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ウェルキンゲトリクス 対 カエサル
2023/06/27 09:58
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投稿者:トマト - この投稿者のレビュー一覧を見る
フランスは昔、ガリアと呼ばれていた。諸部族が割拠し、離合集散を繰り返す土地だった。そこに、巨大なローマが侵攻していく。
ガリアはまとまり、一人の英雄を生み出した。それが、ウェルキンゲトリクスだ。
混とんとしたガリアに君臨するウェルキンゲトリクスはメチャクチャな戦いぶりだが、ローマを翻弄する。
カエサルとウェルキンゲトリクス、ローマとガリアの結果は。
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対象的な総大将の熱き戦い
2023/02/18 10:44
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投稿者:タラ子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
紀元前52年。ローマ帝国に支配されたガリア。多くの部族をまとめ、もう一度ガリアの誇りを取り戻そうと若きウェルキンゲトリクスが立ち上がる。それに立ち向かうのは、ローマという大国でもまれながら生きてきた中年男カエサル。いざ戦いの行方は。
戦争が始まればどちらかが必ず敗者になる。それは分かっていてもどちらにも負けてほしくないと思わせる魅力がどちらの総大将にもあり、面白かった。
また、的確な目標を定めたらそれ以外のことには目もくれず、ただひたすらにその達成のために尽力するガリア王の姿には学ぶこともあった。
カエサルの都合のいいように書かれているかと思うが、これを機にカエサルが書き残したとされるガリア戦記も読んでみたいと思った。
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筆が走っている
2022/11/13 17:45
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
カエサルの自画自賛の名著「ガリア戦記」が種本であるのは自明なことであるが、佐藤賢一がエンタメ風に語るとこの様になるのだな、という典型例である。種本のガリア戦記も読んだことがあるので、「敵側から見るとこのようにみえるのだな」とか「ほうほう このように脚色したか」と読んでいてとても面白かった。全体的に書きすぎるほど筆が走っているようなきがする。
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政治的に力の衰えてきた中年男カエサル。
属国である祖国を解放しようとする美貌の青年ウェルキンゲトリクス。
2人の攻防が最終的にはどうなるかどうなるかとハラハラしながら読みました。
目的を達成するため手段を選ばず人を思いやる余地のないウェルキンゲトリクスが、人としての感情に目覚めてから、そして過去の栄光にすがって政治的地位ばかり気にして生きているカエサルが、目の前の戦闘に目覚めた時から話はおもしろくなります。
私的にはウェルキンゲトリクスよりカエサルが気に入ってしまって、
「カエサルを撃たないで~」
と思いながら読んでました。
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紀元前五十二年、美しくも残忍な若者ウェルキンゲトリクスは混沌とするガリア諸侯を纏め上げ、侵略を続けるローマに牙を剥いた。対するローマ総督カエサルはポンペイウスへの劣等感に苛まれていた…。ガリア王とローマの英雄が繰り広げる熾烈な戦いの果てに、二人は何を見たのか。
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『王妃の離婚』『双頭の鷲』『カルチェ・ラタン』などなど、重厚な歴史物が得意な著者の今回の舞台はローマ三頭政治時代のガリア、すなわちヨーロッパです。
カエサルってのはもちろん日本でも有名なかのジュリアス・シーザーことユリウス・カエサル。
当時広大なガリア地方はローマの支配下に置かれていましたが、ヴェルチンジェトリクスという若者が各部族に分かれていたガリアを統一し、ローマに戦いを挑みます。
解放戦争って奴ですね。
若く猛々しいヴェルチンに対し、カエサルが臆病な中年男として書かれているのが面白いです。
でもヴェルチンの方は性格とか母親の影響とか、『双頭の鷲』のデュ・ゲクランに似ているのが気になりましたね。親戚が心配性の参謀とかも。
この作者にとって「英雄」というのは皆こんな性格なのかな?
ローマの悪行に、どうしてもガリアを応援しちゃうんですけど、カエサルがエジプトに行ってクレオパトラと出会ったり、最後はローマでブルータスに殺されちゃうなんてことは誰でも知ってます。
つまり、ガリアは……。
歴史とは、戦争とは、こんなことばかりを繰り返しているんでしょうかね。
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完全無欠のヒーローはいない。
カエサルは自らの禿頭とポンペイウスへの劣等感に苛まれていた。
一方、ローマに牙を剥いたガリア諸族の王ウェルキンゲントリクスは美しくも残忍な若者。『ガリア戦記』で彼は、長髪で髭をたくわえ、絶妙な戦略眼を持ち、堅忍不抜にして高潔、決断力にみちた将軍として描かれている。その彼をカエサルは倒した。自画自賛めいている。
ここにはウェルキンゲントリクスからみた『ガリア戦記』と異なるもう一つの物語が描かれている
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英雄中の英雄として知られるジュリアス・シーザーを
いきなり冴えない中年と評するところから出発し、
この冴えない中年がいかなる選択を繰り返し、
若き英傑ヴェルキントリクスといかに対決し、
そして英雄と呼ばれるにふさわしい戦歴を残すこととなったのか。
英雄の風評を逆手にとって、
意外なキャラクター造形を設定し、
しかもそれを史実と矛盾なく、むしろ「こうきたか!」という
驚きに変えて引き込んでしまうという、
まさに佐藤賢一節の真骨頂!
題材のメジャーさもあって
間違いなく楽しめる必読の一冊!
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ローマに虐げられているガリアを纒め上げ、解放させようとしている英雄中の英雄、王の中の王のウェルキンゲトリクスと、若くて才能溢れるポンペイウスへの劣等感に苛まれながらもローマ都督として成功して巻き返しを計ろうとしているカエサルの対比がおもしろい。
特にウェルキンゲトクリスの存在感たるや凄いものがあり、史実を知っていてもカエサルが戦に破れてしまうのではないかとはらはらする。
焦土戦術に徹底しきれなかった時も長老たちの権力を削ぐのに利用し、カエサルに破れても大したことではないと言いきり、大義であるガリア統一をひたすら目指す。
しかし落ち目な中年おじさんのカエサルもウェルキンゲトリクスに翻弄されて窮地に立たされると、精神的な若さを取り戻し怪物的な速度で成長していく。
今一番映画化して欲しい作品だ。
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キリスト誕生まで50年というフランスを制圧するローマ軍とガリア人の戦いを描く。ローマ軍のガリア総督カエサルとガリア王ヴェルチンが,ガリア人対ローマ人という構図を飛び越え,心の中ではカエサル対ヴェルチンでの戦いになるまでのカエサルとヴェルチンのそれぞれの立場から物語が展開されていく。結局,ヴェルチンは,ローマ軍というよりはむしろカエサルを倒さないとガリアの独立はなく,同時に,自分の勝利も得られないと悟り,カエサルを撃てと叫んでいくのである。最終的にはローマ軍が勝利するが,カエサル対ヴェルチンの戦いはヴェルチンが勝利し,カエサルは運が良かったため,ローマ軍が最終的には勝利したという話になる。
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ガリア戦記を下敷きにしているこの物語は、ガリアの若き英雄とローマのカエサル(ジュリアス・シーザー)の戦いを描き、とりあえずは歴史小説的な雰囲気で動いていくように見える。出だしなどは、宮城谷氏を読んでいるようだ。
しかし、ひ弱なイメージで登場し去っていったガリアの貴公子が再登場すると、作品のイメージががらりと変わる。かなりドライブ感のある悪党小説のようになっていく。それほど、彼の破壊神ぶりは印象的で魅力的なのである。そして、さらにもう一人の主役であるカエサルの登場、最後は二人の女性の登場と、次々と新しい面をみせてくれるこの物語は、最後の決戦を大きな山場として、読者を興奮させてくれる。
結局は二人の男の対決、「若者」と「中年男」の対立である。「心は前者!」のつもりでも、いつの間にか「心までも後者?」になっている自分に気がついてぞっとする自分には、とても苦い物語であった。が、今書いたような一文自体、前者に比べて後者が劣ることを前提としている。果たしてそうか?この物語も、「中年男」が「若者」の心を取り込み再生していくことが解決になっていないだろうか。ふくらみという点で惜しい気がする。二人をつなぐ女性の内面に、もう少しだけ筆をさいてくれたら、あるいは少し印象が変わったかもしれない。
ともあれ、ページをめくる手がもどかしいような小説。面白かった。
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佐藤賢一さんらしい作品
ガリア戦記がテーマ
多少飽きてしまう部分もあるが、ローマがガリアを征服していく過程を取上げて面白く読ませるというコンセプトはとてもいい。
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序盤だけ読んだ。
ひたすら下卑ていて、続きを読む気がなくなった。
中盤になれば面白いのかもしれないけど、そこまで耐えられる気がしない。
しばらく放置・・。。
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ヴェルテン率いるガリアの戦いに対応する過程で、抜け毛を気にするしみったれたオヤジだったカエサルが指揮官として磨かれていく、というビックリな設定が佐藤氏らしい。ウェルテンに出会わなければさいは投げられなかった? ヴェルテンのキャラが、わがまま勝手で暴力的。実はそうみえて、不器用なだけのナイーブな彼なんです、、、なんてありがちなフォローもなく、とことん困った奴なのが面白い。
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まあまあ面白かった。エンターテイメント性が強すぎるきらいもあったけど(カエサルの妻をさらう、とか話にムリが…)、お話としては楽しめた。