商品説明
妖怪雑事相談所「深山木薬店 改」に届いた、『枕石公園の怪異を調べて下さい』という差出人不明の手紙。通りすがりの人間が地中に引きずりこまれ、その前後の記憶が一切残らないという不可解な事件が発生していた。早速調査に乗り出した薬屋店長・リベザルだったが、目を逸らしていた自身の「過去」と向き合うことに……! 人気シリーズ“薬屋探偵怪奇譚”!
目次
- 第一章 再会の青
- 第二章 叛逆の黄泉路
- 第三章 金雀児と金蛇
- 第四章 緑泥迷路
- 第五章 白い紙
- 第六章 蒼天の桜、満天の星
- エピローグ
- あとがき
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紙の本
今回はイレギュラーな展開に
2011/06/03 14:30
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紫月 - この投稿者のレビュー一覧を見る
言葉や比喩の一つ一つをゆっくりと味わいながら読みたい、そんな風に思わせるこのシリーズ。
薬屋探偵妖綺談から第二章の薬屋探偵怪奇譚となっても、それは同じこと。
ちょっとした冗談のような会話にも、言葉の洒落っ気が顔を見せていて、気を抜けない。
またそこが面白く、時間をかけてゆっくりと読みたいのが、薬屋シリーズだ。
『灰色の木を、金色に戻す薬をください』
前シリーズからの、妖がらみの事件を依頼するときの暗号だ。ゲーテの言葉を元にしているという、詩的で美しい響きを持っている。
通りすがりの人が地中に引きずり込まれる、という事件の調査に乗り出したリベザル。
今回は秋ではなく、リベザルの友人、柚之助が謎を解いてしまう、というイレギュラーな展開に。
それでも、柚之助やリベザル、来多川刑事たちの活躍も見事だったし、所々に秋が登場して、楽しませてくれた。
自分の期待に自分で応えず、他人に押し付けた所為で願いのほうが捩れて狂った。
他人の詮索と期待に振り回されれば、一番大切な、自分に対する自分の期待が、どこかに消えてしまう。
人間誰しも、他人の目を意識し、他人の思惑を計るのは仕方がないこと。しかし無意識の内にそれをしてしまって、自分の意思を見失っては、行く先も間違ってしまうのだろう。
著者の作品はタイトル、扉部分の言葉ともに難解なものが多いのだけど、本書は珍しく意味が分かったような気がする。
タイトル『ダウスに堕ちた星と嘘』
ダウスとは、暗闇のこと。
そして、扉部分の言葉は以下の通り。
時計の針が進むのは、
時間であって、
時間ではありません。
それは人と世界との約束で、
不変と変化を刻む針は、
鼓動の中にあるのです。
毎回、読後にタイトルとこの文を読み返し、謎解きのように意味を考えてしまうのも、楽しい作業だ。