紙の本
プロテニスツアーを転戦する厳しさを伝えてくれる一冊
2016/09/28 19:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
錦織選手の活躍で連日ニュースが流れる男子プロテニス。しかし、錦織選手が活躍するATPツアーや、その頂点に位置するグランドスラム大会は本当に超エリートの選りすぐりの人だけが触れることのできる世界です。その裾野はとてつもなく広く、ATPツアーの下部ツアー(野球で例えるならマイナーリーグみたいなもの)が存在し、そこに属する選手達はATPツアーへの昇格を虎視眈々と狙っています。実はよく知られていないプロテニスツアーの仕組みと実情をランキング500位前後の選手の生い立ちとツアーを転戦する日常を通じて紹介しています。野球やサッカーと比較すると異次元とも言える猛烈な格差社会であるプロテニスツアーの厳しさがリアルに伝わってきます。これを読んだら、錦織選手や松岡氏がいかに突出した存在であったのかがよくわかります。錦織選手を見る目が変わる1冊です。
投稿元:
レビューを見る
錦織選手の活躍で連日ニュースが流れる男子プロテニス。しかし、錦織選手が活躍するATPツアーや、その頂点に位置するグランドスラム大会は本当に超エリートの選りすぐりの人だけが触れることのできる世界です。その裾野はとてつもなく広く、ATPツアーの下部ツアー(野球で例えるならマイナーリーグみたいなもの)が存在し、そこに属する選手達はATPツアーへの昇格を虎視眈々と狙っています。実はよく知られていないプロテニスツアーの仕組みと実情をランキング500位前後の選手の生い立ちとツアーを転戦する日常を通じて紹介しています。野球やサッカーと比較すると異次元とも言える猛烈な格差社会であるプロテニスツアーの厳しさがリアルに伝わってきます。これを読んだら、錦織選手や松岡氏がいかに突出した存在であったのかがよくわかります。錦織選手を見る目が変わる1冊です。
投稿元:
レビューを見る
プロテニスの世界で、トップではない層のフィクションは、本書が初めてではないか。関口選手が全てを曝け出しているところが、非常に面白い。
印象に残るのは、関口選手がイタリアオープンでの一つのミスショットから、その試合に敗れただけでなく、続く試合にも負けてランキング降下に苦しんだ事実。自分が大学で一本のスマッシュをミスして、長い間、大事な試合に勝てなくなった経験と重なり、胸が苦しくなった。
投稿元:
レビューを見る
テニス男子の錦織選手、怪我に悩まされている様ですが、最近のニュースで私が知る限りでは、順調に活躍している様です。ATP順位もテニス関係者が夢にまで見てきた、10以内をキープしていて凄いですね。テニス人気も上昇してきたようです。
錦織氏の年収は億を超えて、移動にはプライベートジェット機を使用しているのを聞くと、プロになったらサッカーや野球の選手のように稼げるのだろうな、とこの本を読むまではそう思っていました。
ところが、この本では、そうではないテニス業界の実態が書かれています。日本でも多くのプロテニスプレイヤーがいるそうですが、筆者が賞金だけで食べていけるラインを1500万円としていますが、それをクリアーしている人は、たった6人(2015年、p199)というのは驚きでした。他のスポーツ(サッカー、野球)と比較して、そのレベルの違いは大きすぎますね。
プロになれるのは一握りなのに、生活できるのは更にその数パーセントという現実を知り、サラリーマン生活をしながら、週末にテニスを楽しんでいる私を振り返って複雑な思いを感じました。しかし、テニスのプロになる厳しさをこのような本を通して知ることは大変良かったと思いました。
以下は気になったポイントです。
・テニスは長い試合だと3時間以上流れる、視聴者が目にする時間が圧倒的に長いのがテニス、スポンサーから見るとバリューが高いスポーツである(p7)
・4つのグランドスラムの本戦に出場するだけで、すべて1回戦負けだったとしても、1600万円の賞金が得られる。そのために必要なのが世界100位のポジションである。世界中の天才たちが、同じ天才たちと熾烈な競争を勝ち抜いてやっとたどり着ける(p9、11)
・世界のトップ100の選手で10歳から始めている選手はゼロ、一番多かったのは5-6歳、10歳からでは間に合わない(p23)
・福岡の柳川高校はインターハイで14連覇(1967-1980)、福井烈は高校時代は負けなし169連勝、それ以降は部活を経験していないクラブテニス出身、2000年代からは通信制の高校を選ぶ人もいる(p35)
・スペインでは18歳でトップ100が見えなければ、別の道に進むことを勧められる。(p38)
・打つところは打つ、守るところは守る、試合の中で変化をつけることが大事、これが勝ちに行くテニス(p61)
・盛田ファンドの援助を受けて目標をクリアーして卒業できたのは、錦織の他には、西岡・中川の2人しかいない。(p69)
・自分の得意なショットで相手の苦手なショットを打たせるようにすれば、ボールのスピードや威力が劣っていても勝てる(p77)
・他の競技と違ってテニス選手の最終目標はプロになってお金を稼ぐこと、これはアマチュアイズムと相容れず、国の援助に頼れない、結果としてテニスエリートを支えるのは家族ということになり、とてつもなくお金がかかる(p84)
・全英のサーフェスは日本人に馴染みのない芝、球速が速くビックサーブに有利、球速の遅いのはレッドクレーの全仏(p97)
・チャレンジャー大会は、世界ランキング200-300位台選手の主戦場、獲得ポイント1点を持っている選手のランキングは2500位(p115)
・ランキングが250-500位達の年間ツアー賞金は、平均190万円、年間経費が460万円という報告があるので、試合出場コストと賞金の収支がトントンとなるのは、男子は336位、女子は253位(p118)
・プロツアーは、グランドスラム(ITF)が頂点、その下に、ATPワールドツアー・ファイナルズ、ATPツアーマスターズ1000、ATPツアー500、250、チャレンジャーツアー、ITFフューチャーズがある(p121)
・ランキング100-200の選手は、ATP250とチャレンジャーのボーダーライン、200-300位の選手は、チャレンジャー大会、それ以下の選手はフューチャーズ大会が主戦場となる、チャレンジャー大会以下では、ベスト16以上にならないとポイントが獲得できない(p122)
・ランキング上位の選手も下位の選手もボールを打つスピードはあまり変わらない、大きく違うのは身体をボールのところまで運ぶ能力、足の運びのコンマ数秒の差が勝者と敗者を分ける(p150)
・ランキング200-500の選手は、そんなに力量差があるわけではない、調子を落としたり怪我をするとすぐにランキングが落ちる(p164)
・航空券を買うのに、エクスペディアという価格コム的なサイトを使い、どのエアラインが一番安い料金を提示しているかがわかる(p179)
・マスターズ1000は予選一回戦で負けで出る賞金のほうが、フューチャーズで優勝するよりも大きい。(p190)
・1位の錦織は賞金だけで3億円以上、さらに数倍のスポンサー契約を持っている、一方で日本9位の関口の賞金は190万円(p197)
2017年4月29日作成
投稿元:
レビューを見る
テニスの世界でも格差があるらしい。ランキング100位これが一流のボーダーラインだ。100以内でいれば自動的にグランドスラムにでることができる。グランドスラムとは全英、全米、全仏、全濠の4つ。この大会はでるだけでお金が入る。だからボーダーラインなのだ。関口周一は日本のプロテニスプレイヤー、ランキングの最高は200いだいこう半だった。それでも2015年の年収は160万円ほど。ちょっとうえにいけば1500万円くらいにもなる。ほんのちょっとの差が明暗を分ける。160万でツアーを回るのは大変だろうと思う。自分で選んだ道だからっては思うけどそれでも大変だろうなと思う。プロで戦うとは実力があること。上には上がいる。自分も頑張ろうと思う。
投稿元:
レビューを見る
ベイビーステップでも下位ランクの苦しさが描かれているけど、実際の現役選手がここまで内情を晒しているという点でとても貴重な本だと思う。
ジュニア時代には国内同世代で最上位付近にいても、プロは一瞬の判断や運をも味方につけなければならず、厳しい世界ということがよくわかる。世界ランキング100位付近にいる日本選手にも興味がわいた。
国内フューチャーズの動画はYouTubeでもハイライトなどが見れたりするので、本に出てきた選手たちはこれから少し親近感を持って観戦できそう。
テニス選手は他プロスポーツと比べても年収平均が低いけど、国内人気が出てくれば改善するかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
テニス選手、いや個人スポーツの選手としてプロとして自立するためには、いかに戦略思考とマーケティングが必要か?がはっきり描かれている一冊。鍛えればいい、練習すればいい、だけではのし上がれない世界があり、いかに成長マインドセットをもって、総合的に賢く強くなるか?を問う一冊。フェンシングの太田や錦織選手などはそこがうまいのだろう。足りない部分を埋める、助けるサポート体制の重要性も問われる。スポーツでお金がまわる必要性が日本にはある。
投稿元:
レビューを見る
スポーツドキュメンタリー本としては
超面白い一冊でした❗
これからプロテニスプレーヤーを目指す若い世代には
必読の一冊だと思います‼️