タラ子さんのレビュー一覧
投稿者:タラ子
電子書籍自分のことは話すな 仕事と人間関係を劇的によくする技術
2019/11/18 21:00
相手を思いやる会話ができる大人はステキ
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
なかなか話が弾まない、誰とでも楽しくコミュニケーションしたい!と常々考えていたところ、この本の題名を見てハッとさせられすぐに読みました。
人の話を聞いていて、『私も』とついつい会話をのっとっていたことなど気づかされることがたくさんあり、反省するとともに、もっと相手を思いやり、自分が相手に何ができるのかを常に考え行動できるようにこれからの毎日本書で学んだことを意識していこうと思いました。
著者のような会話上手で周りの人を幸せにできるような人を目指して頑張りたいと思いました。
2020/11/07 21:39
読後はスッキリ爽快!明日への活力も湧いてくる!
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
半沢直樹シリーズ最新作の舞台は大阪。
経営不振に陥ったある会社に飾られたピエロとアルルカンという1枚の絵に隠された驚愕の真実とは。半沢直樹の倍返しも健在。組織の悪と戦う半沢直樹の姿には勇気をもらえるし、揺るがない信念を持って仕事をすればきっとそれは人の心を動かすと読者に教えてくれている。
読み終わってすぐに続編が待ち遠しくなった。
まだまだ半沢直樹熱は冷めなさそうだ。
紙の本i
2019/11/24 17:41
読後優しい気持ちになれる1冊
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
シリアで生まれ、裕福な家庭へ養子として引き取られたアイ。金銭的に厳しい家政婦の子ども達と接したり、貧困の子どものニュースを見るたびに自分の状況に罪悪感を感じ苦しむ。
世界で日々多くの人が亡くなり、その家族や友人などが涙している。その死者の数をノートに記し、一緒になって悲しみ、考えるアイは、夫や親友と出会い、また様々なつらい経験をしてこの世に確かに自分は存在しているし、存在していいんだという歓びを手にいれる。
近くにいる友人や同僚の表面的には見えてはいない悲しみや、また会ったことのない人々の苦しみに毎日少しでも思いをはせ、考えるだけで世界はもっと平和になるのではと感じた。大きな変化は起こせないけれど、他者の苦しみを分かろう、感じようとすることの大切さや、忙しい毎日で忘れかけていた他者への共感の心をこの小説は私に気づかせてくれた。
紙の本エンド・オブ・ライフ
2020/09/22 10:25
最期の瞬間まで自分らしく生きるとは
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
在宅医療という選択肢が当たり前になかった時から京都で在宅医療を専門にしてきた病院関係者と、死をテーマにした作品を多く手掛けてきた著者が、様々な人たちの死を通して、死について、そして死から生について考えさせる1冊。
死ぬ前に子どもの願いを聞いてやりたいと海に出かける家族。たとえ海に出かけたことで数日間この世にいる日が短くなったとしても後悔はないと決断し、またその思いを実現するために同行する医療関係者。
意識ははっきりしているのに身体が全く動かなくなった妻を7年間自宅で介護し妻が亡くなる最後まで傍にいた夫。
人は死を意識するとここまで強くなれるのか、家族の絆はここまで強いものなのかと衝撃を受けたと同時にその思いを大切にしようと寄り添う医療関係者の志に感動した。
この本で"人は生きてきたようにしか死ねない"という言葉がたびたび出てきて、生と死はつながっていると思う瞬間がたくさんあった。
たくさんの人のエピソードを読み、死にゆく人の死に様は残された人の心に何かを残すということを学び、最期の瞬間まで自分らしく生きられるように、そしてその自分らしくの理想に近づけるように日々しっかりと生きていかなければならないと強く感じた。
死について病気や何かがあった時にしか普段考えることはないが、誰にでも訪れるものだからこそ、必ず読んでおきたい1冊だ。
2020/02/05 11:20
どのお話も面白すぎて一気に読める!
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
三島屋変調百物語シリーズ6作目は怪談の聞き手が変わったが、三島屋に持ち込まれる話は語って聞き捨ててもらいたいと語り手が強い思いを持って来るだけあってどれも聞いたことのないような不思議で奥深い話ばかり。
特にこの本の題名にもなっている黒武御神火御殿という怪談は長編でとても恐ろしい話だが、ページをめくる手がとまらないほど物語の世界に没頭してしまうすごい怪談だった。
次の発売が本当に待ち遠しい!
2019/07/17 12:37
笑いあり涙ありの感動の実話
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
筋ジストロフィーを患う鹿野さんと、鹿野さんの自立生活を支えるボランティアさんたちのお話。
本文であった『自立とは、誰の助けも必要としないということではない。どこに行きたいか、何をしたいかを自分で決めること。自分が決定権を持ち、そのために助けてもらうことだ。』という言葉に胸をうたれた。
鹿野さんは夜にバナナを食べたいと言うし、自分のやりたいことに素直だ。ただし、それを叶えるにはボランティアの手助けが必須である。でも、そこでやりたいことを我慢するのではなく、障害をもった人も私たちと同じようにそれは誰しも当然の権利として叶えられなければならないと、この本を読んで思った。
鹿野さんの勇気、またボランティアの人たちの深い愛に、人と人とのつながりから生まれる温かさを感じた。とても良かった。
紙の本また、同じ夢を見ていた
2019/06/19 20:20
幸せについて考えさせられる1冊
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
小学生の主人公が不思議な出会いを通して成長していく物語。
学校の授業で出された「幸せとは。」という課題に、登場人物それぞれが自問自答したり話し合ったりして各々の幸せに気づいていく。
この物語には、せつなくてまた心が温かくなって涙が出るような素敵な言葉がたくさん散りばめられていた。
自分自信の幸せについて考えるきっかけにもなり、とても大好きな本になった。
紙の本感動の温泉宿100
2019/05/04 17:50
温泉好きにはたまらない一冊
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
年間200日国内外を旅する著者が訪れ、感動した温泉宿を、絶景に出会える!や美食を堪能できる!などいくつかのジャンルに分けて紹介。
これを読んでいくつか実際に行ってみたが、本当に満足できる良いお宿ばかりだった。ここに書かれている温泉宿を巡るのが最近の楽しみとなっている。
2019/05/03 16:08
ひきこもり家族の支援をする著者が語るひきこもり問題
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
衝撃のタイトルに思わず本書を手に取った。
内閣府が公表するひきこもりの数52万人とは、40歳以上を含まない数であり、それは子ども・若者育成支援推進法の対象が39歳までということが関係しているらしい。
そこで問題となってくる8050問題などについて、本書では著者の体験をもとに書かれていてこの問題が待ったなしだということが伝わってくる。
ひきこもりを体験した人の自立は就労と考えがちだが、著者は自分自身を語る言葉をもつことだという。家族にも誰にも自分の苦悩を語れずに、いっぱいいっぱいになって1人暗闇で生きている人たちを思うと胸が苦しくなった。
家族の問題としてしまうにはあまりにも重い問題であり、多くの人の支えやそれぞれの人に合った居場所の支援が必要だと感じた。
紙の本悪の芽
2021/12/21 17:33
誰もがもっている悪の芽の存在に気付かされる
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
大量殺傷事件の犯人が小学校の同級生だと分かり、かつていじめの原因となるあだ名を自分がつけてしまったことで彼の人生を狂わせてしまったのではないかと主人公は思い悩み、事件の全容を探り始める。
物語では事件現場に居合わせ動画を撮影した学生、被害者家族、犯人の職場の同僚などの目を通して見た事件が語られる。そこからは、皆が皆それぞれの正義を胸に生きており、それは本人さえも気づかないうちに悪の芽を育て、他人の攻撃につながるということが分かる。
加害者の家族、また加害者をかつて虐めていた人など、攻撃対象を見つけると当然のように罰しようとする人が物語でも現れる。しかし、それがいかに異常なことか、そしてそれが誰もが持っている悪の芽で、人間の悲しい性質だということをこの物語は教えてくれる。
この物語を通して著者は何度も読者に、その行動は想像力に欠けたものではないかと問いかけているように思えた。インターネットでの誹謗中傷など想像力の欠如による行為はあとを絶たない。1人でも多くの人が想像力を働かせ、自分の悪の芽を自覚してほしいという願いがこの物語には込められていると感じた。
自分にも悪の芽があることを自覚し、善の芽を育てるという気持ちを忘れずに生きていきたい。
紙の本風よあらしよ
2021/01/10 16:40
生きることは行動すること
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
女性の人権などなかったに等しかった頃、平塚らいてうの青踏発行に携わり女性の権利を世に訴え、さらに大杉栄と出会ってからは弱い人のために心を寄せ己の信じる主義主張を貫き通して28歳という若さで命を奪われた伊藤野枝の激動の人生を描いた1冊。
貧しい家庭に生まれながらも決して学問の道を諦めず、なりふり構わずに自分の道を切り開いてきた野枝。女性に学問など不要と考えられていた時代にそれがどれだけ大変なことであったか。しかしほとばしる彼女の情熱は平塚らいてうをはじめ、多くの人の心を動かし、そして時には男性を誘惑するほど熱く人を魅了するものだった。
英語教師であった辻と結婚し、子どもに恵まれるも子どもを捨て、大杉栄と人生をともにすることにした野枝に途中反感を持つこともあったが、男女間の恋愛の上に同志という関係を結べる相手に出会った時、人は理性をこえてしまうのかもしれないと物語を読みすすめるうちに思えてきた。
最も印象に残ったのが、"心から愛し敬えないもののためにも理想を抱いて闘えるか"という一文だった。
これは野枝が、大杉とともに労働者のまち亀戸で暮らす中で自らが救おうとしている人たちから怒りを向けられたときに感じたものだった。
誰でも遠い存在の弱者に対して思いを寄せることはできる。でも相手との距離が縮まり、理解しあえないと感じたときにでもその人を愛し、その人たちのために闘える人こそが真のリーダーであり、上に立つべき人間だとこの文章から学んだ。
自由であることのためにたたかい散っていった伊藤野枝の激動の人生に心が震えた。
たとえ読者と主義主張は違っても、彼女の人生は今を生きる多くの人の心に勇気と情熱の火を灯すだろう。
紙の本吉原手引草
2020/10/10 12:49
タイムスリップして吉原へ!!
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
"まあまあ、ようこそお越しあそばしました。"から始まり、様々な人が語り手になるスタイルの本著を読むとまるで自分が話しかけられているような感覚になり、一気に吉原のあった江戸時代に気持ちがタイムスリップした。
物語は、葛城花魁という絶大な人気を誇った花魁について、主人公が吉原に暮らす人、また通う人たちに話を聞きながら、ある事件をさぐるという話。
吉原で生活をする様々な職業の人たちとの会話から、読み終わる頃には今はなき吉原にすっかり詳しくなっていて、まさに吉原手引書である。
吉原の華やかな景色が目に浮かぶとともに、その裏で渦巻くどろどろとした人間の業。そんな吉原で立派に信念を貫き、清く力強く生きた葛城花魁。
彼女の人生をかけた戦いと、その生き様は深く私の心に残った。
とても大好きな1冊となった。
紙の本ほかならぬ人へ
2020/10/09 22:14
誰もがほかならぬ人を探している
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
主人公の明生は、有名大学を出て社会的地位もあるいわゆる華麗なる家族に囲まれて育った。その中で兄弟に劣等感を感じて育った明生は、断りもなくこんな自分を世に送り出した何かに抗うべく、“人生は復讐だ”と考え日々生きていた。そんな明生の前になずなという容姿端麗な女性が現れ、家族の反対を押し切り結婚するのだが‥‥。
もう1つの物語「かけがえのない人へ」では、結婚を前に以前付き合っていた黒木との関係を続けながら本当にこの人が結婚相手でいいのかと考えるみはるという女性が出てくる。
本書では、ベストな相手を見つけた時には全員その証拠を手に入れると書かれている。
この2作に共通するのは、何かしらの証拠は掴んでいるのにそれに気づかずに回り道をしたり、相手を失ってしまうことだ。
ベストな相手の証拠を手に入れたとしてもそれが証拠だとはなかなか自分で感じにくいもので、案外あとになって分かるものなのかもしれないと思った。
この2つの物語では愛する人や、結婚について色々と考えさせられ、自分自身のほかならぬ人について自分なりの証拠について考えるきっかけにもなった。
また、“結婚なんてものはとりあえず今の自分に○と思ってるときにするもんだ。””自分なんてあってもいいが、なくてもいい。その程度でも、人間というのはちゃんと生きられるようにできているのではないか?“などなど心に残る言葉がこの本にはたくさんつまっていた。
そして何より文庫本では、編集者の方が書かれた解説が素敵なエピソード満載で、キラキラした著者の言葉が詰まっていて、白石一文という人間が私は心底好きになった。著者のファンとして他の作品もこれからどんどん読んでいこうと思う。
2020/09/17 21:00
事故物件住んでみたらどうなるの?
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
事故物件住みます芸人の松原タニシさんの体験談などを綴った1冊。
タニシさんがかつて住んでいた事故物件を訪れ、霊を懐かしむシーンがとても印象的だった。
怪異にはそれを引き起こす死者がいて、その死者には生前歩んできたそれぞれの人生があると思うと、死者の生き様に思いをはせたり、時には醜い人間の業に気付かされたりと怖い話から感じることは、ただただ死への恐怖だけではないとこの本を読んでいると考えさせられる。
本書に書かれている物件が今も日本のどこかで次なる住民を待っていると思うと不気味さがひたひたと迫ってくる。
紙の本じんかん
2020/08/12 10:22
胸に抱いた夢の実現のために命をかけた1人の男の物語
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
貧しい者は搾取され続け、弱き者は殺される。大切な人を理不尽にも亡くすことが当たり前に繰り返される世の中。そんな混沌とした時代に生まれた松永久秀。父母を殺され、同じような境遇の子どもたちと生きるも、その仲間も殺されてしまう。人の死に嫌というほど接してきた久秀は「自分は何のために生まれてきたのか」を問い続ける。
そんな久秀の人生を変えたのは、武士がのさばる世の中を変え、民が民の手で政を行う世を目指す三好元長との出会いだった。生まれた時から当たり前のように武士が支配する世を見てきた久秀にとってそれは画期的な考えだった。
それからの久秀は夢の世を実現するため尽力するも、三好家内の度重なる争いなど欲望と戦乱渦巻く時代にのみ込まれていく。
本書を読むと民主主義の現代は、松永久秀のような人間が一生をかけて尽力し、少しずつ時代を進めてきてくれたおかげなのだと気づく。1人の力は小さいが、1人の強い思いは受け継がれ、世を変える程の大きな力になるのだと感じた。
自分が生きるこの時間に誰しもが精一杯の中で、後世のことを考え、到底無理だと思われることでも、自分の信念を曲げずに死ぬ最後の最後まで走り続けた松永久秀の人生にふれ、己は何のために生まれてきたのか問われている気がした。