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物語 スイスの歴史 知恵ある孤高の小国
著者 著:森田安一
ヨーロッパの中央に位置するスイスはユニークな国である。風光明媚な観光地として知られる一方、国民皆兵の永世中立国でもある。多言語・多文化の連邦国家で、各カントン(州)の自治...
物語 スイスの歴史 知恵ある孤高の小国
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物語スイスの歴史 知恵ある孤高の小国 (中公新書)
商品説明
ヨーロッパの中央に位置するスイスはユニークな国である。風光明媚な観光地として知られる一方、国民皆兵の永世中立国でもある。多言語・多文化の連邦国家で、各カントン(州)の自治権が強い。中央集権化に対する国民の反発は根深く、国連やEUにも加盟していない。こうした強烈な個性はどのように形作られたのか。内部分裂の危機と侵略の脅威にさらされつづけた歴史をひもとき、この国に息づく独立心の源をさぐる。
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カントン盟約としてのスイス
2022/06/06 21:06
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
スイスの歴史についてカントン(地方)の盟約によって成立したこと、カトリックとプロテスタントや保守派と自由主義といった対立を乗り越えてきたことなどなど面白かった。スイスが今でもカントン盟約時代の伝統で地方の力が強いこともわかった。
紙の本
魅力に溢れ、気骨あるヨーロッパの小国スイスはいかにして現在のような姿をとるようになったか
2000/09/14 00:15
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木力 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヨーロッパには魅力溢れる個性的な国がいくつもある。英国、フランス、ドイツといった歴史ある大国は言うまでもなく、地中海に面し、陽光に輝くスペインやイタリアの魅力は忘れがたいし、またデンマークを始めとする北欧諸国は、環境先進地域として、現代日本に大きな教訓を与えてくれること疑いないであろう。しかし、一度スイスを訪れたことのある人なら、ヨーロッパの中央部に位置するスイスの風光と精神的雰囲気を称賛せずにはいられないはずである。本書は、その魅力溢れる小国スイスの歴史を古代から現代まで通覧した良書である。
スイスは美しい山岳にめぐまれた小国であるが、この小国がまたいくつかの地域に分かれている。言語的には、ドイツ語・フランス語・イタリア語の公用語のほか、レートロマンス語が話される地域もある。宗教も、キリスト教の各宗派が共存している。政治的には、国際連合にも加盟せず、欧州連合にも参加しようとしていない。戦後の一時期、わが国が目指すべき国家として「永世中立国」=スイスが喧伝されたこともある。
このような現代スイスが歴史的にいかにして生まれたのか、そして今後どうなっていこうとしているのかを知りたい人は多いに違いない。本書は、ごく限られたスペースで、このような読者の要求に応えようとしている。スイスが、中世のある時期には、傭兵を多数抱えてヨーロッパの戦争に送り込んでいたこと、そして、宗教改革期には、カルヴァンがジュネーヴを拠点に、またツヴィングリがチューリヒを拠点に活躍したことなど、この国を理解する上で必須の歴史的知識はもちろん、19世紀以降の産業社会の中で、労働者階級がいかなる対応をしたのかといった記述にも事欠かない。欲を言えばきりがなかろうが、ともかく、スイス史への入門書として推奨できる内容を盛り込んでいる。
ところで、スイスの魅力とはいったいなんなのだろうか? 現在の「永世中立国」としての政体の理念は一朝一夕にできあがったのであろうか? スイスは、それぞれの地域が独自性を強く主張し、さらに主張するだけではなく責任も分担するといった形態の民主主義を長い時間をかけて定着させていった国家である。わが国は、ともすれば英国、フランス、ドイツといったヨーロッパの大国、そして戦後はアメリカを国家目標にしてきた。けれども、スイスや北欧諸国のように国民の生活を第一義にしている小国のことを忘れてはならないのではないか。大国はややもすれば戦争に走りがちになる。が、小国は平和を大事にする。かつては日本も「東洋のスイス」を目指していたことを思い起こす必要がある。現代日本では「日本を普通の国家に」という声が高い。しかし私は、この際、むしろスイスという平和な小国のことを思い起こすことをこそ薦めたい。 (bk1ブックナビゲーター:佐々木力/東京大学教授 2000.09.14)