるという。
今は
フェミニズムの運動にしても
逆に「フェミニズム」を問題として挙げる方が
差別なのではないかと考えるほど。
つまり「寛容」に対して劣化したのではないかという指摘。
寛容の劣化というのは
強者が弱者に対して寛容する心がなくなってきたということ。
その例に挙げられるのは
格差社会やワーキングプア、派遣社員など
結局強者が弱者を弱者として扱っている今現在。
最終的に
リベラルの劣化となるのはいかがなものかと思ったが
決して
日本は進化でなく劣化しているのは確かだ。
ただちょっと難しくて読み飛ばした部分もあり。
これって
私も読み解く力が劣化しているということなんだろうか。
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途中まではすんなり頭に入ってくる。なるほどーって感じで面白い。
けど、新自由主義とか、色々政治的な複雑なかんじになるとかなり難しいす。。。ww
まだまだ難しい本を読む根本的な力がついていない。。そんな私も劣化しているのかw
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まあ要は日本人であることが原因でうつになる。なぜなら日本人がだめだから。という本。「なぜ」なのかの結論は出ない。だって日本人だから。みたいな。
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この本は「劣化」がキーワードとして書かれている。まだ19年しか生きていない私には、あまり劣化の状況が読み取れていない。例えば、「活字の劣化」のように短い本しか読めなくなっていると言われているが最初からそのような本を読んできた私には「劣化」とは気づけないのだ。このように日本人の「劣化」に気付けていない人は多いのだろう。しかし、この本を読むと、「劣化」の状況が良くわかる。本にも書いてあったとおり、まずは「劣化いている」という意識を持つためには、この本を読むことで気づけるだろう。
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なぜ日本人は劣化したか。活字,モラルなどの角度から書かれていたり、劣化していないものを挙げてあったりします。劣化したと考えられている例を挙げながらも、劣化ではなく「深化」したのではないか?と書かれてある部分もあり印象的でした。
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[ 内容 ]
知らず知らずのうちに日本と日本人の学力・知性・モラルの崩壊が始まっている。
[ 目次 ]
第1章 活字の劣化
第2章 モラルの劣化
第3章 劣化していないものは?
第4章 若者の「生きる力」の劣化
第5章 社会の劣化
第6章 排除型社会での「寛容の劣化」
第7章 劣化はいつから起きたのか
第8章 劣化か、進化か
第9章 劣化を防ぐことはできるか
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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ひと息200字=読む力の劣化?そんなごく僅かな例を挙げられても… 第一、この雑誌の名前が挙げられていないのはなぜ?
新聞や文庫本の文字が大きくなった、つまり情報が薄っぺらになったのは、若者の新聞離れが原因? いや、考えられるとしたら、暇の少ない人や視力の弱った高齢者への配慮だろう。
それに、文章の長さ=情報の価値ではないはず。「昔の高齢者は虫眼鏡を使ってでも小さな活字の本を読んだ」とも言っているが、たったこれだけの理由で文字が大きくなった、イコール劣化というのは牽強付会だと思う。
「脳を鍛える」などのお手軽なゲームや、「なぞる」本が好調な売り上げを見せているのは日本人の劣化が原因? いや、ファイナルファンタジーやドラゴンクエストといった名作のシリーズも、最近でも発売すればたちまちミリオンヒット以上の売上を叩き出すし、今もプレイしている人は少なくないはず。お手軽ゲームの売上増は、高齢者など今までゲームに縁が遠かった人もプレイするようになったからためであろう。
なぞる本が売れるのも、いきなり名作に触れるのは敷居が高すぎると思う人や、脳を若く保ちたい人が増えただけだろう。 やたら分厚い京極夏彦の本の読者層は主に2~30代の若者である。
「劣化」の定義については本書のどこにも示されておらず、全体的に「劣化」の根拠が薄弱で、ソースも少なくてなんだか胡散臭いものが多い。「昔はいい時代だった。それに比べて今の人々は大事な何かを失っている」なんてフレーズを金科玉条の如くしている人に受けそうな内容だった。
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香山リカのなぜ日本人は劣化したかを読みました。現在の日本人は劣化している。変化などと言うあいまいな言葉に逃げるのではなく、日本人が劣化していることを直視しよう、という主張の本でした。日本語の読解力の劣化:日本語の文章を読んで、その内容を理解することができない。考える力が劣化:情報を集めることはできるが、それらを統合して考えることができない。他人の心を想像する力の劣化:自分の身勝手な主張を声高に言うだけで、他人の気持ちを思いやることができない。モラルの劣化:常識や法律に反していても、自分さえ良ければよい、ばれなければよい、と考えて行動する。体力も辛抱強さも劣化:じっと一つの姿勢を続けることができない、プレッシャーに弱く傷つきやすい。などなど。これに対する香山リカの対応は、まずは日本人が劣化しているという病識を持ちましょう、というものでした。病識を持つとは、自分が劣化していることを認識して対策をしていく気持ちを持とうと言うことでした。「自分が勝つことが一番大事」「他人に厳しく、自分に甘く」「弱肉強食はあたりまえ」と言う考え方に一度疑問を持ってみることが大事だと主張されています。納得できるところが多く、いろいろ考えさせられました。