紙の本
「一澤信三郎帆布」ファンは必読の本
2013/12/01 18:40
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投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
私は10年以上前に「一澤帆布」製のカバンを購入して以来、ずっと愛用しています。何と言っても丈夫で長持ち、素朴なデザインですので飽きることはありません。
「信三郎帆布」がオープンした時、長蛇の列に私も並びました。当時、カバンの生産が追い付かなかったのでしょう。「一人三個まで」という個数制限があったことを記憶しています。したがって、目当てのカバンが無いことも度々でした。一方の「一澤帆布」の店舗では、間違って入ってしまったような客がチラホラという状況でした。
この舞台裏では、ドロドロした親族間の相続争いが繰り広げられていたことが本書を読めば理解できるほか、一澤帆布の創業からの歩みも知ることができ、「一澤信三郎帆布」ファンは必読の本です。それにしても、「裁判所は必ずしも正義が通るところではない(232ページ)」ということが、今さらながら良く分かりました。
ただ、こうした裁判沙汰では一方の当事者への取材が不可欠です。ところが、本書では兄サイドへの取材は全くありません。そのため、兄の無謀な企みの動機は不明ですし、お粗末な裁判経緯の告発には至っておらず、迫力に欠ける内容となっています。まあ、「信三郎帆布」へのエールが本書の目的であり、そこまで追及することは、作者の念頭にはなかったのでしょう。私としては、物足りなく残念です。
ところで、金儲けのことしか考えていない恥知らずの兄は、今どこで何をしているのでしょうか?
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先代の信夫の死が巻き起こした「お家騒動」の記憶も新しい一澤帆布、その後を追ったルポルタージュ。信夫の三男・信太郎とその妻、職人たちと、彼らを支える京都の人々の人間模様を背景に、裁判での勝利までを追っている。
なお「一澤帆布」という会社は、今年7月8日から営業をストップしており、分家した「一澤信三郎帆布」が事実上正式な後継会社となっている。そういえば今夏、サントリーが一澤帆布とタイアップした商品(プレミアムモルツ六缶が一澤帆布プロデュースのバッグに入ってるやつ)を出していたのを見て(買って)「え、一澤ってこんなことやるとこだったっけ?」となんとなく訝しく感じたものだが、このビールが出たころには「一澤帆布」はすでに潰れていたことになる。だからどうという話でもないが。
本書が朝日新書から出たのは、信三郎本人が元朝日の記者だったことに起因する。信三郎サイドから史実を明らかにするという目的に異論はないが、裁判の性質上、記述の公平性を保つためにも他の出版社から出すべきではなかったか(少なくとも、妙な疑いを持たれないためには)。敗者側の弁も訊いてみたい。
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【日本縦断参考本】
京都の帆布のカバンでお馴染みの“一澤帆布”のお家騒動にまつわる物語。今は“信三郎帆布”という形でその見えない歴史を受け継いでいる 職人さんと血の通ったモノ達の 闘いの日々を綴った本です。
名前は変わってしまっても 気持ちを継承してくれたお店と職人さんが残ったことが嬉しかったです。
頑張れ!!
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人脈にも経営手腕にも人柄にも京都の職人にも恵まれていたのだろう信三郎氏が恵まれなかったものは、「職人やユーザー、ファンの気持ちのわからない、強欲な兄弟」の存在と、受け身な裁判しかできなかった弁護士ではないかと思う。
「裁判官は真相を見きわめてくれるもんやと思うてた"けど"」
ってのに尽きるんだろうなぁ。
明日は我が身…とまでは言わないけど、いつ自分の身にふりかかるかわからない問題ではあり、大変貴重な裁判だったと思う。
身に覚えのない偽造サインで冤罪なりを訴える時、「一澤帆布の裁判の例もある」と思えるのは、きっと心強いと思う。
ややこしいことには関わりたくない…と思っていた人が、正義の為に怒りに震え無償で筆跡鑑定を覆す様が心に残った。
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事件の全貌をやっと知ることが出来た。
結果は真実に収束した。
信三郎さんたちが作ったあの鞄があったからこそ。
みんなは分かっています。
野暮ですが率直に思うのは、騒動を起こした長男の消息がどうなったのか。
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この本を手にすることができて本当にうれしい。
でも、それだけで終わってはいけない。僕らはこの本を読めることに感謝すべきである。
西の都の老舗で勃発したできごと。
遠く離れた東の都にいる僕らは、このできごとを直接見聞することはできないし、新聞を始めとするマスコミの報道は乏しくかつ断片的なものであった。
インターネット情報は多々あったものの、何を信じていいかわからず、僕らの勝手な心配は募るばかりであった。
2008年11月の逆転勝訴という判決があったからこそ、僕らはこの本を目にすることができる。
裁判を勝利に導いた(協力した)すべての人に感謝したい。
その頃、僕らが知りたかった真実がここにある。しかも僕らの期待を良い意味で裏切るように、赤裸々なまでの情報公開。僕が気にしていたこれからの方向についても触れられている。
綿密な取材に基づくノンフィクションではあるものの、作者の筆力と描かれている信三郎夫妻の人柄によるものだろうか、ドロドロした感じになっていないのはさすが。
先代である3代目、信夫氏のインタビューや、かばんが作られるまでの工程も帆布が好きな人だけでなく、たくさんの人に読んでもらい、京都に一風変わった「かばんや」があることをもっと多くの人に知ってもらいたい。
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会社でもらった本。
一澤帆布の騒動と、いかにモノ作りがなされてきたか。
なにかを産み出すのは簡単ではなくて、その力を持ってるのはすごいことであると実感。
今度帰ったら久々に買いに行こうかな。
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父親に「こんな本あるよー」と言われ、読ませてもらった一冊。一澤帆布が2つに分かれたという漠然とした話は聞いていたのだけど
、こんな理由だったとは…遺言書はちゃんした方がいいね、特に財産のある人は。
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一澤帆布といえば、京都では知らない人がいない帆布の
カバン屋さんです。
その一澤帆布の先代が亡くなり、遺言状が2通出てきたことから
始まった、遺産・後継者争いの裁判の話は、皮肉にも一澤帆布の
名前を全国的に広めるきっかけになりました。
私は先代が亡くなった年にはまだ京都に住んでおり、翌年に
離れたために、実際に裁判が始まってからの詳しい経過や
地元の運動、空気などを感じることができませんでした。
裁判の最初の判決は、素人が考えてもおかしなもので、
きちんと遺言書の真偽を調べた上での判決とは思えず、
法の裁きの場で、こんな不当な決定がなされるんだ・・・と
愕然としたものでした。
裁判に負けて、今まで通りの仕事ができなくなっても、
工房やお店がとられてしまっても、諦めなかった信三郎さんご夫妻と
社員たち。新しく「一澤信三郎帆布」を立ち上げ、新たな裁判も
行われていきます。
最終的には、2004年年末の判決から一転、08年11月に
信三郎さん側の逆転勝訴となり、長男側の上告が最高裁に
よって棄却されたことで勝訴は確定するのですが、そこに
至るまでには、信三郎さんご夫妻、一澤帆布時代からの職人
さんや社員さんたち、信三郎さんを応援する会の存在や、
第2の遺言書の真偽に関して偽筆を立証しようと奔走した
有識者たち、全国にいる一澤帆布カバンの愛好者たち・・・。
多くの人が信三郎さんたちを応援しました。
どうして信三郎さんのまわりにこれだけ親身になる人たちが
集まったのか、それはこの本を読むと納得できます。
手間を惜しまず、いいものを誠実に作り続けるための努力ー。
作ったものに対する製造責任を持ち、メンテナンスを厭わない姿勢。
製造直売にこだわり、客と売り手が見えない商売はしないスタイル。
この不況下においても、スタッフのほとんどが正社員!
理想的だなぁと思いました。素敵過ぎる!
古きよき日本の「ものづくりの原点」に触れられる1冊です。
年末年始の帰省で、久しぶりに信三郎帆布のお店に
行こうと思いました。
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お家騒動よりも、信三郎氏と職人さん達の真摯で手抜きのない、しかしあそびのあるモノ作りが印象に残った。その意味で、タイトルが「一澤帆布物語」でないのは正しい。実際に双方の帆布鞄を見比べたことがあるが、質の違いは明らかだった。まさに、品物自身が雄弁に真実を語っていた。
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[ 内容 ]
「泥沼」「確執」「骨肉の争い」京都の老舗ブランドで何が起こったのか。
一度はすべてを失ったかに見えた経営者夫妻。
彼らがスタッフと一丸となって新ブランドを立ち上げるまでを綿密な取材でまとめたノンフィクション。
手間ひまを惜しまずに作られる「信三郎帆布」の全てを紹介。
[ 目次 ]
第1章 お家騒動(振り向いたらあかん 2通の遺言書 ほか)
第2章 信三郎帆布の挑戦(潔う捨てましょう 新しいブランドネーム ほか)
第3章 3代目信夫が語った「一澤帆布物語」(初代、喜兵衛はハイカラ男 京都バンドと華やかな人脈 ほか)
第4章 帆布かばんができるまで(帆布のにおいの中で 大企業との落差に驚く ほか)
第5章 小さくてもオンリーワン(夢やないんやな 筆跡鑑定ふたたび ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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有名な一澤帆布について。なんとなく知ってたけど、ニュースではわからない裏側や真実を知ることで、一澤帆布に対する認識が大きく変わった。事件の真相云々も大切かもだけど、それ以上に信三郎さんたちの鞄作りの真撃な姿勢と対面できたことが心に残る。いいものづくりをされているのだな。わたしも目の前の溢れる商品に惑わされることなく、想いの込められている本当にいいものを選んでいきたい。
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一澤信三郎のモノ作りへの思いが伝わってくる本。分かりにくい筆跡鑑定、2回にわたる裁判で逆転勝訴したことなどが詳しく分かった。それにしても骨肉の相続争いを公平に記述するのは簡単ではないと思うが、長男と四男側に全く取材していないのが気にかかる。
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京都では有名すぎる かばん屋 一澤帆布。先代が亡くなり 遺書が二通見つかり 跡継ぎではない長男が裁判で勝ち実権を握ることに。
数年前に騒がれた相続税争いの本があることを日経新聞で知り読んでみました。
友達が持っていた シンプルだけれどしっかりとした作りのかばん。私も欲しいと思っていましたが 丁度裁判の時期と重なっていたようで 当時のネット検索では 信三郎帆布 と一澤帆布と両方でてきて良く判らず 信三郎帆布では 新たな環境で頑張ります、と笑顔の人たち。
どこで購入していいやら判らずそのままうやむやになってしまっていましたが、この本を読み納得しました。
筆跡鑑定が ここまでいい加減なものなのかというのが一つ。警察官OBが筆跡鑑定をしているケースが多いみたいですね。もう少しその辺りを変えていかないと、と考えさせられました。
もうひとつが 会社は人が作るものだ、ということ。
のっとりのような形で社長になった長男に 社員は誰一人としてついていかなかった。
一緒に働いていた三男 信三郎と共に会社を去り 新たに起業していくことを選んだ。
70人といえばちょっとした 中小企業。その社員が全てついていく。信三郎さんの 今までの仕事ぶりが判る話でした。
改めて ネットではなく、かばんを見に京都まで行きたくなりました。
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かなり前の話になるが、一時期、東京の街中で『京都市東山知恩院前上ル 一澤帆布製』というタグがついたバッグを持った人をよく見かけた。私が気付くくらいだから相当流行っていたのだろうし、私の目に留まるくらい目を引くものだったのだろう。布製のバッグが欲しいなと思った時に思い出して探してみたのだが、『信三郎帆布』というタグのものも出回っていて「いろいろあるのかー?よくわからんな~。」と思って買わずじまいになってしまった。有名だったらしいお家騒動も有りがちなことかと思いあまり興味がなく今日まできてしまった。興味がない、というのは全く恐ろしいことである・・・。ひょんなきっかけで目にしたこの本で、ああ、あのバッグ!と思いだし、今回は興味を惹かれて読んでみた。ひえ~、こんなことになっていたのねと、あまりの理不尽さに腹立ち、京都の人たちの懐の深さ、情の厚さ、その粋に心を打たれる。
とかく正義はどこに?と思わされるような世の中である。信念を貫き、逆境に負けずに戦い続けた人たちに、心からの笑顔が戻って、本当によかった。
京都のお店に、いつか必ず行ってみようと思います♪