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紙の本
自殺する物語
2012/01/24 15:23
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
大学生の紫藤は死にたい。別に嫌なことがあったわけでも、世を儚む理由があるわけでもない。ただもう、自分はこれ以上何も足したり引いたりする必要がないほど完成したと感じたからだ。生きていれば必然的に変化をしてしまう。だから死にたい。
そんな彼が自殺の手伝いを依頼したのが、ヨミジと名乗る自殺屋だ。彼は10万円払えば、1週間後に望み通りの死に方をさせてくれるという。彼に自殺の手伝いを依頼したシドだったが、その依頼が果たされる前に、いま世間を騒がせる快楽殺人鬼の女子高生、椋鳥アンと出会ってしまう。
「僕はやっぱり気づかない」の作者の処女作らしい。世界を救う異能少女たちと、そのあからさまなおかしさを目の当たりにしながらも何も気づかず平凡な日常を送る少年のラブコメであるあちらの作品とは、一見すると全く異なる作品であるように見えるが、実は似通っている部分もあるのではないだろうか?
こちらの作品にも、快楽殺人鬼や、謎の自殺屋、大評判の占い師、超能力者など、普通とは言えないキャラクターたちが多く登場する。つまり、どちらの作品にも、いわゆる世界の秘密に直結するキャラたちが主人公の側にいるというのが共通点だ。
そして、先の作品では主人公はその秘密に全く気付かないことで、周囲の人々に日常の幸せを与える。一方こちらの作品では、自分の世界の調和を乱さないために、それらを知っても徹底的に無視する。つまり、どちらも十分な情報に接しながらも、それを自らシャットアウトし、知らないことによって、自らの世界を守ろうとしているのだ。
言葉を選ばずに言えば、これは小さな幸せで満足しようという思想とも言える。それなのに、世界は彼らの手が及ばないほど大きいと感じているのだ。このことに、何となく日本という国の斜陽と、それを反映した人の心を感じずにはいられない。
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