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電子書籍
マンガの教養
著者 中条省平 (著)
マンガなど読んでいてはバカになる――そう嘆く世の風潮を激しく批判し、マンガと劇画を擁護した三島由紀夫は、かつてこう説いた。「若者は、劇画や漫画に飽 きたのちも、これらを忘...
マンガの教養
マンガの教養 読んでおきたい常識・必修の名作100 (幻冬舎新書)
商品説明
マンガなど読んでいてはバカになる――そう嘆く世の風潮を激しく批判し、マンガと劇画を擁護した三島由紀夫は、かつてこう説いた。「若者は、劇画や漫画に飽 きたのちも、これらを忘れず、突拍子もない教養を開拓してほしい。貸本屋的な鋭い荒々しい教養を」と。そして今、大学中心の教養主義が崩壊し、かつて 「反」の象徴だったマンガが教養として語られる時代となった。ギャグから青春、恋愛、歴史、怪奇、SFまで豊饒たるマンガの沃野へ踏み出す第一歩のため の、最適な傑作100冊とその読み方ガイド。
著者紹介
中条省平 (著)
- 略歴
- 1954年神奈川県生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得修了。学習院大学フランス語圏文化学科教授。パリ大学文学博士。著書に「「パパの品格」なんていらないのだ!」など。
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紙の本
マンガ教養を高めるために
2011/01/13 08:22
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の中条省平さんはエミール・ファゲの『読書術』の校注を担当するなど書評家としても活躍されているフランス文学者ですが、手塚治虫文化賞の選考委員になっているように漫画にも造詣が深い。
本書はそんな中条さんが現代の日本文化の一翼を担うマンガの「教養」を高めるべく、読んでおきたい「常識・必修の名作100」作品を解説したものです。
2ページでひとつのマンガを解説していますが、「マンガの多様性と歴史性、テーマと話法と作画技術の豊かさ」といった点で書かれています。
まずはこうの史代さんの『この世界の片隅に』(2007年)から始まります。中条さんは1954年生まれですから、私と同時代の人ですが、最近のマンガに疎い者としては、しっくりこない、作品がわからないというのが実感でした。
それで、思い切って100作品めの織田小星さんの『正チャンの冒険』(1923年)から逆読みをしました。本書の100作品は現代から過去に戻る編年体となっているので、私はその逆、過去から現代へ順番にたどる読み方にしました。
そうなれば、若い頃に夢中になったマンガの数々と出逢えてとまらなくなりました。横山光輝さんの『伊賀の影丸』(1961年)、川崎のぼるさんの『巨人の星』(1966年)、石ノ森章太郎さんの『ジュン』(1967年)など思い出深い作品が紹介されています。
まさにマンガの「教養」を高めるための常識作品といっていいでしょう。
ちなみに漫画の神様手塚治虫さんはその選択がいいかどうかは別にして、『アドルフに告ぐ』(1983年)が取り上げられています。
このように編年体でマンガをたどってみると、1970年代のマンガ雑誌『COM』と『ガロ』の功績がいかに大きかったかがわかります。私は『COM』派でしたが、あのマンガ雑誌からどれほどの天才奇才が誕生したことか。そして、「ジャンプ文化」と称してもいいと思いますが、「少年ジャンプ」から生まれた作品もまた現代のマンガ文化に大きく寄与していることがわかります。
個人的にはこの100作品のなかに、永島慎二さんの『フーテン』が選ばれていなかったのは残念でしようがないのですが、そんな個人的100作品を想像してみるのも一興です。
◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でお読みいただけます。